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第9章 誓いの言葉は、静かな夜に
⑤
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週末のお泊りの日がやってきた。
カーテン越しの光が淡く部屋を包み込んで、時計の音さえ聞こえないほど静かだった。
「ひより……」
玲央さんの低く甘い声。
触れる指先は優しくて、でもどこかで、私を深く欲している熱が滲んでいた。
今日も、私は玲央さんに抱かれていた。
心も体も、すべてをこの人に許している自分がいた。
「ひより、もう俺……」
その声に、体が一瞬だけ委縮する。
愛情の表現。だけどそれは、快楽にも等しくて、どこかで取り返しのつかない場所へ進んでしまいそうで怖かった。
「玲央さん……」
私は、必死に玲央さんの体を抱きしめた。
言わなきゃ。言わなきゃ、と思っていたことを。
「赤ちゃん……できるかも。」
空気が止まった。
玲央さんの動きがピタリと止まり、私は緊張で指先に力が入った。
しばらくの沈黙のあと、彼は私の顔をそっと覗き込んで、真剣な目で言った。
「俺は、ひよりとの未来が欲しい。」
その言葉が、胸にじんと響いた。
叱るでも、驚くでもなく、受け止めるための言葉だった。
「俺は、君の全部が欲しい。どんな未来だって、ふたりで歩いていけるって思ってる。」
ああ、この人には抗えない。
どこまでも真っ直ぐで、どこまでも私を包み込もうとする。
私はきっともう、逃げられないくらい深く、玲央さんを好きになってしまっている。
「……うん。」
ただ小さく頷いて、彼に体を預ける。
そして結局、今日も私は、玲央さんの熱を──
その愛を、全部、受け取ってしまうんだ。
行為が終わって、私は呆然と天井を見つめていた。
何も考えられなかった。
ただ、じんわりと体の奥に残る熱と、どこかぽっかり空いた心の隙間を感じていた。
もう私は──
玲央さんの愛の証を、拒否することができない。
優しさも、誠実さも、全部本物だって分かっている。
でも、だからこそ怖い。
いつだって、子供ができるかもしれない状況。
セックスが、怖い。
愛されることが、怖い。
未来が変わってしまうのが、怖い。
「ひより? どうしたの?」
玲央さんが心配そうに私の顔を覗き込んできた。
その瞬間、私は彼の目を見つめながら、ぽろりと涙を零した。
「……赤ちゃん、できたかも。」
声が震えていた。
でも、伝えなきゃいけない気がして、なんとか絞り出した言葉だった。
玲央さんは、驚いたように目を見開いたあと、すぐに恥ずかしそうに笑った。
「……本当に?」
まるで自分の分身がこの世に生まれることが、ただ嬉しいとでも言うような、優しくて無邪気な笑顔だった。
「……怖いの。」
私は、かすれる声で呟いた。
言った瞬間、また涙があふれてきた。
心の奥からせり上がってきた不安を、もう隠すことができなかった。
カーテン越しの光が淡く部屋を包み込んで、時計の音さえ聞こえないほど静かだった。
「ひより……」
玲央さんの低く甘い声。
触れる指先は優しくて、でもどこかで、私を深く欲している熱が滲んでいた。
今日も、私は玲央さんに抱かれていた。
心も体も、すべてをこの人に許している自分がいた。
「ひより、もう俺……」
その声に、体が一瞬だけ委縮する。
愛情の表現。だけどそれは、快楽にも等しくて、どこかで取り返しのつかない場所へ進んでしまいそうで怖かった。
「玲央さん……」
私は、必死に玲央さんの体を抱きしめた。
言わなきゃ。言わなきゃ、と思っていたことを。
「赤ちゃん……できるかも。」
空気が止まった。
玲央さんの動きがピタリと止まり、私は緊張で指先に力が入った。
しばらくの沈黙のあと、彼は私の顔をそっと覗き込んで、真剣な目で言った。
「俺は、ひよりとの未来が欲しい。」
その言葉が、胸にじんと響いた。
叱るでも、驚くでもなく、受け止めるための言葉だった。
「俺は、君の全部が欲しい。どんな未来だって、ふたりで歩いていけるって思ってる。」
ああ、この人には抗えない。
どこまでも真っ直ぐで、どこまでも私を包み込もうとする。
私はきっともう、逃げられないくらい深く、玲央さんを好きになってしまっている。
「……うん。」
ただ小さく頷いて、彼に体を預ける。
そして結局、今日も私は、玲央さんの熱を──
その愛を、全部、受け取ってしまうんだ。
行為が終わって、私は呆然と天井を見つめていた。
何も考えられなかった。
ただ、じんわりと体の奥に残る熱と、どこかぽっかり空いた心の隙間を感じていた。
もう私は──
玲央さんの愛の証を、拒否することができない。
優しさも、誠実さも、全部本物だって分かっている。
でも、だからこそ怖い。
いつだって、子供ができるかもしれない状況。
セックスが、怖い。
愛されることが、怖い。
未来が変わってしまうのが、怖い。
「ひより? どうしたの?」
玲央さんが心配そうに私の顔を覗き込んできた。
その瞬間、私は彼の目を見つめながら、ぽろりと涙を零した。
「……赤ちゃん、できたかも。」
声が震えていた。
でも、伝えなきゃいけない気がして、なんとか絞り出した言葉だった。
玲央さんは、驚いたように目を見開いたあと、すぐに恥ずかしそうに笑った。
「……本当に?」
まるで自分の分身がこの世に生まれることが、ただ嬉しいとでも言うような、優しくて無邪気な笑顔だった。
「……怖いの。」
私は、かすれる声で呟いた。
言った瞬間、また涙があふれてきた。
心の奥からせり上がってきた不安を、もう隠すことができなかった。
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