髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部

文字の大きさ
149 / 169
7章 凛くん争奪戦

立花香帆との撮影 4

しおりを挟む
 立花さんの発言に落ち込んだが、今は撮影中だと切り替えてお婆ちゃんを追う。
 その後、しばらくお婆ちゃんを交えた3人で談笑していると、前方に大きな校舎が現れた。
 その校舎は汚れや傷などの劣化が目立っており、一目で廃校していることがわかった。

「ここが私の母校、南青葉小学校よ」

 校門前で学校名を確認すると『南青葉小学校』と書かれていた。

「この学校は10年前に廃校が決定したの。そして在校生がいなくなってからは体育館や運動場などは貸し出してるけど、校舎自体は誰も使わなくなった」

 校舎には誰も入らないよう施錠されており、今では誰も使われていない。

「見るからにボロボロな校舎だけど私は今でもこの学校が好き。だから時々、ここに来て校舎を見て回ってるの」
「そうなんですね」

 お婆ちゃんの話を聞いて俺も愛着が湧く。

「だから凛さんや香帆さんも時折、足を運んでくれると嬉しいわ。誰も来なくなると寂しいからね」
「分かりました。近くに来た際は必ず足を運びます」
「私もここに訪れるようにします」
「ありがとう」

 そう言ってお婆ちゃんが笑う。
 こうして立花さんとの課題をクリアした。



 お婆ちゃんと別れ、川端さんと寧々、他の夏目ガール4人と合流する。

「「「「じーっ」」」」

 何故か夏目ガール候補生4人からの視線が痛いが。

「夏目さん。少しは自重してください。他の4人が乱入しそうになりましたので」
「そうだよ!お兄ちゃんが香帆ちゃんとイチャイチャしすぎたから私たち大変だったんだよ!」
「お、俺たちはイチャイチャなんかしてないぞ!?」
「そ、そうよ!私たちは普通に旅をしただけなんだから!」
「「「「ふーん」」」」

 と弁明するが、何故か夏目ガール候補生4人からの視線が痛い。
 俺だけではなく立花さんにも同様の視線を向けていることから、原因は俺だけではないようだ。
 みんなの視線に疑問を感じていると真奈美が俺に話しかける。

「どうだった?香帆ちゃんとのデートは?」
「そうだな。デートではないが楽しかったぞ」

 途中、何故か告白してもいないのに振られたが、楽しかったのは偽りのない本心だ。

「……本当に楽しかったの?」

 どうやら俺の言葉を疑っているようで、立花さんが不安そうな顔で問いかける。

「あぁ。本当に楽しかったぞ」
「……私、凛に強く当たってしまったのに?」
「あれくらい何とも思わないよ」

 訳もわからず振られたことはショックだったことは黙っておく。

「だからそんな不安そうな顔しなくて良いよ。俺は心の底から楽しかったと思ってるんだから」

 そう言って笑顔を見せる。

「~~~っ!あ、相変わらずカッコいいわね」

 すると顔を赤くした立花さんが俯いて何かを呟く。

 よく聞こえなかったため、立花さんに聞き返そうとすると…

「……香帆」
「ん?」
「こ、これからは私のこと、下の名前で呼んで」

 赤く染まった顔を上げながら、そうお願いしてくる。

「……いいのか?」
「えぇ。だって私たちは友達よ。だから……し、仕方なく呼ばせてあげるわ!」

 そう言って胸を張る立花さん。

「何で素直にお願いできないのかなぁ……」

 そんな寧々の声が聞こえてきたが、立花さんと仲良くなれるチャンスなので、俺は気にせず名前で呼ばせてもらう。

「分かった。これからは香帆って呼ぶよ」
「~~~っ!そ、そうしなさいよね!」

 と言ってそっぽを向く。

 その際「うぅ……何で私は上からでしか言えないのよ……」との呟きが聞こえてきた。

 そのため香帆に話しかけようとすると、俺のもとへ寧々が歩み寄る。

「さすがドMお兄ちゃん!香帆ちゃんの言葉遣いを全く嫌と思わないなんて!家に帰ったらドMお兄ちゃんが喜ぶご褒美をあげるよ!」
「おい妹よ。俺はドMじゃないぞ」

 香帆から「褒められて嬉しくない」や「仕方なく呼ばせてあげる」など言われたが、その発言に対して喜びは感じてないので全否定する。
 しかし何故か周りの人たちが反応する。

「まさかリン様がドMだったなんて……」
「私も驚いたけど香帆ちゃんの言葉を聞いても友達でいられる人なんてドMしかいないよね」
「ウチはそんな夏目さんでも嫌いになったりしませんよ!むしろ夏目さんが喜ぶのならドSになります!」
「夏目様にそのような趣味があったとは知りませんでした。これは美柑に報告して対策を取らなければ……」
「俺の話を聞いてぇぇぇっ!」

 俺にドMという性癖がないことを理解してもらうのに10分程度要しました。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

髪を切った俺が芸能界デビューした結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 妹の策略で『読者モデル』の表紙を飾った主人公が、昔諦めた夢を叶えるため、髪を切って芸能界で頑張るお話。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

処理中です...