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1章 異世界へ
行方不明のアリシア 2
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~アリシア視点~
時は少し遡る。
私はラオス宰相と護衛の者数十名を連れて隣国のワルサーム王国を目指し移動していた。
その道中、盗賊に襲われた私たちは撃退するため、私と宰相を守る数名を残して迎撃に向かった。
馬車の中にいたため戦況が分からず、皆さんが戦っている音しか聞こえなかったが、戦闘中に迎撃に向かった1人の騎士が私たちの下へ訪れた。
「も、申し上げます!かなりの盗賊が攻めてきており、我々は劣勢の状態です。不覚ながら私自身も深傷を負ってしまいました」
その言葉通り、報告に来た騎士は全身に痛々しい傷を作っており、劣勢な様子が見てとれる。
「一刻も速い離脱をお願いしたく馳せ参じました」
それだけ戦況は悪いようで騎士の方が頭を下げて進言する。
「アリシア様、この騎士の言う通り今すぐ離脱しましょう」
ラオス宰相も同意しており、私に離脱を促す。
(私の持つスキル、【未来視】では十秒後の未来しか見えません。なので、危険な未来が見えた時には遅すぎます)
今まで私に差し向けられた刺客や毒物などは10秒後の未来を見るスキルと【危機察知】により回避してきた。
しかし今回の場合、10秒後に馬車が襲われる未来が見えたとしても回避は不可能。
そう思い逡巡した後、決断をする。
「分かりました。私たちは離脱を試みます。ミネルヴァ、付いてきてください」
「かしこまりました」
私が最も信頼するメイドのミネルヴァに同行をお願いする。
もちろんメイドとしての技術だけでなく戦闘面も一流で、Aランク冒険者並みの実力者だ。
ちなみにスラッとした体型や綺麗な顔立ちをしており、同性の私から見ても嫉妬してしまうくらいの美女だ。
「私の方からも数名の護衛を同行させます」
とのことで、宰相の護衛に同行していた5人の男性も私たちに付いて行くこととなる。
「では行きましょう」
私の言葉に全員が頷き、馬車を後にする。
「盗賊のいない方角へ逃げるとなるとワルサーム王国に向かうしかありませんね」
「はい。何かあった時のために地図を入手しておりますので、私が案内します」
宰相がそう言って地図を取り出す。
「当初の予定通り、ワルサーム王国の大使の方と合流する地点まで遠回りで移動します。幸い、合流地点までは残り数キロ程度でしたので遠回りしても2時間程度でたどり着くと思います」
宰相の言葉に私は逡巡する。
「いかがいたしますか?アリシア様」
小声でミネルヴァが話しかける。
「そうですね。ここは宰相に従いましょう」
信頼してはいない宰相に従うのは危険だが、この辺りで適当に動いた方が危険なため、地図を持っている宰相の指示に従うことにする。
「定期的に【未来視】は発動しておきます。何かあった時はよろしくお願いします」
「かしこまりました」
私が【未来視】を持っていることを知っているのはお母様とミネルヴァのみ。
連続の使用はデメリットを伴うが、今はデメリットを気にしている場合ではない。
「宰相、案内をお願いします」
「分かりました」
こうして私たちは移動を開始した。
30分ほど歩いたところで私の息が上がる。
「はぁはぁ……」
「少し休憩をしましょう」
「あ、ありがとう……ございます」
慣れない道に加え、【未来視】を定期的に使用していることで、すぐに疲労が訪れる。
「アリシア様、お水をどうぞ」
「ありがとうございます、ミネルヴァ」
【未来視】で毒がないことを確認し、一口飲む。
「まだ1時間以上あるのですね」
「そのようです。私がアリシア様をお抱えして移動したいところではありますが……」
「ミネルヴァが不測の事態で動けなくなるのは困ります。なので私自身の足で歩きます」
小声で話をしながら休息を取り、再び歩き出す。
定期的に休息を挟み移動すること約1時間。
