15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜 【完結】

日下奈緒

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第6章 あなたが甘くなったのは、私のせい?

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大学の構内で、最近やけに視線を感じる。

女の子達が、私を取り囲むようにして話しかけてきた。

「ねえ、今日は一ノ瀬さん来ないの?」

……どうして、名前まで知ってるの?

「どうやって知り合ったの?」

「出会い系?それとも合コン?」

聞かれるのは、そんなことばかり。

私はただ曖昧に笑って、答えを濁した。

けれど――その時だった。

「……あんなの、パパ活じゃん。」

何気なく吐かれた言葉に、空気が凍る。

「え?」

「だって、あの車で毎日迎えに来てるんでしょ?」

その子の目は、軽蔑だった。

「お金、貰ってるんでしょ? 一回いくら?」

笑うような、でも冷ややかな視線。

私の足元から、すうっと色が消えていくようだった。

「ちが……」

言おうとした声は、喉の奥で震えて消えた。

心臓の奥がきゅっと縮こまり、目の前がにじんだ。

――どうして、そんなふうに言われなきゃいけないの。

玲央さんと一緒にいるだけで、どうしてこんな風に思われるの。

うつむいた私の目の前で、誰かが小さく笑った。

「まあ、お金持ち相手に夢見ちゃうのもわかるけど。」

その瞬間、私は何も言えなくなった。

喉が詰まって、涙がこぼれそうになる。

でも泣いたら、負けたみたいで――

悔しくて、唇をきゅっと噛み締めた。

そして――それは放課後の、校門近くの出来事だった。

ふと視線を向けると、見慣れた高級車のそばに立っている玲央さん。

……その隣には、あの女の子。

私は、思わず足を止めた。

「一ノ瀬さん、私ともデートしてくださいよ」

聞こえてくるのは、甘えるような声。

玲央さんは「ん?」と少し笑って受け流している様子だけれど――

彼女の方は、引く気配なんてまったくなかった。

「ねえ、あの子よりも私の方がスタイルいいですよ?」

その言葉と同時に、彼女はぐいっと玲央さんの腕に自分の身体を寄せた。

密着する距離に、心がきしむ。

「一回、三万でどうですか?」

その瞬間、私の頭の中が真っ白になった。

「……は?」

玲央さんが眉をひそめる。でも、彼女は怯まなかった。

「どうせあの子ともやりまくってるんでしょ? 何が違うの?」

ぐさり――心の奥深くに、鋭い棘が刺さった。

ひよりの体が震える。目の前の光景が、悪夢に思えた。

目の前で、玲央さんが冷静に告げる。

「……まだ手は付けてないけど?」

え……?

思わず、私は息を呑んだ。

その一言に、女の子の顔が露骨に変わる。

「ええ? マジで?」
信じられない、といった表情で女の子は笑った。

そして、私の存在に気づいたのか、わざとらしくこちらに視線を向けた。
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