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第4章 追いかけた先に、あなたがいた
⑨
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「はい……」
私は声にならない声で頷いた。
ふたりの未来が、ゆっくりと動き出した気がした。
食事が終わり、玲央さんが会計を済ませてくれた。
「ご馳走様でした。」
私は丁寧に頭を下げる。
すると玲央さんが、ふいに耳元で囁いた。
「奢った甲斐があった。」
「えっ?」
「若い彼女、できたし。」
その一言に、心臓がドクンと鳴った。
思わず見上げたその笑顔が、嬉しそうで、少しだけ照れていて――。
「私、自慢できますか?」
そう聞くと、玲央さんは声を立てて笑った。
「ははは。当たり前じゃん。」
その言葉が、胸にすっと染み込んでくる。
ああ、この人のそばにいたい。この人の隣で、ずっと笑っていたい。
「これから、どうする?」玲央さんが私の顔を覗き込む。
「ああ……」
私はそっと時計に目をやった。
まだ、帰るには早い。あともう少しだけ、この時間が続いてほしい。
「ホテルでも行く?」
ぽつりとつぶやいた玲央さんの言葉に、私は思わず顔を上げて、じっと見つめた。
「……嘘だよ。そんな軽い女じゃないでしょ、ひよりさんは。」
玲央さんは笑いながら椅子を引いてくれた。
その仕草が優しくて、私は立ち上がりながら、そっと玲央さんのスーツの袖をつかんだ。
「もし……玲央さんがしたいんだったら……」
声が震える。でも、それでも伝えたかった。だって私は、玲央さんが大好きだから。
「ほら、男性は……処理しないと大変だって……」
恥ずかしくて、小さな声で続けると、玲央さんが吹き出した。
「それ、何情報?」
顔が熱くなって、私は俯いたまま呟いた。
「大学の男友達が……言ってて……」
すると玲央さんが、くしゃっと私の頭を撫でてくれた。
「確かに。男子大学生の性欲は半端ない。」
さらりと笑って言う玲央さんに、私は目を丸くする。
「だ、大丈夫だよ。俺、もうそこまで野獣化しないし。」
「野獣……⁉」
思わず復唱してしまった私に、玲央さんはいたずらっぽく笑った。
「安心して、ひよりさんのことはちゃんと大切にするから。」
そう言い残して、玲央さんは足取り軽くレストランを出て行く。
「ほらっ!ひよりさん!」
入り口の向こうから手を振る姿が見えて、胸が高鳴った。
私なんかで、本当にいいのかな。でも——
「……行こう。」
私はそっと一歩を踏み出した。あの人の背中を、追いかけるように。
玲央さんと並んで歩く道。そっと差し出された手を、私は緊張しながら握った。
こんなふうに、誰かと手を繋いで歩くなんて——初めて。
「なんか、ひよりさん。ゆでだこみたいになってるけど、大丈夫?」
「……あはは。顔、熱いかも。」
手であおいでみせると、玲央さんも笑いながら私の頬に風を送ってくれた。
「なんか、私……彼氏できるの、初めてで。」
私は声にならない声で頷いた。
ふたりの未来が、ゆっくりと動き出した気がした。
食事が終わり、玲央さんが会計を済ませてくれた。
「ご馳走様でした。」
私は丁寧に頭を下げる。
すると玲央さんが、ふいに耳元で囁いた。
「奢った甲斐があった。」
「えっ?」
「若い彼女、できたし。」
その一言に、心臓がドクンと鳴った。
思わず見上げたその笑顔が、嬉しそうで、少しだけ照れていて――。
「私、自慢できますか?」
そう聞くと、玲央さんは声を立てて笑った。
「ははは。当たり前じゃん。」
その言葉が、胸にすっと染み込んでくる。
ああ、この人のそばにいたい。この人の隣で、ずっと笑っていたい。
「これから、どうする?」玲央さんが私の顔を覗き込む。
「ああ……」
私はそっと時計に目をやった。
まだ、帰るには早い。あともう少しだけ、この時間が続いてほしい。
「ホテルでも行く?」
ぽつりとつぶやいた玲央さんの言葉に、私は思わず顔を上げて、じっと見つめた。
「……嘘だよ。そんな軽い女じゃないでしょ、ひよりさんは。」
玲央さんは笑いながら椅子を引いてくれた。
その仕草が優しくて、私は立ち上がりながら、そっと玲央さんのスーツの袖をつかんだ。
「もし……玲央さんがしたいんだったら……」
声が震える。でも、それでも伝えたかった。だって私は、玲央さんが大好きだから。
「ほら、男性は……処理しないと大変だって……」
恥ずかしくて、小さな声で続けると、玲央さんが吹き出した。
「それ、何情報?」
顔が熱くなって、私は俯いたまま呟いた。
「大学の男友達が……言ってて……」
すると玲央さんが、くしゃっと私の頭を撫でてくれた。
「確かに。男子大学生の性欲は半端ない。」
さらりと笑って言う玲央さんに、私は目を丸くする。
「だ、大丈夫だよ。俺、もうそこまで野獣化しないし。」
「野獣……⁉」
思わず復唱してしまった私に、玲央さんはいたずらっぽく笑った。
「安心して、ひよりさんのことはちゃんと大切にするから。」
そう言い残して、玲央さんは足取り軽くレストランを出て行く。
「ほらっ!ひよりさん!」
入り口の向こうから手を振る姿が見えて、胸が高鳴った。
私なんかで、本当にいいのかな。でも——
「……行こう。」
私はそっと一歩を踏み出した。あの人の背中を、追いかけるように。
玲央さんと並んで歩く道。そっと差し出された手を、私は緊張しながら握った。
こんなふうに、誰かと手を繋いで歩くなんて——初めて。
「なんか、ひよりさん。ゆでだこみたいになってるけど、大丈夫?」
「……あはは。顔、熱いかも。」
手であおいでみせると、玲央さんも笑いながら私の頬に風を送ってくれた。
「なんか、私……彼氏できるの、初めてで。」
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