家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました

日下奈緒

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第9部 公開処刑の晩餐会

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そして王族主催の晩さん会に、私たちも招待された。

「なぜ伯爵の私たちが?」と、首をかしげた。

確かに、王族とのつながりなど私たちには何もないはずだ。

「君の実家の影響だろう。」

「えっ?」

思わず私は声を上げた。

またエルバリー家が何か画策したのだろうか。

「エルバリー家は、名家として知られているからね。借金のことは伏せてあって、貴族としての名前だけが先行している。そこの令嬢である君が僕と結婚したことで、注目されたのだろう。」

「なんか……嬉しいような、恥ずかしいような。」

私は思わず顔を赤らめた。確かに誇らしい気持ちはある。

でも同時に、あの家の裏事情を知っているだけに、素直には喜べない。

「堂々としていればいい。君は立派なグレイバーン伯爵夫人だ。」

セドリックはそう言って、私の手を取った。

「精一杯めかし込んで行こう。」

「この前の舞踏会みたいに?」

私がそう言うと、セドリックは少し頬を緩めた。

「君のあのときの赤いドレス、とても綺麗だった。」

「……あれは、お腹が目立たなかったからよ。」

私たちはまた顔を見合わせて、くすくすと笑った。

「ドレスは……お腹に合わせて直さないと。」

「新調すればいいじゃないか。」

「ええっ?またお金かかるわよ。」

私は慌てて言ったけれど、セドリックは少しも気にしていない様子で、あっさりと笑う。

「いいさ。どうせ二人目、三人目の時も着るのだし。」

「そんなに産む気なの?」

「僕は大家族が夢なんだ。」

彼の優しい声に、思わず胸があたたかくなった。

新しい命を迎える準備も、こうして少しずつ進んでいる。

きっとこの晩さん会も、私たちにとって忘れられない思い出になる。

そして楽しみにしていた晩餐会の日。

王宮の大広間には、煌びやかな衣装をまとった貴族たちが集っていた。

シャンデリアの光がクリスタルグラスに反射し、まるで星々が降ってくるようだった。

「クラリス。」

背後から聞き慣れた声に振り返ると、リリアンとエミリア、かつての友人たちの笑顔があった。

二人とも、今ではそれぞれ公爵夫人となっている。

「リリアン、エミリア!」

思わず手を取り合う。久しぶりの再会が嬉しかった。

「クラリスも呼ばれたのね。」

「そうなの。不思議だけど、嬉しいわ。」

するとエミリアがくすっと笑って言った。

「あら今、グレイバーン伯爵家は、公爵家よりも有名よ。あなたとセドリック様の仲睦まじさは、皆の憧れなの。」

「そんな……」

私は頬が熱くなるのを感じた。

確かに、昔はただの地味な令嬢だった私が、こうして王族の晩餐会に招かれているなんて――人生は何があるか分からない。

隣で微笑むセドリックの横顔を見て、私は静かに幸福を噛みしめた。
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