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第6章 あなたが甘くなったのは、私のせい?
④
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そして車に戻っても、空気はどこか気まずいままだった。
玲央さんは運転席に座りながら無言で前を向いていて、私も何となく視線を合わせられない。
でも、このままじゃ嫌だ――。
私はさっき買った黒猫のボールペンをバッグから取り出し、そっと差し出した。
「これ……あげる。」
本当は仲直りのきっかけにしたかった。
でも、玲央さんはちらっとそれを見ただけで、ため息交じりに言った。
「俺、大人だから。黒猫のボールペンなんて使えない。」
――その言い方に、カチンときた。
「気に食わないのなら、はっきり言って!」
声を荒げた自分に驚く。でも、止まらなかった。
「子供みたいに拗ねて、変な意地張って……っ。私、悪かったなら謝るけど……」
玲央さんが驚いたように私を見た。そして、数秒の沈黙のあと、ぽつりと呟いた。
「……そうじゃない。」
「え?」
「嫌なんだよ。ひよりが俺以外のものを大事にしてるみたいで、バカみたいだけど、ちょっとだけ、嫉妬した。」
玲央さんが、少し照れたように視線をそらす。
「……可愛いなって思ってさ、あの猫。だから余計に。」
今度は、私の方が言葉を失った。
――こんなふうに、不器用に嫉妬するなんて。
ふと笑いがこみ上げてきた。
「じゃあ、これ。ふたりのおそろいにしましょうか。」
私はもう一本のボールペンを取り出す。玲央さんは、ちょっと困ったような顔をしながら、でも今度はちゃんと受け取ってくれた。
「……仕方ないな。」
そう言って、ようやく車内の空気が、優しく溶けていった。
そして玲央さんと見つめ合った。
「仲直りのキス、する?」
どこかからかうような声色。私は恥ずかしくて顔を逸らしそうになったけれど、そっと頷いた。
玲央さんの顔がゆっくり近づいてきて、唇に柔らかく触れるだけのキス。
「……それだけ?」
唇が離れた瞬間、玲央さんが小さく笑った。目は、まるで何か企んでいるみたい。
「お姫様は……おねだり上手だな。」
その囁きに、心臓が跳ねた。
次の瞬間、玲央さんの手が頬に添えられ、今度はもう少し深く、熱を帯びたキス。
「んん……っ」
舌先が触れ、甘く絡まり、息が漏れる。
「キスで……感じるようになったの?」
意地悪に囁く声。その瞳は、逃げられないように私を捉えて離さない。
「ちが……う……」
そう言いたかったのに、唇の隙間から零れた声は震えていた。
玲央さんの指が顎をなぞり、もう一度、ゆっくりと唇を奪う。
「……可愛いな、ひより。」
名前を呼ばれた瞬間、胸がきゅっと締め付けられた。
もう、怒っていたことなんてどうでもいい。
むしろこの喧嘩がなければ、このキスもなかったかもしれない。
「……仲直り、完了ですね。」
「いや……もう少し、続けてもいい?」
玲央さんの笑みが近づいてきて、私はまた、そっと目を閉じた。
玲央さんは運転席に座りながら無言で前を向いていて、私も何となく視線を合わせられない。
でも、このままじゃ嫌だ――。
私はさっき買った黒猫のボールペンをバッグから取り出し、そっと差し出した。
「これ……あげる。」
本当は仲直りのきっかけにしたかった。
でも、玲央さんはちらっとそれを見ただけで、ため息交じりに言った。
「俺、大人だから。黒猫のボールペンなんて使えない。」
――その言い方に、カチンときた。
「気に食わないのなら、はっきり言って!」
声を荒げた自分に驚く。でも、止まらなかった。
「子供みたいに拗ねて、変な意地張って……っ。私、悪かったなら謝るけど……」
玲央さんが驚いたように私を見た。そして、数秒の沈黙のあと、ぽつりと呟いた。
「……そうじゃない。」
「え?」
「嫌なんだよ。ひよりが俺以外のものを大事にしてるみたいで、バカみたいだけど、ちょっとだけ、嫉妬した。」
玲央さんが、少し照れたように視線をそらす。
「……可愛いなって思ってさ、あの猫。だから余計に。」
今度は、私の方が言葉を失った。
――こんなふうに、不器用に嫉妬するなんて。
ふと笑いがこみ上げてきた。
「じゃあ、これ。ふたりのおそろいにしましょうか。」
私はもう一本のボールペンを取り出す。玲央さんは、ちょっと困ったような顔をしながら、でも今度はちゃんと受け取ってくれた。
「……仕方ないな。」
そう言って、ようやく車内の空気が、優しく溶けていった。
そして玲央さんと見つめ合った。
「仲直りのキス、する?」
どこかからかうような声色。私は恥ずかしくて顔を逸らしそうになったけれど、そっと頷いた。
玲央さんの顔がゆっくり近づいてきて、唇に柔らかく触れるだけのキス。
「……それだけ?」
唇が離れた瞬間、玲央さんが小さく笑った。目は、まるで何か企んでいるみたい。
「お姫様は……おねだり上手だな。」
その囁きに、心臓が跳ねた。
次の瞬間、玲央さんの手が頬に添えられ、今度はもう少し深く、熱を帯びたキス。
「んん……っ」
舌先が触れ、甘く絡まり、息が漏れる。
「キスで……感じるようになったの?」
意地悪に囁く声。その瞳は、逃げられないように私を捉えて離さない。
「ちが……う……」
そう言いたかったのに、唇の隙間から零れた声は震えていた。
玲央さんの指が顎をなぞり、もう一度、ゆっくりと唇を奪う。
「……可愛いな、ひより。」
名前を呼ばれた瞬間、胸がきゅっと締め付けられた。
もう、怒っていたことなんてどうでもいい。
むしろこの喧嘩がなければ、このキスもなかったかもしれない。
「……仲直り、完了ですね。」
「いや……もう少し、続けてもいい?」
玲央さんの笑みが近づいてきて、私はまた、そっと目を閉じた。
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