いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

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第5章

第223話 テアSIDE 絵本の中の王子さま③※

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「残念だがテア、今年の誕生日パーティーはクライス王子の婚約者が出席されるから王子とはダンスできないよ」

第一王子の21歳を祝う誕生日パーティーについて話があると言うから家に帰ってみれば、お母様が信じられないことを言い始めた。

(あいつのせいでテアと王子さまがダンスできないだって~!?)

一年に一度の特別な日なのに、それを邪魔するなんて許せない。お父様に「なんとかしてよぉ」とお願いしたんだけど、弱ったなという顔をしただけで、できるとは言わなかった。(全然頼りにならないぃ~)

「テアと王子様が踊れるようにしてくれなきゃ、もうお父様とは絶交だからねぇ!」

と猛烈に怒ったまま寮に戻った。


(もぉ~、イライラするぅ。)

「ハ、ンァッ…イイ。イイよぉ。もっと……はぁ、ちゃんと、愛してるって言ってよ~」
「あ、愛してます。テア様」
「様はつけないで! 命令口調で! もっと王子っぽく言ってぇ~!!」
「……テア、好きだ。愛してる。顔を見せろ」
「はぃ…あ。気持ちいぃですぅ~♡ あぁ。もっと見て、王子ぃ~」
「はっ、毎日毎日欲しがりやがって! 気持ちいいのか、ほらもっとやるよ」
「アッ…ン。だってだってェ、王子さまのがおっきくて、きもちぃのぉ~♡ テアの奥を…もっと突いてぇっ!!」

ぐちゅぐちゅ、ぱんぱんと言う音が耳に心地良い。ああ、キモチいいし、ンフッ、具合は悪くない。こいつ、見た目はただの筋肉男で全然なんだけど、声がクライス王子に似てるんだよね……。体の相性は結構いいかも~、アレも大きいし、アタリだね~。でも、もっと王子に似たやつがいるかも? 男なんていくらでもいるんだし、イロイロタメシテ探してみよ~。

「テア、愛してる!」
「あ、ン。イイッ!! キモチイイイ~~♡」

ぐりっと奥のイイトコロにあたって絶頂した。

「テア、愛して……」
「あ、今日はアイスティーね~、喉乾いたから早くして」
「は、はいっ。ただ今」

終わったらもうオトコに用はない。長居されると王子さまとの違いを感じちゃっておもしろくないから、片付けと飲み物の用意をさせてすぐに追い出した。ほとんど裸のまま大慌てで走り去っていく姿が面白い。

(ふぅ~、ちょっとだけイライラが収まった。)

気持ちいぃことは好き、愛されるのも好き。キレイなテアを求めて寄ってくる男たちを踏みつけるのが好き。

(あぁ、でもぉ、早く本物を手に入れた~い♡ こんな偽物じゃあ満足できないよぉ。早く王子さまとラブラブにならないと。)


「形だけの婚約者より、愛しのテアと踊りたい」って王子様が言ってくれたらぜーんぶ解決するはず。そのためにはテアの魅力をどんどんアピールしなきゃなんだけど、思っていたよりも王子さまに近づくのは難しかった。

学校ではあのモサ男が寄生虫みたいにべったりと王子にくっついて離れないし、彼の近くには学友たちがはべっている。放課後も、優秀な王子は補習もなく、すぐに魔法訓練所に行ってしまうから声をかける隙がない。ランチに誘いたくても学食では食べてないようだし……。

何もできないまま時間が過ぎ、イライラしてきた頃、やっと解決の糸口が見えた。お父様がとても貴重なサファイアを採掘し、その素晴らしい宝石でクライス王子の誕生日プレゼントを用意することができたのだ。(お父様、今まで役に立たないなんて思っててごめんねぇ)

「あぁ、なんてキレイ……。これで王子はテアのもの♡ ダンスも一緒に踊れるね~」

ピアスについている宝石、テア・サファイアは、今まで見たどんな宝石より美しくて、とわかった。しかもこれには特別な魔法がかけられていて、

ーー魅了の魔法。

これを持っていると、ピアスを持っているもの同士は、その他の人間は二人を邪魔しないようにとする。

これをクライス王子の誕生日に渡せば、それだけでも効果はバッチリなんだけど、念には念を。

お父様の提案で、モサ男はパーティーが終わるまで閉じ込めておくことになった。(お父様のお友達が協力してくれるんだってぇ~。)そのために、テアもちょっとだけ手伝わないといけないらしいんだけど、テアの力ならすぐにできるお仕事だというから、「いいよぉ~っ」と答えた。

お父様と青いフード被ったお友達に言われた通り仕事をこなし、これで邪魔者はいなくなった。

はずだったのに……。そうはならなかった。休み明け、やつは普通に登校してきていた。

「今ごろどこかに閉じ込められてるはずでしょ~! なんでいるのぉ!?」
 

剣術の授業では婚約者という立場を使って下手なくせに王子さまとペアになり、テアの王子さまにベタベタしている。わざと王子に身体をくっつけて誘惑し、抱きつくことまで……。

「キルナフェルライトなんて大嫌い~! キライキライキライ!!!!!!!」

テアはさっき見た光景があまりに腹立たしくて、授業が終わっても教室に戻る気にならず、誰もいなくなった広場に一人残って、やり場のない怒りを声に出して叫んでいた。

(くっそ~。でも、テアにはまだあのピアスがある。あれを王子に付ければ、きっと何もかもうまくいく)

「テアが助けてあげるから! 待っててね~王子さまぁ♡」

返し忘れてまだ持っていた木剣を投げ捨て、雲一つない空に向かって甘い声で呼びかけた。
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