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第2章 テラドラックの怒り
第49話 スキルの覚醒
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「時間も限られていますので、早速始めちゃいますね」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
ずっと言葉足らずな女神に対し、僕は初めて大きな声を出した。すると女神は何故か悲しそうな目をこちらに向ける。
「覚醒、したくないのですか……?」
「いやいやいや、まず覚醒ってなんですか? それをするとどうなるのですか??」
「えっとですねえ」
女神は徐に分厚い本を取り出すと、ページを捲りながら「これじゃない、これでもない」と呟く。
「あの、時間が無いんじゃ……」
「大丈夫です。女神権限で多少は引き止められますから」
いいのか、それで。
「あ、あったあった。それでは覚醒についての説明を致します」
軽く咳払いをした後、姿勢を正してから続けた。
「スキルの覚醒とは――」
スキルの覚醒とは、潜在的な力や能力が完全に解放され、今までの力を超える新たな段階に達する現象を指す。このプロセスにより、スキルの威力や効果が飛躍的に向上し、新しい技や特性が追加されることもある。覚醒はただ単に力を強化するだけでなく、その者の本質や過去の経験、精神的な成長とも深く関わっている。
「まあ、簡単に言えば“強くなる”かもってことです!」
「簡単に言いましたね」
「どうです、興味沸きました?」
興味がない事もない。しかし、こういった旨い話には必ず短所があるというのが世の常だ。
「あ! 今、女神のこと疑ったでしょ!」
「はい」
「正直ですねえ……」
「それで、短所とか副作用とかあるんですか?」
「基本的にスキルの覚醒を行う時には、それぞれの属性の聖霊を呼び出してその魂の破片を融合させます。その際に聖霊の意識や性格が混じってしまうことがしばしばあるのです」
言ってしまえば憑依みたいな事か。強くなるとはいえ、性格が変わるのは嫌な気もする。
「あ、バルトさんは属性とか無いので私が聖霊の代わりを努めます!」
「絶対に嫌です」
「なんでですかあアアアア?!」
うるさい。
この女神様、こんな雰囲気だっけ?
「だって女神様の性格と混じっちゃうわけでしょ? 嫌ですよ」
「ひ、酷い……」
涙を浮かべた女神に対し、少し言い過ぎたかとも思ったが、女神はすぐに立ち直った。
「きっと上手くやるので大丈夫です!」
「その自信はどこからくるんですか」
「だって、これでも私は女神ですよ? 普通は聖霊のところを、私が入れば神霊となるわけですから百人力ではありませんか!?」
結局、自信の出どころが分からなかったが、その後も押し問答は続き――。
「わかりましたよ。覚醒の儀式をお願いします」
「ありがとうございます!!」
いや、感謝するのは僕の方だけど。
「古《いにしえ》より続く時の流れを越え、選ばれし者よ、我が前に立ちしことを讃える」
女神の声が響くと、大地から暖かな光が立ち上り、身体を包み込んだ。心は不思議な安堵感に満たされ、静かに彼女の言葉を受け入れる。
「汝の心は清らかに、汝の意志は強く、その魂は光を帯びている。今こそ真なる力を得る時が来た」
女神の手から放たれた光が降り注ぎ、僕の体に浸透していく。
「この手に、汝の眠りし力を委ねよう。汝が歩むべき道を照らす光となれ」
光が一瞬で体に吸い込まれ、内なる力が目覚めた。全身のこれまでとは違う力がはっきりと感じられる。
「――汝の名にかけて、スキル『【普通】』、今ここに目覚めよ!」
強烈な光が辺りを包み、僕のスキルが完全に覚醒した瞬間、周囲の空気が震えた。
「光と闇、全てを包む森羅万象が汝と共にあることを」
女神の最後の言葉と共に光が収まり、僕の意識は遠のいていった。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
ずっと言葉足らずな女神に対し、僕は初めて大きな声を出した。すると女神は何故か悲しそうな目をこちらに向ける。
「覚醒、したくないのですか……?」
「いやいやいや、まず覚醒ってなんですか? それをするとどうなるのですか??」
「えっとですねえ」
女神は徐に分厚い本を取り出すと、ページを捲りながら「これじゃない、これでもない」と呟く。
「あの、時間が無いんじゃ……」
「大丈夫です。女神権限で多少は引き止められますから」
いいのか、それで。
「あ、あったあった。それでは覚醒についての説明を致します」
軽く咳払いをした後、姿勢を正してから続けた。
「スキルの覚醒とは――」
スキルの覚醒とは、潜在的な力や能力が完全に解放され、今までの力を超える新たな段階に達する現象を指す。このプロセスにより、スキルの威力や効果が飛躍的に向上し、新しい技や特性が追加されることもある。覚醒はただ単に力を強化するだけでなく、その者の本質や過去の経験、精神的な成長とも深く関わっている。
「まあ、簡単に言えば“強くなる”かもってことです!」
「簡単に言いましたね」
「どうです、興味沸きました?」
興味がない事もない。しかし、こういった旨い話には必ず短所があるというのが世の常だ。
「あ! 今、女神のこと疑ったでしょ!」
「はい」
「正直ですねえ……」
「それで、短所とか副作用とかあるんですか?」
「基本的にスキルの覚醒を行う時には、それぞれの属性の聖霊を呼び出してその魂の破片を融合させます。その際に聖霊の意識や性格が混じってしまうことがしばしばあるのです」
言ってしまえば憑依みたいな事か。強くなるとはいえ、性格が変わるのは嫌な気もする。
「あ、バルトさんは属性とか無いので私が聖霊の代わりを努めます!」
「絶対に嫌です」
「なんでですかあアアアア?!」
うるさい。
この女神様、こんな雰囲気だっけ?
「だって女神様の性格と混じっちゃうわけでしょ? 嫌ですよ」
「ひ、酷い……」
涙を浮かべた女神に対し、少し言い過ぎたかとも思ったが、女神はすぐに立ち直った。
「きっと上手くやるので大丈夫です!」
「その自信はどこからくるんですか」
「だって、これでも私は女神ですよ? 普通は聖霊のところを、私が入れば神霊となるわけですから百人力ではありませんか!?」
結局、自信の出どころが分からなかったが、その後も押し問答は続き――。
「わかりましたよ。覚醒の儀式をお願いします」
「ありがとうございます!!」
いや、感謝するのは僕の方だけど。
「古《いにしえ》より続く時の流れを越え、選ばれし者よ、我が前に立ちしことを讃える」
女神の声が響くと、大地から暖かな光が立ち上り、身体を包み込んだ。心は不思議な安堵感に満たされ、静かに彼女の言葉を受け入れる。
「汝の心は清らかに、汝の意志は強く、その魂は光を帯びている。今こそ真なる力を得る時が来た」
女神の手から放たれた光が降り注ぎ、僕の体に浸透していく。
「この手に、汝の眠りし力を委ねよう。汝が歩むべき道を照らす光となれ」
光が一瞬で体に吸い込まれ、内なる力が目覚めた。全身のこれまでとは違う力がはっきりと感じられる。
「――汝の名にかけて、スキル『【普通】』、今ここに目覚めよ!」
強烈な光が辺りを包み、僕のスキルが完全に覚醒した瞬間、周囲の空気が震えた。
「光と闇、全てを包む森羅万象が汝と共にあることを」
女神の最後の言葉と共に光が収まり、僕の意識は遠のいていった。
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