髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部

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6章 ドラマ撮影編

撮影開始まで 3

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~立花香帆視点~

「……うぅ、香帆ちゃんも敵だったなんて……」
「だ、だから私はあんな奴、好きじゃないわよ!」

 私は真奈美に向けてそう叫ぶが、真奈美のジト目は治らない。
 そのため、別の話題を提供することにする。

「ね、ねぇ、真奈美。私とこんな話をしてる場合なの?あの女の子と仲良さそうに話してる凛の邪魔をしたほうがいいと思うわよ」

 私は寧々と呼ばれた女の子を見ながら真奈美に言う。
 私が真奈美と話している間も凛はその女の子と楽しそうに談笑しており、寧々という女の子が凛のことを好いているのが分かる。
 しかし真奈美は全く問題ないような素振りで口を開く。

「あ、あの子は凛くんの妹だから問題ないよ!もちろん、血の繋がった!」
「……え?妹なの?凛に好意を寄せる女の子にしか見えないんだけど」

 凛と楽しそうに話しているところを見ると、凛のことが大好きな女の子にしか見えない。

「寧々ちゃんはお兄ちゃん大好きっ子だからね!」
「……まぁ、凛がお兄ちゃんだったらお兄ちゃん大好きっ子になるのも仕方ないわ」

 ルックスは超絶カッコ良く、演技も天才的となればお兄ちゃん大好きっ子になるのも仕方ない。
 何なら昔の私は凛に恋をしていたので尚更否定できない。

(それにしても「香帆ちゃんも敵だったなんて」と言われたわ)

 その発言だけでライバルが多いことが理解できる。

(まぁ、今の私には関係ないけど)

 昔の私なら危機感を覚えただろうが、今の私は凛に恋などしてないので関係ない。
 そんなことを思いつつ、私は凛にデレデレしてないことをしっかりと伝える。

「昨日も言ったけど私は凛に興味ないわ。今は越えるべき相手としか思ってない」
「そ、そうは言ってたけど……凛くんって知らない間に女の子を堕とす天才なんだよ?今は香帆ちゃんが凛くんにデレてなくても、今後凛くんに堕とされる可能性だってあるんだから」
「………」

 昔、凛に堕とされました。
 そんなことは口が裂けても言えない。

(あの男、見惚れてしまうほどのルックスと演技力を兼ね備えてるからね。私みたいに知らず知らずのうちに女の子を堕としてそうだわ)

 そう思い、真奈美の言葉を否定できない。

「確かに凛は無自覚に女の子を堕とす天才だけど、私は凛に堕とされることなんてないわ」

 すでに一度堕とされた過去を盛大に棚に上げる私。

「だから大丈夫よ。それに私より真奈美の方が可愛いしスタイルだって良いから、仮に私がライバルになっても真奈美が勝つわ。まぁ、そんな未来、絶対来ないけどね」

 羨ましいことに真奈美の方が天真爛漫で同性の私から見ても可愛い。
 それに柔らかそうな巨乳まで備わっている。
 対する私は程よい膨らみ程度しかないため、再び私が凛のことを好きになったとしても、真奈美に勝つのは難しいだろう。

「そ、そんなことないけど……」

 しかし真奈美は納得しないようで、言い淀みながら私の方を見る。
 そんな真奈美を見て、私は“ポンっ”と真奈美の肩に手を置く。

「今から撮影が始まるわ。凛に上達したところを見せつけるんでしょ?」
「はっ!そうだった!凛くんに上達した私を見てもらって、たくさん褒めてもらうんだった!」

 そう言った真奈美がニヤニヤし始める。
 きっと凛から褒められてる所を想像してるのだろう。
 言動が完全に恋する乙女だ。

「私も凛に上達した所を見せつけてやるんだから」

 だらしない顔でクネクネしている真奈美を横目に見つつ、声に出して決意を新たにする。

 そのタイミングで…

「さて、みんな揃ったようだからさっそく撮影を始めるぞ」

 と、森野監督の声が撮影現場に響き渡る。

 その声を聞き、私たち3人は森野監督のもとへ集まる。

「今日、明日は生徒会室での撮影を行う。俺の納得のいかない演技ならやり直しを要求するから気合い入れて臨むように」
「「「はいっ!」」」

 私たち3人が返事をしてから撮影が始まる。
 まず最初に原作第1話の冒頭部分を撮影するため、準備された生徒会室へ黒川くん役の凛と二宮さん役の真奈美が入る。
 その様子を私は近くで見守る。

「よーい……アクションっ!」

 監督の声が響き渡り、原作第1話である黒川くんが二宮さんから告白してもらうよう暗躍する話が始まった。
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