15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜 【完結】

日下奈緒

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第10章 15歳差の恋、いま永遠になる

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この日は、さすがの玲央さんも緊張していた。

「だいぶ固くなっていますね。」

助手席でそうからかうと、玲央さんはふっと息をつきながらハンドルにもたれかかる。

「そりゃあそうだろ……」

ネクタイを少し緩めながら、鏡越しに自分の表情を確認する。

その顔には、いつもの余裕はなくて、どこか少年のような不安が混じっていた。

「15歳も上の男が、大学生の娘と結婚したいって言うんだ。……緊張しないほうが不自然だよな。」

その言葉に、私は小さく笑ってしまった。

普段あんなに頼もしい人なのに、今日はまるで私より年下に見える。

「でも、大丈夫。玲央さんがどれだけまっすぐな人か、ちゃんと伝わるよ。」

私がそう言うと、玲央さんは小さく目を細めた。

「……ありがとう。俺、ほんとにひよりに出会えてよかった。」

「うん。私も。」

手を重ねると、玲央さんの手は少し汗ばんでいて、ほんの少し震えていた。

私たちは、確かにまだ凸凹な組み合わせかもしれない。
だけど、この手を離したくないという想いだけは、誰にも負けない。

「よし、行こうか。」

玲央さんが深く息を吸い込んで、エンジンを切った。

ドアを開けると、少し冷たい風がスーツの裾を揺らす。

私は彼の隣に並んで、実家の玄関の前に立った。

チャイムを押す指先が、震えているのを私はそっと握った。

「行こう、玲央さん。」

「……うん。」

そうして、ふたりで未来への扉を開けた。

「まあまあ、よくいらっしゃいました。」

玄関の扉を開けた母は、にこやかに、それでいてどこか探るような表情で玲央さんを出迎えた。

その目は笑っているのに、奥に光るのは“母としての警戒心”……そんな複雑な色。

「一ノ瀬玲央と申します。本日は……」

玲央さんが深々と頭を下げる。

「いいのよ、そんなにかしこまらなくて。細かい話は、後で聞きますからね。」

母の返事はどこか意味深で、私は内心ヒヤリとする。

でも、母なりの歓迎の言葉だと信じたい。

玄関に並べられたスリッパ。

今日は来客用の、あまり使わない白地に刺繍の入ったものが用意されていた。

母はそれを玲央さんに手渡し、そのまま彼を応接間へと案内する。

応接間――

いつもは使わないその部屋に、一歩足を踏み入れた玲央さんは、一瞬だけ足を止めた。

私も、つい目を丸くする。

「えっ……ここ、こんな部屋だった?」

ただ大きなテーブルがあるだけのはずの部屋には、

床の間に掛け軸が飾られ、テーブルの中央には季節の花が生けられた花瓶が置かれている。

テーブルクロスさえ敷かれていて、まるで料亭の個室みたいになっていた。

そっとキッチンに顔を出すと、母が湯呑みにお茶を注いでいるところだった。

「ねえ、お母さん。どうしたの? 応接間、やたら整ってたけど……」
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