髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部

文字の大きさ
76 / 169
5章 ドラマ撮影開始まで

『鷲尾の家族に乾杯』の放送 3

しおりを挟む
「あははっ!お兄ちゃん、初っ端から飛ばすねー!」

 女子高生2人が気絶した様子を見た寧々が大爆笑している。

「いや、笑い事じゃないから。俺、突然目の前で倒れそうになってめっちゃ焦ったからな」

 そんな寧々にジト目でツッコミを入れる。
 そのタイミングで画面が切り替わり、今度は気絶から復活した女子高生2人が画面に映し出される。
 この映像は俺と別れた後にスタッフが撮影したもので、後日談のようなものにあたる。

――では夏目さんと会話したことで気絶された女子高生2人へ、インタビューをしてみたいと思います。

 とのナレーションの後、女子高生2人へスタッフが質問をする。

『夏目さんと直接お会いしてどうでしたか?』
『ヤバ過ぎです!チョーイケメンでした!今も心臓がバクバクしてますよ!』
『話しかけられてめっちゃ嬉しかったです!早速、友達に自慢したいと思います!』

 気絶から復活したばかりだというのに興奮気味で語る女子高生2人。
 そんな2人にスタッフが話しかける。

『実はお2人に夏目さんから伝言を預かっております』

 そう言ってスタッフが俺からの伝言を話し始める。

『ごめんなさい。俺が話しかけたせいで観光する時間が無くなっちゃって。そのお詫びといってはなんですが、これを受け取ってください』

 伝言を伝えたスタッフが俺からの贈り物である黄色い花を2人にプレゼントする。

『えっ!リン様から花を!?』
『も、もらって良いんですか!?』
『はい。夏目さんがお詫びの品として2人に購入された物です。夏目さんからのメッセージも付属しておりますので読んでみてください』

 スタッフに促された女子高生2人が、花に付属しているメッセージカードを読む。

『この花の名前は福寿草といって、花言葉は【幸せを招く】【永久の幸福】です。2人に永遠の幸せが訪れるようにという願いを込めて贈りました。気に入ってくれると嬉しいです』

 メッセージを読み終えた2人が“ボッ”と顔を真っ赤にする。

『うぅ……こんなの惚れちゃいますよ……』
『私、リン様のこと大好きになっちゃいました……』

 2人の女子高生がトロンとした目で呟く。

『開花時期は4月までなのでもうすぐ枯れると思いますが、この花は枯れても1月頃には再び咲き誇るらしいです』

 俺が伝えたことをスタッフが2人に伝える。

『大切に育ててくださいね』
『はい……大切に育てます……』
『私、この花を宝物にします……』

 2人が蕩けたような顔でスタッフの話に頷く。
 そこで画面が切り替わり、スタジオ内へと場面が移る。
 そのタイミングで隣に座っている寧々が声を上げる。

「ちょっ!お兄ちゃん!それは女子高生2人を殺しにきてるよ!オーバーキルだよ!」
「オ、オーバーキルなんてしてないぞ。俺はただ純粋に、2人に申し訳ないことをしたと思って贈り物をしただけだ」
「なんで福寿草なんて送ったの!あんなの惚れちゃうに決まってるでしょ!お兄ちゃんは女子高生2人を口説きたかったの!?」
「そ、そんなつもりで送ってねぇよ!」

 女子高生2人を口説くために福寿草を送ったわけじゃない。
 本当に申し訳ないことをしたので、2人に幸せが訪れるようにという願いを込めてプレゼントしただけだ。

「てか、お兄ちゃん。いつの間に花言葉なんて覚えたの?」
「ふっ、俺を甘く見るなよ。大抵の花なら花言葉はバッチリだ」

 子役の頃、花に関連するドラマに出演したことをキッカケに花に興味を持った俺は、花言葉について勉強をした。
 そのため、大抵の花ならすぐに花言葉を言える自信がある。

「……はぁ。お兄ちゃんって女の子にモテることに関しては天才的だよね。そうやって真奈美ちゃんや桃華さん、美奈ちゃんを口説いてきたんだね」
「おい、妹よ。俺は3人とも口説いてなんかないからな」

 妹がバカなことを言っていたため、ジト目でツッコむ。

「鈍いことに加え無自覚女たらしまで兼ね備えてるなんて。私、将来お兄ちゃんが女の子から刺されないか心配だよ」
「だから俺の話を聞けよ」

 物騒なことを言われたが、俺の話に聞く耳を持たない寧々を見て弁明を諦め、テレビへと視線を戻した。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

髪を切った俺が芸能界デビューした結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 妹の策略で『読者モデル』の表紙を飾った主人公が、昔諦めた夢を叶えるため、髪を切って芸能界で頑張るお話。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

処理中です...