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第6部 公爵家の没落、援助の申し出
⑨
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ルシアは顔をしかめ、彼を睨みつける。
「妹でありながら、姉に対して無礼な態度をとるなど、はなはだしい。」
「私は、公爵家の人間よ。」
その言葉に込められたのは、誇りと傲慢さだった。
「それがどうした。」
セドリックの瞳が鋭く光る。
「偉い身分にあるのは、お父上だ。君はただその家に生まれただけの女性だ。」
ルシアは目を見開いた。言葉を返そうとしても、何も出てこない。
「身分は、努力や品格の上に成り立つものだ。家名に胡坐をかいて、姉を見下し、伯爵を見下し、己の欲望に従って動く。そんな者に、誇りある貴族の名はふさわしくない。」
セドリックの静かな言葉に、応接室の空気は一変していた。
ルシアの唇がわなわなと震え、その場に立ち尽くした。
セドリックは私の手をしっかりと握ると、毅然とした声で言った。
「帰るぞ、クラリス。」
その一言で私も立ち上がろうとした時だった。
「待ってくれ、グレイバーン伯爵!」
お父様の声が、焦り混じりに響いた。
セドリックは足を止め、ゆっくりと振り返る。
「お父上。引き続き、生活費の援助はいたします。」
「えっ……生活費だけ?」
「はい。それ以上のこと――たとえば、それを盾にしてクラリスとの離婚を強いるようなことがあるなら、すぐにすべて打ち切ります。」
「いや、それは……違う……」
お父様の声がしぼんだ。
そしてセドリックは、ルシアに鋭い視線を向ける。
「その代わりに、ルシア嬢をきちんと教育し直してください。人として、家名を背負う者として、必要な礼儀と誠意を。」
ルシアは唇を噛んだまま何も言えなかった。
「それが、私からの最後の条件です。」
セドリックはそう言い残すと、私の手を引いて応接室を後にした。
帰りの馬車の中、私はずっと視線を落としていた。窓の外に広がる街並みが、ぼんやりと流れていく。
「クラリス、君の激しい落ち込みは分かる。」
優しくそう言ってくれたセドリックの声に、胸が締めつけられる。
「セドリック……」
けれど、私が本当に落ち込んでいるのは、実家の没落や両親の態度のせいではなかった。
「本当に申し訳ありません。」
私は深く頭を下げた。
セドリックは少し驚いたような顔をして、私を見つめる。
「君は、実家のことで僕に頭を下げてばかりだな。」
「……あんな家族でも、私には家族だから。」
涙が頬をつたう。
「もう切り離すこともできるのに、それができない。情けないわよね……」
その時、セドリックは私の手を取って、しっかりと握ってくれた。
「情けないなんて思わない。君のその優しさこそが、僕が愛したクラリスなんだよ。」
「妹でありながら、姉に対して無礼な態度をとるなど、はなはだしい。」
「私は、公爵家の人間よ。」
その言葉に込められたのは、誇りと傲慢さだった。
「それがどうした。」
セドリックの瞳が鋭く光る。
「偉い身分にあるのは、お父上だ。君はただその家に生まれただけの女性だ。」
ルシアは目を見開いた。言葉を返そうとしても、何も出てこない。
「身分は、努力や品格の上に成り立つものだ。家名に胡坐をかいて、姉を見下し、伯爵を見下し、己の欲望に従って動く。そんな者に、誇りある貴族の名はふさわしくない。」
セドリックの静かな言葉に、応接室の空気は一変していた。
ルシアの唇がわなわなと震え、その場に立ち尽くした。
セドリックは私の手をしっかりと握ると、毅然とした声で言った。
「帰るぞ、クラリス。」
その一言で私も立ち上がろうとした時だった。
「待ってくれ、グレイバーン伯爵!」
お父様の声が、焦り混じりに響いた。
セドリックは足を止め、ゆっくりと振り返る。
「お父上。引き続き、生活費の援助はいたします。」
「えっ……生活費だけ?」
「はい。それ以上のこと――たとえば、それを盾にしてクラリスとの離婚を強いるようなことがあるなら、すぐにすべて打ち切ります。」
「いや、それは……違う……」
お父様の声がしぼんだ。
そしてセドリックは、ルシアに鋭い視線を向ける。
「その代わりに、ルシア嬢をきちんと教育し直してください。人として、家名を背負う者として、必要な礼儀と誠意を。」
ルシアは唇を噛んだまま何も言えなかった。
「それが、私からの最後の条件です。」
セドリックはそう言い残すと、私の手を引いて応接室を後にした。
帰りの馬車の中、私はずっと視線を落としていた。窓の外に広がる街並みが、ぼんやりと流れていく。
「クラリス、君の激しい落ち込みは分かる。」
優しくそう言ってくれたセドリックの声に、胸が締めつけられる。
「セドリック……」
けれど、私が本当に落ち込んでいるのは、実家の没落や両親の態度のせいではなかった。
「本当に申し訳ありません。」
私は深く頭を下げた。
セドリックは少し驚いたような顔をして、私を見つめる。
「君は、実家のことで僕に頭を下げてばかりだな。」
「……あんな家族でも、私には家族だから。」
涙が頬をつたう。
「もう切り離すこともできるのに、それができない。情けないわよね……」
その時、セドリックは私の手を取って、しっかりと握ってくれた。
「情けないなんて思わない。君のその優しさこそが、僕が愛したクラリスなんだよ。」
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