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第9章 誓いの言葉は、静かな夜に
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迷いも、不安も、ほんの少しあるのかもしれないけど、それを正面から受け止める強さがあった。
「私、図書館司書でいいかなって思ってる。」
「えっ?」
思いがけない私の言葉に、さくらは足を止めた。
驚いたように、こちらを見つめる。
「いいの? それで。夢だったんじゃないの?」
夢だった。確かに。
でも──。
私は言葉を探しながら、小さく笑った。
「うん……でも、図書館司書でも、本に関われるし。教えるのが向いてるかどうか、ちょっと自信ないんだ。」
さくらは、何か言いたげに唇を噛んだまま黙っている。
「玲央さんにも、どっちでもいいって言われたし。好きなようにしてって。」
「……うーん。なんか、ひよりらしくない。」
「え?」
「いや、ごめん。でもさ、ひよりって昔から、“先生になって本の楽しさを伝えたい”って言ってたじゃん。」
その言葉が、やけに遠くに聞こえた。
それは、きっと昔の私。
今の私は、誰かと一緒に未来を歩く選択を、無意識に優先してしまっていたのかもしれない。
さくらは続けて言う。
「本当にそう思ってるならいいけど……なんか、誰かに合わせてない?」
その「誰か」が誰かなんて、言わなくても分かっていた。
私は曖昧に微笑むことしかできなかった。
そしてその微笑みが、さくらとの距離を少しだけ広げてしまった気がした。
週末になり、玲央さんの家に泊まりに行くと、いつにもなく彼の顔が真剣だった。
「ひより。こっちおいで。」
ソファに座る彼に手を引かれて、私は当然、膝の上にでも抱き寄せられるのかと思った。
けれど、玲央さんは私の手を軽く握っただけで、少し間をとって隣に座らせた。
いつもの余裕ある微笑みはなく、どこか考え込むような表情だった。
「君のお友達、さくらちゃんだっけ?」
「うん……えっ?」
その名前に思わず眉をひそめる。
どうして今、さくらの話?
「この前、俺のところに来たんだ。」
「……えっ⁉」
声が裏返る。
さくらが? 玲央さんに? どうして──?
「ひよりの将来を潰さないでくれって、お願いされた。」
その言葉が、胸に冷たく突き刺さった。
私は一瞬、息ができなくなって、言葉が出なかった。
「……なんで、そんなこと……」
さくらは、私のために?
それとも──私が“夢を諦めようとしていること”が、彼女にはそう見えた?
玲央さんは静かに私を見つめた。
「驚いたよ。いきなり来て、丁寧に頭を下げられてさ。君が、昔からどんな夢を持ってたか、どれだけ本気だったか。いろいろ話してくれた。」
私は、膝の上で手をぎゅっと握りしめた。
さくらは、私よりも、私の夢を覚えていてくれた。
「私、図書館司書でいいかなって思ってる。」
「えっ?」
思いがけない私の言葉に、さくらは足を止めた。
驚いたように、こちらを見つめる。
「いいの? それで。夢だったんじゃないの?」
夢だった。確かに。
でも──。
私は言葉を探しながら、小さく笑った。
「うん……でも、図書館司書でも、本に関われるし。教えるのが向いてるかどうか、ちょっと自信ないんだ。」
さくらは、何か言いたげに唇を噛んだまま黙っている。
「玲央さんにも、どっちでもいいって言われたし。好きなようにしてって。」
「……うーん。なんか、ひよりらしくない。」
「え?」
「いや、ごめん。でもさ、ひよりって昔から、“先生になって本の楽しさを伝えたい”って言ってたじゃん。」
その言葉が、やけに遠くに聞こえた。
それは、きっと昔の私。
今の私は、誰かと一緒に未来を歩く選択を、無意識に優先してしまっていたのかもしれない。
さくらは続けて言う。
「本当にそう思ってるならいいけど……なんか、誰かに合わせてない?」
その「誰か」が誰かなんて、言わなくても分かっていた。
私は曖昧に微笑むことしかできなかった。
そしてその微笑みが、さくらとの距離を少しだけ広げてしまった気がした。
週末になり、玲央さんの家に泊まりに行くと、いつにもなく彼の顔が真剣だった。
「ひより。こっちおいで。」
ソファに座る彼に手を引かれて、私は当然、膝の上にでも抱き寄せられるのかと思った。
けれど、玲央さんは私の手を軽く握っただけで、少し間をとって隣に座らせた。
いつもの余裕ある微笑みはなく、どこか考え込むような表情だった。
「君のお友達、さくらちゃんだっけ?」
「うん……えっ?」
その名前に思わず眉をひそめる。
どうして今、さくらの話?
「この前、俺のところに来たんだ。」
「……えっ⁉」
声が裏返る。
さくらが? 玲央さんに? どうして──?
「ひよりの将来を潰さないでくれって、お願いされた。」
その言葉が、胸に冷たく突き刺さった。
私は一瞬、息ができなくなって、言葉が出なかった。
「……なんで、そんなこと……」
さくらは、私のために?
それとも──私が“夢を諦めようとしていること”が、彼女にはそう見えた?
玲央さんは静かに私を見つめた。
「驚いたよ。いきなり来て、丁寧に頭を下げられてさ。君が、昔からどんな夢を持ってたか、どれだけ本気だったか。いろいろ話してくれた。」
私は、膝の上で手をぎゅっと握りしめた。
さくらは、私よりも、私の夢を覚えていてくれた。
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