残り30分ほどで大使との合流地点という所で宰相たちが動き出した。
「ミネルヴァっ!ジャンプして回避です!」
「っ!」
私の指示にミネルヴァが動き、その場で跳躍。
すると、ミネルヴァがいた場所へ数多の魔法が放たれた。
「ほう。これを回避しますか。今のはミネルヴァの危機察知能力というよりアリシア様の能力ですか?」
宰相が興味深そうに呟く。
そして宰相が連れた5人の男たちが武器を構えて私たちを囲む。
「やはり宰相が私の命を狙う黒幕でしたか」
「黒幕と言われると厳密には違うのですが、その辺りは説明しなくてもいいでしょう」
とても気になる発言をしたが、今は現状を打破することが先なので深くは考えない。
「ミネルヴァ。どうにかできそうですか?」
「申し訳ありません。アリシア様を守りながらとなると全員を倒すことは不可能です」
「敵は目の前の男たちだけではありませんからね。仕方ありません」
先程、ミネルヴァを襲った攻撃は、私たちを囲う5人の攻撃ではなく、何処かに潜んでいる者の攻撃だった。
何方向からも攻撃をされていたので、隠れている敵は3人はいるだろう。
「コソコソ話しているところ悪いのですが、私のお願いを聞き入れていただけますか?そうすれば命だけは助けてあげます」
余裕のある笑みを浮かべた宰相が話しかける。
「……目的は何ですか?」
「えぇ。私の目的はただ一つ。私を次期国王にしてください」
「もちろん承諾しかねます。あなたのような方に国を預けるわけにはいきませんから」
「そうですか。でしたら……力づくで認めさせてもらいます」
「ミネルヴァっ!」
私はミネルヴァの名前を呼ぶ。
するとミネルヴァが私の意図を汲み取り、私を抱えて跳躍。
そして、その場から離脱を図る。
「追いなさい!ミネルヴァも出来るだけ生け取りにしなさい!」
宰相の指示を受け、私たちの後を追う男たち。
「マズイです。このままだと追いつかれます」
さすがのミネルヴァも私を抱えた状態では逃げるスピードは落ちるようだ。
「出来るだけ長く逃げてください。私が【未来視】で生き残る可能性を探してみますので」
この状況で頼れるのは【未来視】のみ。
私は一縷の望みにかけ、【未来視】を発動した。
時は少し遡る。
私はラオス宰相と護衛の者数十名を連れて隣国のワルサーム王国を目指し移動していた。
その道中、盗賊に襲われた私たちは撃退するため、私と宰相を守る数名を残して迎撃に向かった。
馬車の中にいたため戦況が分からず、皆さんが戦っている音しか聞こえなかったが、戦闘中に迎撃に向かった1人の騎士が私たちの下へ訪れた。
「も、申し上げます!かなりの盗賊が攻めてきており、我々は劣勢の状態です。不覚ながら私自身も深傷を負ってしまいました」
その言葉通り、報告に来た騎士は全身に痛々しい傷を作っており、劣勢な様子が見てとれる。
「一刻も速い離脱をお願いしたく馳せ参じました」
それだけ戦況は悪いようで騎士の方が頭を下げて進言する。
「アリシア様、この騎士の言う通り今すぐ離脱しましょう」
ラオス宰相も同意しており、私に離脱を促す。
(私の持つスキル、【未来視】では十秒後の未来しか見えません。なので、危険な未来が見えた時には遅すぎます)
今まで私に差し向けられた刺客や毒物などは10秒後の未来を見るスキルと【危機察知】により回避してきた。
しかし今回の場合、10秒後に馬車が襲われる未来が見えたとしても回避は不可能。
そう思い逡巡した後、決断をする。
「分かりました。私たちは離脱を試みます。ミネルヴァ、付いてきてください」
「かしこまりました」
私が最も信頼するメイドのミネルヴァに同行をお願いする。
もちろんメイドとしての技術だけでなく戦闘面も一流で、Aランク冒険者並みの実力者だ。
ちなみにスラッとした体型や綺麗な顔立ちをしており、同性の私から見ても嫉妬してしまうくらいの美女だ。
「私の方からも数名の護衛を同行させます」
とのことで、宰相の護衛に同行していた5人の男性も私たちに付いて行くこととなる。
「では行きましょう」
私の言葉に全員が頷き、馬車を後にする。
