髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部

文字の大きさ
89 / 169
5章 ドラマ撮影開始まで

夏目凛の写真集発売 2

しおりを挟む
~内山社長視点~

 時は少し遡り、凛くんの写真集が発売される6/1の深夜0時ごろ。
 アタシは事務所の社長室でSNSを眺めていた。

「ついに来た。写真集の発売日が。完売はしなくていいが、できるだけ多くの人に買ってもらわないと困るぞ」

 アタシはマジトーンで呟く。
 なぜなら凛くんの1st写真集を15万部も用意したから。
 写真集が15万部売れる芸能人は滅多におらず、15万部以上売り上げている芸能人は誰もが知っている有名人しかいない。
 そのことを理解しつつもアタシは凛くんの人気に賭け、15万部も準備した。

「さぁ、どうなる。頼むから売れてくれよ」

 アタシは切に願った。



 0時15分となり、アタシはSNSで写真集の売れ行きを調べる。
 そして発売開始してから15分で完売続出のコメントと買えなかった人のコメントを確認する。

「よしっ!さすが凛くんだ!」

 アタシは数々のコメントを見てガッツポーズをする。

「0時から発売しているコンビニだけの売り上げだが、飛ぶように売れているようだな」

 コンビニ以外にもTSU⚪︎AYAなど、10時開店の店もあるため、全て完売するかは分からないが、上々の滑り出しをしているようだ。

「正直、15万部は準備しすぎたと思ってたが足りなくなるんじゃないか?」

 そう思ってしまうくらいの勢いで凛くんの写真集が売れているようだ。

「これは社員たちにはまだまだ忙しい日々を過ごしてもらうことになりそうだな」

 ゴールデンウィーク初日に撮影した凛くんの写真集を翌月に発売するというハイペースな作業を社員にお願いしたことに加え、今回の売れ行きでまだまだ忙しくなることが確定した。
 今回も落ち着いたらボーナスを支給しようと心に誓う。

 その後もSNSを漁ったアタシは仮眠室へ移動し、朝まで眠りについた。



 始業開始の9時となる。

 すると一斉に固定電話が鳴り始め…

「社長ーっ!またしても増刷依頼です!」
「こちらも増刷依頼です!」
「分かった!矢上、増刷依頼の数をしっかり記録しておけ!」
「分かりました!」

 等々、朝から対応に追われる。

「さすが凛くんだ。次のVi⚪︎i国宝級イケメンランキングで確実に1位を獲れると言われてるだけあるな」

 Vi⚪︎iでは年に2回、上半期と下半期に国宝級イケメンを決める投票が行われ、上半期の投票が5月中旬から6月中旬まで行われる。
 この投票結果と本年度の上半期の話題性・活躍度を考慮してポイント化、ランキングを決め1位を発表するが、現在、投票期間中にも関わらず凛くんが1位で確定だろうと言う声が多々聞こえている。

(イケメン俳優や男性アイドルが霞んでしまうほどのルックスに加え、性格もイケメンということが世間に広まっているからな。それに話題性も文句なしだ。上半期は凛くんで決まりだろう。何なら下半期も1位を獲得して殿堂入りしそうな勢いだ)

 それを踏まえて15万部も用意したが、この勢いだと今日中にも15万部が完売しそうだ。

(1人で何冊も買ってる人がアタシの想定より遥かに多いからな)

 15万部もあれば当日に完売することはないと思い、事務所は忙しくならないと思っていたが、嬉しい誤算によって大忙しだ。
 その後、休む暇なく動き回る時間が続き、夜の21時ごろ、15万部全てが売り切れたことを確認した。

「相変わらず凛くんは凄いなぁ。多めに準備した15万部が全て完売するなんて」
「そうですね。規格外としか言いようがありません」

 アタシの言葉に21時まで残って残業してくれた矢上が答える。

「でも納得の結果ですね。凛さんほどのイケメンの写真集なら誰もが欲しがると思いますので。実際、買えなかった人たちは大勢いるらしいですよ」

 矢上の言葉通り、手に入らなかった人たちの嘆きの声が多数SNSで確認されており、15万部では足りなかったらしい。

「そうだな。これは増刷して発売しなければならないが……アタシに良い考えがあるんだ」
「……?何でしょうか?」

 アタシの言葉に矢上が首を傾げつつ聞いてくる。

「増刷した写真集を店で売るだけじゃ勿体無いと思うんだ。だからアタシは凛くんのサイン付きを販売するか、サイン会をしながらの販売を考えてる」
「おぉー!それは素晴らしいアイデアです!それなら今日写真集を購入した方も買おうと思いますよ!」
「だろ?まだまだ凛くんには稼いでもらわないといけないからな。ってなわけで矢上。サイン会を開催する、もしくは写真集にサインを書いてもらう予定だということを凛くんへ伝えてくれ。寧々さんにも話を通せば断ったりはしないだろう」
「分かりました!」

 そう返事をして矢上が部屋から飛び出した。



 その後、寧々さんからのお願いに負けた凛くんがサイン会を開きたいと言ってきた。

「凛くんは寧々さんに激甘だからな。まぁ、寧々さんみたいな美少女が妹だったら激甘なお兄ちゃんになるのも分かるけど」

 きっと寧々さんが「サイン会開こうよ!」とでも言って凛くんを説得したんだろう。
 その様子が容易に想像できたアタシは笑みを浮かべる。

「これで写真集の増刷と並行してサイン会の準備も行うこととなった。忙しくなりそうだな」

 そんなことを思いながらアタシは仕事を再開した。


【5章完結】
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

髪を切った俺が芸能界デビューした結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 妹の策略で『読者モデル』の表紙を飾った主人公が、昔諦めた夢を叶えるため、髪を切って芸能界で頑張るお話。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

処理中です...