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第7章 不安の夜と、確かな腕の中で
③
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私は目をぱちくりさせた。
「えっ……えっ? 急に冷静じゃん。」
「俺だって、ひよりが大事だもん。焦って結婚して、ひよりに後悔されたら……それこそ悲惨だよ。」
玲央さんは、私の手を取り、そっと指先をなぞるように撫でた。
「本気で一緒になりたいなら、タイミングも大事だろ?」
私は胸がじんわり熱くなった。
(……こういうとこ、ずるいんだよ。大人すぎて。)
それでも私は、小さく微笑んで頷いた。
「もしかして、あの誕生日の夜から、結婚を意識したのは私だけ?」
そう呟いたあと、自分のグラスの中で揺れる氷をぼんやりと見つめた。
玲央さんにとっては、ただの通過点だったのかもしれない。
そんな思いが胸に広がって、なんとなく落ち着かない。
さくらは、そんな私の様子にすぐ気がついた。
「うーん……確かにさ、一回に重きを置くのって、どうかと思うよね。」
珍しく真面目な声。さくらはスプーンをクルクル回しながら、小さく続ける。
「だって、これからずっと彼氏さんと、していくわけでしょう?最初は特別に思ってても、そのうち、なんとなく日常になっていくと思う。」
その瞬間、誠一が手を伸ばして、ぽんとさくらの頭を軽く叩いた。
「痛っ! なにすんのよ!」
「お前、もうちょっと言葉選べよ。」
さくらは唇を尖らせながらも、「だって本当のことでしょ」とぼそっと言い返す。
誠一は、さくらの隣にさりげなく腰を下ろすと、何気ない口調で言った。
「俺は、あの夜を忘れないから。一生。」
その一言に、さくらがピタリと動きを止める。
そして、そっと誠一を横目で睨むように見た。
けれど誠一は、まっすぐ彼女を見つめていた。
「えっ、ちょっと待って……二人、なんかあったの?」
驚いてそう聞いた私に、さくらは目をそらしながら「別に」とだけ言って、立ち上がった。
手にしていたコップを持って、そのまま給水器へ向かって行く。
そして、その背中を見送りながら、誠一がぽつりと呟いた。
「俺、さくらの初めて、貰った。」
私は、思わず両手で口を塞いだ。
「えっ、いつの間に!? え? 二人って付き合ってるの?」
驚きの連続に思考が追いつかない。
すると誠一は、照れくさそうに笑いながらも、どこか真剣な顔で私を見た。
「男はさ、好きな女との夜は……いつだって、特別に想ってるよ。」
その言葉は、玲央さんへの不安で揺れていた私の心に、静かに沁み込んでいった。
(……玲央さんも、あの夜を特別に想ってくれてたのかな。)
さくらが席に戻ってきた頃には、私は少しだけ、穏やかな気持ちを取り戻していた。
でも一つだけ、はっきり言えることがある。
――あの誕生日の夜から、私はこの恋に、浮かれていた。
初めてだったから。大人の愛に触れたから。玲央さんに抱きしめられて、私は“特別”になれた気がしていた。
でも、それって本当に“愛されてる”ってことなんだろうか。
「えっ……えっ? 急に冷静じゃん。」
「俺だって、ひよりが大事だもん。焦って結婚して、ひよりに後悔されたら……それこそ悲惨だよ。」
玲央さんは、私の手を取り、そっと指先をなぞるように撫でた。
「本気で一緒になりたいなら、タイミングも大事だろ?」
私は胸がじんわり熱くなった。
(……こういうとこ、ずるいんだよ。大人すぎて。)
それでも私は、小さく微笑んで頷いた。
「もしかして、あの誕生日の夜から、結婚を意識したのは私だけ?」
そう呟いたあと、自分のグラスの中で揺れる氷をぼんやりと見つめた。
玲央さんにとっては、ただの通過点だったのかもしれない。
そんな思いが胸に広がって、なんとなく落ち着かない。
さくらは、そんな私の様子にすぐ気がついた。
「うーん……確かにさ、一回に重きを置くのって、どうかと思うよね。」
珍しく真面目な声。さくらはスプーンをクルクル回しながら、小さく続ける。
「だって、これからずっと彼氏さんと、していくわけでしょう?最初は特別に思ってても、そのうち、なんとなく日常になっていくと思う。」
その瞬間、誠一が手を伸ばして、ぽんとさくらの頭を軽く叩いた。
「痛っ! なにすんのよ!」
「お前、もうちょっと言葉選べよ。」
さくらは唇を尖らせながらも、「だって本当のことでしょ」とぼそっと言い返す。
誠一は、さくらの隣にさりげなく腰を下ろすと、何気ない口調で言った。
「俺は、あの夜を忘れないから。一生。」
その一言に、さくらがピタリと動きを止める。
そして、そっと誠一を横目で睨むように見た。
けれど誠一は、まっすぐ彼女を見つめていた。
「えっ、ちょっと待って……二人、なんかあったの?」
驚いてそう聞いた私に、さくらは目をそらしながら「別に」とだけ言って、立ち上がった。
手にしていたコップを持って、そのまま給水器へ向かって行く。
そして、その背中を見送りながら、誠一がぽつりと呟いた。
「俺、さくらの初めて、貰った。」
私は、思わず両手で口を塞いだ。
「えっ、いつの間に!? え? 二人って付き合ってるの?」
驚きの連続に思考が追いつかない。
すると誠一は、照れくさそうに笑いながらも、どこか真剣な顔で私を見た。
「男はさ、好きな女との夜は……いつだって、特別に想ってるよ。」
その言葉は、玲央さんへの不安で揺れていた私の心に、静かに沁み込んでいった。
(……玲央さんも、あの夜を特別に想ってくれてたのかな。)
さくらが席に戻ってきた頃には、私は少しだけ、穏やかな気持ちを取り戻していた。
でも一つだけ、はっきり言えることがある。
――あの誕生日の夜から、私はこの恋に、浮かれていた。
初めてだったから。大人の愛に触れたから。玲央さんに抱きしめられて、私は“特別”になれた気がしていた。
でも、それって本当に“愛されてる”ってことなんだろうか。
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