「盗賊のいない方角へ逃げるとなるとワルサーム王国に向かうしかありませんね」
「はい。何かあった時のために地図を入手しておりますので、私が案内します」
宰相がそう言って地図を取り出す。
「当初の予定通り、ワルサーム王国の大使の方と合流する地点まで遠回りで移動します。幸い、合流地点までは残り数キロ程度でしたので遠回りしても2時間程度でたどり着くと思います」
宰相の言葉に私は逡巡する。
「いかがいたしますか?アリシア様」
小声でミネルヴァが話しかける。
「そうですね。ここは宰相に従いましょう」
信頼してはいない宰相に従うのは危険だが、この辺りで適当に動いた方が危険なため、地図を持っている宰相の指示に従うことにする。
「定期的に【未来視】は発動しておきます。何かあった時はよろしくお願いします」
「かしこまりました」
私が【未来視】を持っていることを知っているのはお母様とミネルヴァのみ。
連続の使用はデメリットを伴うが、今はデメリットを気にしている場合ではない。
「宰相、案内をお願いします」
「分かりました」
こうして私たちは移動を開始した。
30分ほど歩いたところで私の息が上がる。
「はぁはぁ……」
「少し休憩をしましょう」
「あ、ありがとう……ございます」
慣れない道に加え、【未来視】を定期的に使用していることで、すぐに疲労が訪れる。
「アリシア様、お水をどうぞ」
「ありがとうございます、ミネルヴァ」
【未来視】で毒がないことを確認し、一口飲む。
「まだ1時間以上あるのですね」
「そのようです。私がアリシア様をお抱えして移動したいところではありますが……」
「ミネルヴァが不測の事態で動けなくなるのは困ります。なので私自身の足で歩きます」
小声で話をしながら休息を取り、再び歩き出す。
定期的に休息を挟み移動すること約1時間。
残り30分ほどで大使との合流地点という所で宰相たちが動き出した。
「ミネルヴァっ!ジャンプして回避です!」
「っ!」
私の指示にミネルヴァが動き、その場で跳躍。
すると、ミネルヴァがいた場所へ数多の魔法が放たれた。
「ほう。これを回避しますか。今のはミネルヴァの危機察知能力というよりアリシア様の能力ですか?」
宰相が興味深そうに呟く。
そして宰相が連れた5人の男たちが武器を構えて私たちを囲む。
「やはり宰相が私の命を狙う黒幕でしたか」
「黒幕と言われると厳密には違うのですが、その辺りは説明しなくてもいいでしょう」
とても気になる発言をしたが、今は現状を打破することが先なので深くは考えない。
「ミネルヴァ。どうにかできそうですか?」
「申し訳ありません。アリシア様を守りながらとなると全員を倒すことは不可能です」
「敵は目の前の男たちだけではありませんからね。仕方ありません」
先程、ミネルヴァを襲った攻撃は、私たちを囲う5人の攻撃ではなく、何処かに潜んでいる者の攻撃だった。
何方向からも攻撃をされていたので、隠れている敵は3人はいるだろう。
「コソコソ話しているところ悪いのですが、私のお願いを聞き入れていただけますか?そうすれば命だけは助けてあげます」
余裕のある笑みを浮かべた宰相が話しかける。
「……目的は何ですか?」
「えぇ。私の目的はただ一つ。私を次期国王にしてください」
「もちろん承諾しかねます。あなたのような方に国を預けるわけにはいきませんから」
「そうですか。でしたら……力づくで認めさせてもらいます」
「ミネルヴァっ!」
私はミネルヴァの名前を呼ぶ。
するとミネルヴァが私の意図を汲み取り、私を抱えて跳躍。
そして、その場から離脱を図る。
「追いなさい!ミネルヴァも出来るだけ生け取りにしなさい!」
宰相の指示を受け、私たちの後を追う男たち。
「マズイです。このままだと追いつかれます」
さすがのミネルヴァも私を抱えた状態では逃げるスピードは落ちるようだ。
「出来るだけ長く逃げてください。私が【未来視】で生き残る可能性を探してみますので」
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