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第5話 逃れられない絆の気配
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「……っ、あ……」
薄暗い天井。知らないベッド。乾きかけた涙の痕。
レイはぼんやりと目を覚まし、次の瞬間、自分の身体の異変に気づいた。
(……また、抱かれたんだ……)
腰が重く、奥が熱い。何より、カイルの体温がすぐ隣にある。ベッドに横たわるレイを、まるで壊れもののように腕の中で抱え込み、眠っていた。
「……離して」
低くつぶやいても、カイルの腕は解けない。
「レイ」
「離せって……言ってる」
「無理だ」
カイルは目を開け、レイの瞳を真っ直ぐ見つめ返してくる。優しげなその表情の奥に、どこか狂気に近い執着が見え隠れしていた。
「番になろう。……ちゃんとした、“番”に」
「……っ、ふざけるな」
レイは彼の胸を突き飛ばし、シーツを引き寄せて身体を隠した。
「こんな状況で、そんなこと言うなんて……バカじゃないのか」
「バカでもいい。お前を、俺以外の誰にも触れさせたくない」
「気持ち悪いんだよ……!」
怒鳴りながらも、レイの指は震えていた。あの夜、あんなに甘く蕩けさせられて、快感に流されたことを、自分自身が許せない。
「なぁレイ……お前は、俺のことを嫌ってるか?」
「……」
「それでも、昨日の夜……お前は俺を受け入れた」
「それは、フェロモンのせいだ。発情期だったから、仕方なく……」
「仕方なく、あんな声を出してたのか?」
「っ……黙れよ……」
カイルの言葉が、痛いほど核心を突いてくる。快感に負けたことを責めているようで、レイは口を噤んだ。
「……正式に番になってくれ。そうすれば、俺はお前を守れる」
「もう守られてる。昨日だって、十分すぎるほどに」
「そうじゃない。心も、全部俺に預けてほしい」
優しい声でそう言われると、余計に胸が苦しくなる。
「無理だよ……」
かすれた声でつぶやくレイに、カイルはそれ以上言葉を重ねず、ただ黙って隣に座り続けた。
重い沈黙が続く中、レイの身体がふいにピクリと震える。
「っ……また……?」
発情期の余波。終わったはずの快感が、まだ身体に残っている。じんわりと奥が疼き、呼吸が浅くなっていく。
「レイ……?」
「近づくな……」
レイの目が潤む。必死に抗っても、理性がまた押し流されそうになる。
「もう……なんで……♡ からだ、おかしい……っ♡」
思わず漏れた吐息は、明らかに熱を帯びていた。シーツを握る指に力が入る。
(いやだ……また、あんな風に……)
でも、その“いや”がどこか曖昧になっていることにも、レイは気づいてしまっていた。
薄暗い天井。知らないベッド。乾きかけた涙の痕。
レイはぼんやりと目を覚まし、次の瞬間、自分の身体の異変に気づいた。
(……また、抱かれたんだ……)
腰が重く、奥が熱い。何より、カイルの体温がすぐ隣にある。ベッドに横たわるレイを、まるで壊れもののように腕の中で抱え込み、眠っていた。
「……離して」
低くつぶやいても、カイルの腕は解けない。
「レイ」
「離せって……言ってる」
「無理だ」
カイルは目を開け、レイの瞳を真っ直ぐ見つめ返してくる。優しげなその表情の奥に、どこか狂気に近い執着が見え隠れしていた。
「番になろう。……ちゃんとした、“番”に」
「……っ、ふざけるな」
レイは彼の胸を突き飛ばし、シーツを引き寄せて身体を隠した。
「こんな状況で、そんなこと言うなんて……バカじゃないのか」
「バカでもいい。お前を、俺以外の誰にも触れさせたくない」
「気持ち悪いんだよ……!」
怒鳴りながらも、レイの指は震えていた。あの夜、あんなに甘く蕩けさせられて、快感に流されたことを、自分自身が許せない。
「なぁレイ……お前は、俺のことを嫌ってるか?」
「……」
「それでも、昨日の夜……お前は俺を受け入れた」
「それは、フェロモンのせいだ。発情期だったから、仕方なく……」
「仕方なく、あんな声を出してたのか?」
「っ……黙れよ……」
カイルの言葉が、痛いほど核心を突いてくる。快感に負けたことを責めているようで、レイは口を噤んだ。
「……正式に番になってくれ。そうすれば、俺はお前を守れる」
「もう守られてる。昨日だって、十分すぎるほどに」
「そうじゃない。心も、全部俺に預けてほしい」
優しい声でそう言われると、余計に胸が苦しくなる。
「無理だよ……」
かすれた声でつぶやくレイに、カイルはそれ以上言葉を重ねず、ただ黙って隣に座り続けた。
重い沈黙が続く中、レイの身体がふいにピクリと震える。
「っ……また……?」
発情期の余波。終わったはずの快感が、まだ身体に残っている。じんわりと奥が疼き、呼吸が浅くなっていく。
「レイ……?」
「近づくな……」
レイの目が潤む。必死に抗っても、理性がまた押し流されそうになる。
「もう……なんで……♡ からだ、おかしい……っ♡」
思わず漏れた吐息は、明らかに熱を帯びていた。シーツを握る指に力が入る。
(いやだ……また、あんな風に……)
でも、その“いや”がどこか曖昧になっていることにも、レイは気づいてしまっていた。
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