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第2章 テラドラックの怒り
第63話 戦の心得
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「き、キャプテン?!」
声の正体は、我らがキャプテン・セリーナであった。
「なんでここに……」
「なんではこちらのセリフですよ海将」
そういえば、キャプテンがなぜ呼ばれていないのかずっと気になってはいた。ただ忙しいだけかとも思ったが、この大事にそんな理由で呼ばれないわけがない。
「そ、それは……」
「貴女はいつも大きな決断をする時にワタシを除け者にしますからな。あの代弁官とすれ違ったので何かあると思って来てみれば」
キャプテンは腰に両手を置き、ため息を吐きながら首を左右に振った。
「止められると思ったのでしょう?」
「……ええ、その通りよキャプテン・セリーナ」
「止めるわけがありません」
何事もキッパリと物申す我らがキャプテン。その姿はいつにも増して輝いて見える。
「そう、なら――」
「戦において! 将の首が落とされること則ち、その戦は負けたことと同意にて!」
「貴女、何を……って、うわああ!」
我らがキャプテンは大胆にも海将のデスクにその長い足を伸ばして上ると、胡座《あぐら》をかいた。
「今は戦の時。敵を騙し、味方を騙してこそ真の策士と言えるでしょう。違いますか?」
「そ、そうね。その通りよ」
あまりの衝撃に目を真ん丸にし、上手く言葉が出ない海将であった。
◇◇◇◇◇
「本当によろしいので?」
「ええ! 台本《シナリオ》通りにね」
この日、この時、リラ中尉の裁判が再開された。
「それでは尋問官、代弁官はそれぞれの主張を再度行なってください」
「尋問官側は極刑を求めます」
「代弁官側は無罪を主張致します」
睨み合う両者陣営。
「代弁官側から証人の召喚申請がありました。尋問官側はよろしいですか?」
「もちろんです。何をしても無駄でしょうからな」
なんだあのハゲ頭め! と、叫びたくなる口をグッと噛み締め、戦況を見守る。
「それでは、お名前とご職業を」
「オズヴァルト・ヴェイレン。元騎士団所属で、今は商人をしています」
1人目の証人はリラ中尉と騎士団学校からの親友で、性格や人となりを話した。この裁判に多く関わることはないだろうが、性格や思い出話で傍聴席にいる記者の心を掴もうという作戦か。
あまり響いてはなさそうだが。
「それでは、お名前とご職業を」
「レイナード・グリーヴスだ。服役中の元海賊さ」
一気に騒つく傍聴席。先ほどのギャップが凄い。
この受刑者はリラ中尉が内偵中、そばにいた男だという。彼は自身が逮捕されるまでの全てを話した。
「意義あり!」
証人が発言中にも関わらず、尋問官が証人へ詰め寄る。
「先ほどの証言で、証人《コイツ》は被告と共に漁船を襲ったと言った。これは被告がその犯罪に加担したという証拠である!」
「待っていただきたい」
ユークリッド氏は冷静に応えた。
「証言にはまだ続きがあります。子どもじゃあるまいし、最後までしっかりとお聞き願いたい」
煽ってる、煽ってるよぉ。
「確かにオレらは漁船を襲った。だが、漁船だと思っていたのはオレだけだった。
そこにいるお嬢ちゃんと漁船の中の騎士団はグルだった。だからオレは今ここでこんなつまらん話をさせられているってわけよ」
裁判が始まった時とは風向きが違う――そう感じたのは僕だけでは無かっただろう。
「それでは、お名前とご職業を」
「イルメナ・フォクサリア。海洋騎士団に所属しています」
3人目の証人が出てきた瞬間、当事者席に座っていたリラさんの眉間に皺が寄った。
それもそのはず、この証人は存在しないのだから。
声の正体は、我らがキャプテン・セリーナであった。
「なんでここに……」
「なんではこちらのセリフですよ海将」
そういえば、キャプテンがなぜ呼ばれていないのかずっと気になってはいた。ただ忙しいだけかとも思ったが、この大事にそんな理由で呼ばれないわけがない。
「そ、それは……」
「貴女はいつも大きな決断をする時にワタシを除け者にしますからな。あの代弁官とすれ違ったので何かあると思って来てみれば」
キャプテンは腰に両手を置き、ため息を吐きながら首を左右に振った。
「止められると思ったのでしょう?」
「……ええ、その通りよキャプテン・セリーナ」
「止めるわけがありません」
何事もキッパリと物申す我らがキャプテン。その姿はいつにも増して輝いて見える。
「そう、なら――」
「戦において! 将の首が落とされること則ち、その戦は負けたことと同意にて!」
「貴女、何を……って、うわああ!」
我らがキャプテンは大胆にも海将のデスクにその長い足を伸ばして上ると、胡座《あぐら》をかいた。
「今は戦の時。敵を騙し、味方を騙してこそ真の策士と言えるでしょう。違いますか?」
「そ、そうね。その通りよ」
あまりの衝撃に目を真ん丸にし、上手く言葉が出ない海将であった。
◇◇◇◇◇
「本当によろしいので?」
「ええ! 台本《シナリオ》通りにね」
この日、この時、リラ中尉の裁判が再開された。
「それでは尋問官、代弁官はそれぞれの主張を再度行なってください」
「尋問官側は極刑を求めます」
「代弁官側は無罪を主張致します」
睨み合う両者陣営。
「代弁官側から証人の召喚申請がありました。尋問官側はよろしいですか?」
「もちろんです。何をしても無駄でしょうからな」
なんだあのハゲ頭め! と、叫びたくなる口をグッと噛み締め、戦況を見守る。
「それでは、お名前とご職業を」
「オズヴァルト・ヴェイレン。元騎士団所属で、今は商人をしています」
1人目の証人はリラ中尉と騎士団学校からの親友で、性格や人となりを話した。この裁判に多く関わることはないだろうが、性格や思い出話で傍聴席にいる記者の心を掴もうという作戦か。
あまり響いてはなさそうだが。
「それでは、お名前とご職業を」
「レイナード・グリーヴスだ。服役中の元海賊さ」
一気に騒つく傍聴席。先ほどのギャップが凄い。
この受刑者はリラ中尉が内偵中、そばにいた男だという。彼は自身が逮捕されるまでの全てを話した。
「意義あり!」
証人が発言中にも関わらず、尋問官が証人へ詰め寄る。
「先ほどの証言で、証人《コイツ》は被告と共に漁船を襲ったと言った。これは被告がその犯罪に加担したという証拠である!」
「待っていただきたい」
ユークリッド氏は冷静に応えた。
「証言にはまだ続きがあります。子どもじゃあるまいし、最後までしっかりとお聞き願いたい」
煽ってる、煽ってるよぉ。
「確かにオレらは漁船を襲った。だが、漁船だと思っていたのはオレだけだった。
そこにいるお嬢ちゃんと漁船の中の騎士団はグルだった。だからオレは今ここでこんなつまらん話をさせられているってわけよ」
裁判が始まった時とは風向きが違う――そう感じたのは僕だけでは無かっただろう。
「それでは、お名前とご職業を」
「イルメナ・フォクサリア。海洋騎士団に所属しています」
3人目の証人が出てきた瞬間、当事者席に座っていたリラさんの眉間に皺が寄った。
それもそのはず、この証人は存在しないのだから。
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