髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部

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7章 凛くん争奪戦

立花香帆との撮影 1

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 立花さんとの会話を終え、川端さんのもとへ向かう。

「では立花さんとの撮影を始めます」

 カメラが回り始め、撮影が始まる。
 俺は事前に伝えられた台本を読み、カメラに向けて撮影内容を話す。
 立花さんから始め、桃ちゃん、美奈、浜崎さんと続き、最後に真奈美と撮ること。
 この撮影内容で『日本の果てまでイッテ来い』の夏目ガールが決まること。
 そして夏目ガールの仕事が課題クリアのために旅をする俺のサポートであることを説明する。

「それで今からの課題は何だ?」
「私との課題は南青葉小学校に行くことよ」
「南青葉小学校?聞いたことないな」

 当然と言えば当然だが、全く知らない学校が出てきた。

「凛はこの課題をクリアするため、スマホを使わず地域の人たちからの聞き込みだけで目指さなければならないわ。撮影時間の関係上、ここから遠くない場所にあるけど知らない人は多いと思うわよ」

 本当は『~市にある~を見つけろ』など全国区で行う課題だが、今日は5人と撮影を行うため、課題の内容は近場となる。
 しかし一筋縄ではいかない課題のようだ。

「まぁ、何とかなるだろ。じゃあ早速行ってくるよ」
「えぇ。お供するわ」

 とのことで、俺は立花さんと街へ繰り出した。



 公園を出発し街へ向かう。
 その間、立花さんは俺の話し相手となってくれるため、簡単な話を行う。

「立花さんはどれくらい演技の練習をしてるんだ?」
「どんなに忙しくても3時間は練習するようにしてるわ。それと演技の練習以外にも他の女優や俳優の演技をチェックしてるわ。特に凛の演技は何度も見返してるわ」
「何度も見るほどの演技力はないと思うが……そう言われると嬉しいな。俺も立花さんの演技は逐一確認してるし、参考にさせてもらう所もあるからな」
「……凛が私の演技を参考に?」
「あぁ。立花さんは優秀な女優だからな。俺、立花さんのこと同じ役者として尊敬してるし」
「っ!ふ、ふんっ!べ、別に凛から褒められても嬉しくないんだからね!」

 そう言ってそっぽを向く立花さん。
 撮影前、「凛のこと嫌ってなんかないわよ」と言われたが、対応は全く変わってない。
 そのことに心が折れそうになるが今日の俺は寧々のアドバイス通り、少しだけ立花さんに踏み込んでみる。

「本心で思ってることだからな。俺なんかに褒められても嬉しくはないだろうが立花さんの演技力はすごい。だからこれからも参考にさせてもらうよ」

 いつもの俺なら会話を切り上げるところだが、寧々のアドバイスを活かし、今度は笑顔で褒めてみる。
 すると立花さんが顔を赤くしながら右手で自分の髪の毛を触る。

 そして…

「そ、そう……その……ありがとう」

 何故か嬉しそうに照れながら感謝の言葉を告げた。

「っ!」

 その様子に俺の心臓が“ドキっ!”と跳ねる。

(待って!その反応は聞いてないっ!)

 唐突に可愛い反応を見せられ、俺は立花さんの顔を見て固まる。

「なっ、なによ?」
「あ、いや。その……な、なんでもないよ」

 俺は慌てて立花さんから視線を逸らし、話題を変えるため無理矢理周囲に視線を配る。

「そっ、そろそろ人通りの多いところに到着するから、着いたらどんどん話しかけるぞー!」

 立花さんに見惚れてたことを誤魔化すため、急足で歩く。

 そして公園から歩いて数分ほどで街中へ辿り着いた俺は、早速課題達成に向け、周りの人たちに話しかけようとすると…

「見て!リン様よ!」
「きゃぁぁっ!生のリン様初めて見た!」
「おいっ、あそこにいるのって立花香帆だろ!?」
「やばっ!真奈美ちゃんがいたら『生徒会長は告らせたい』の生徒会メンバー勢揃いかよ!」

 等々、俺たちを見て周囲の人たちが盛り上がる。
 しかし何かの撮影ということは理解しているようで、俺たちのことを遠くから見てるだけ話しかける人はいない。

「じゃあ早速話しかけてみるか」

 そう思い、俺は1番近くにいた大学生くらい女の子2人に話しかける。

「すみません、少し聞きたいことがあるのですが……」
「「は、はいっ!」」

 俺に話しかけられるとは思わなかったのか、驚きながら返事をする2人。
 心なしか2人とも顔が赤い気がするが、俺は気にせず話しかける。

「南青葉小学校に行きたいのですがどこにあるか知ってますか?」
「い、いえ。私は知りません」
「私も聞いたことないです。ここには旅行で来ましたから」

 現時刻は朝の9時なので活動するには早いと思っていたが、どうやら2人とも旅行中のようだ。

「そうだったんですね。すみません、旅行中に話しかけてしまい。2人の旅行がとても良いものになることを願ってますね」

 そう言って2人に笑顔を向ける。

「「はぅ~~っ」」

 すると目の前の2人が“ボッ!”と顔を真っ赤にして俺の方へ倒れてくる。

「ちょっ!」

 俺は慌てて2人を支え、何とか怪我をさせずに済む。

「……またこのパターンかよ」

 幾度となく経験してきたパターンに俺は頭を抱えた。
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