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第5章 ようやく始まった恋なのに
①
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週末に、玲央さんとのデートが入った。
《この前の紺色のスカート履いて来て。》
そんなリクエストにお応えして、私は紺色のスカートを選んだ。
上は白のブラウスにして、清楚な雰囲気を意識したつもり。
待ち合わせ場所に現れた玲央さんは、私の姿を見た途端に大笑いした。
「どうして、笑うの?」
「だって、大学生なのに似合い過ぎるんだよ。」
「失礼ですね。」
膨れっ面になると、玲央さんはクスッと笑いながら私の頬を人差し指でつついた。
「でも、その方が俺には都合いいけどね。」
「……都合?」
「うん。大人っぽい彼女ってことで、年の差目立たないし、俺の株も上がるってもんだ。」
「なんですかそれ……」
でもちょっと、嬉しい。
私は照れながら、玲央さんの隣に並んで歩き出した。
繋がれた手が、今日もあたたかい。
今日のデート先は、美術館だった。
静かな空間に、二人の足音だけが響く。
「いつもこういうデートしてるんですか?」
私が尋ねると、玲央さんは少し驚いた顔をして笑った。
「いつもって……俺、そんなにデートしてないよ?」
私が微笑むと、玲央さんは照れ隠しのように私の頭をポンポンと優しく叩いた。
「普通に恋愛してたら、この歳まで独身じゃなかったかもな。」
「それじゃあ、困ります。」
私は思わず玲央さんの腕にしがみついた。
この人が今まで誰のものにもならなかったことが、少し嬉しい。
すると、ふと視線を感じて横を見ると、小さな男の子が私たちを見ていた。
じっと見つめたまま、お母さんの手をぎゅっと握っている。
お母さんの手をぎゅっと握っている小さな男の子が、こちらを見て声をあげた。
「ママ、あの人たち、いちゃいちゃしてるよ。」
――ああ、困った。子供にまでそう思われるなんて、ちょっと恥ずかしい。
「ねえ、おにいちゃん。」
玲央さんが戸惑いながらしゃがみ込む。
「なに?」
「チューしないの?」
えっ、と私の顔が真っ赤になる。
「ははは、チューしてほしい?」
「玲央さんっ!」
思わず袖を掴んで制止した。
すると、すぐに親御さんが慌てて子供の手を引っ張っていった。
「すみません……!」と謝る声が遠ざかっていく。
「焦りましたね。」
私が呆れたように言うと、玲央さんがニッと笑って、すっと私の頬にキスを落とした。
「ほら、言われたし。」
「……子供のリクエストで!?」
「違うよ。俺がしたかったの。」
もう、どこまで甘やかしてくれるんだろう。
私は俯きながらも、玲央さんの手をそっと握り返した。
美術館の静かな空気の中、玲央さんは一枚の絵の前で立ち止まっていた。
横顔は真剣そのもの。
「好きなんですか?こういうの。」
そう訊くと、玲央さんは軽く頷いた。
《この前の紺色のスカート履いて来て。》
そんなリクエストにお応えして、私は紺色のスカートを選んだ。
上は白のブラウスにして、清楚な雰囲気を意識したつもり。
待ち合わせ場所に現れた玲央さんは、私の姿を見た途端に大笑いした。
「どうして、笑うの?」
「だって、大学生なのに似合い過ぎるんだよ。」
「失礼ですね。」
膨れっ面になると、玲央さんはクスッと笑いながら私の頬を人差し指でつついた。
「でも、その方が俺には都合いいけどね。」
「……都合?」
「うん。大人っぽい彼女ってことで、年の差目立たないし、俺の株も上がるってもんだ。」
「なんですかそれ……」
でもちょっと、嬉しい。
私は照れながら、玲央さんの隣に並んで歩き出した。
繋がれた手が、今日もあたたかい。
今日のデート先は、美術館だった。
静かな空間に、二人の足音だけが響く。
「いつもこういうデートしてるんですか?」
私が尋ねると、玲央さんは少し驚いた顔をして笑った。
「いつもって……俺、そんなにデートしてないよ?」
私が微笑むと、玲央さんは照れ隠しのように私の頭をポンポンと優しく叩いた。
「普通に恋愛してたら、この歳まで独身じゃなかったかもな。」
「それじゃあ、困ります。」
私は思わず玲央さんの腕にしがみついた。
この人が今まで誰のものにもならなかったことが、少し嬉しい。
すると、ふと視線を感じて横を見ると、小さな男の子が私たちを見ていた。
じっと見つめたまま、お母さんの手をぎゅっと握っている。
お母さんの手をぎゅっと握っている小さな男の子が、こちらを見て声をあげた。
「ママ、あの人たち、いちゃいちゃしてるよ。」
――ああ、困った。子供にまでそう思われるなんて、ちょっと恥ずかしい。
「ねえ、おにいちゃん。」
玲央さんが戸惑いながらしゃがみ込む。
「なに?」
「チューしないの?」
えっ、と私の顔が真っ赤になる。
「ははは、チューしてほしい?」
「玲央さんっ!」
思わず袖を掴んで制止した。
すると、すぐに親御さんが慌てて子供の手を引っ張っていった。
「すみません……!」と謝る声が遠ざかっていく。
「焦りましたね。」
私が呆れたように言うと、玲央さんがニッと笑って、すっと私の頬にキスを落とした。
「ほら、言われたし。」
「……子供のリクエストで!?」
「違うよ。俺がしたかったの。」
もう、どこまで甘やかしてくれるんだろう。
私は俯きながらも、玲央さんの手をそっと握り返した。
美術館の静かな空気の中、玲央さんは一枚の絵の前で立ち止まっていた。
横顔は真剣そのもの。
「好きなんですか?こういうの。」
そう訊くと、玲央さんは軽く頷いた。
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