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7章 凛くん争奪戦
修羅場が家までやって来る 5
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皆んながケーキを食べ終え、王様ゲームが再開する。
「王様だーれだ!」
「次は俺が王様だ」
みんなに『王』の文字が書かれた棒を見せる。
「そうだな……よし!2番の人は王様ゲームが終わるまで語尾に『にゃ』を付けろ」
「えー!」
真奈美が大きな声を上げる。
「お、真奈美か。じゃあさっそく始めてみようか。返事は?」
「うぅ~、凛くんが私をいじめてくるよ~」
「あれ?語尾に何かついてないけど……王様の命令は絶対じゃないのか?」
俺は涙目になってる真奈美に追撃する。
「わかった……にゃ」
「ん?聞こえないんだけど?」
「わかったにゃ!」
「よろしい!」
「凛くん、後で覚えとくにゃ」
「はいはい」
「うぅ~!」
(やべぇ、ちょっと楽しいかも。もっと『にゃ』って言わせたいけど……後が怖いからこれ以上は辞めておこう)
顔を赤くして涙目になってる真奈美を見ながらそう思った。
棒を回収し、ゲームを再開する。
「王様だーれだ!」
「私だよ!」
寧々が勢いよく手を挙げる。
そして皆んなを見渡しながら王様ゲーム開始前に用意した紙のクジをポケットから取り出す。
「……何に使うんだ?」
「ふふん!見てのお楽しみだよ!」
そう言いながらクジを引く。
「ふむふむ、5番ね。5番は確か……よしっ!距離を縮めてもらおう!」
そんなことを呟いた後、寧々が口を開く。
「じゃあ、4番の人が5番の人に壁ドンしながら5番の人を褒めまくって!」
「「はぁ!?」」
俺と香帆の声が被る。
「お兄ちゃんと香帆ちゃんだったんだ。じゃあ、お兄ちゃんが香帆ちゃんを壁ドンしてね!あ、お兄ちゃんはしっかり香帆ちゃんのことを褒めるんだよ!私が止めって言うまでね!」
「ちょっと待て!」
俺は立ち上がって抗議しようとするが…
「お兄ちゃん。私は今、お兄ちゃんよりも立場が上だよ?妹様だよ?妹様の言うことは絶対なんだよ?」
謎の造語を作ってマウントを取ってくる。
(その通りだが香帆に壁ドンだぞ?絶対、アウトだと思うんだが……)
そう思い動けないでいると香帆が俺の袖を掴む。
「お、王様の命令なら仕方ないわ。だから……し、仕方なく。ものすごく仕方なく壁ドンされてあげるわ」
空いてる手で髪をイジりながら香帆が呟く。
「そ、そうか。香帆が文句ないなら……」
俺も覚悟を決めて香帆の方を向く。
「ちなみにお兄ちゃんが恥ずかしがってたらダメ出しするからねー!」
「アイツ……」
王様ということでやりたい放題だ。
(仕方ない。これが王様ゲームだ)
そう思い、俺は役者モードに入る。
まずは壁まで距離があるため、香帆を壁まで追いやる。
「香帆」
「な、なによ」
ジリジリと詰め寄る俺に対して、香帆が後ろに下がる。
そして香帆が壁まで到着し、これ以上下がれなくなる。
「香帆」
そのタイミングで名前を呼ぶと同時に“ドンっ!”と壁を叩き、いわゆる壁ドンというヤツをやる。
「っ!な、なによ?」
「香帆は頑張り屋さんで努力家だ。いつも尊敬してるよ」
「ふ、ふん!凛に追いつくために頑張ってるだけよ!凛に褒められるために頑張ってるわけじゃないわ!」
顔を赤く染めつつも俺から目を逸らさずに言う。
(……はい、この程度じゃダメなんですね)
寧々から「止めっ!」の声が聞こえないので続行する。
「香帆は周りのことをよく見てる。一緒に仕事をした時はいつも香帆に助けられてるよ」
「そ、そんなに大したことはしてないわよ」
と言いつつも髪をクルクルイジりながら顔を赤くして照れている。
「他にも色々あるが、香帆は俺にとって自慢の友達だ」
「っ!そ、その……あ、ありがとう……」
先ほどよりも真っ赤になった香帆が、可愛い顔をしながら上目遣いをみせる。
「っ!」
(可愛いっ!)
照れた香帆がレアすぎることに加え、壁ドンをしてることで至近距離から香帆の顔を見ることとなり、俺の心臓が“ドキっ!”と跳ねる。
そのため、思っていたことをポロッと口に出してしまう。
「そ、それとその……きょ、今日も可愛いぞ」
「~~~~っ!」
“ぼっ!”という音が聞こえるくらい一瞬で顔を真っ赤に染める。
「終了ー!」
そのタイミングで寧々の声が響き渡る。
(お、終わった……)
何とか寧々から合格をもらい、俺は心の中で一息つきながら壁ドンを終了する。
「香帆、大丈夫か?俺なんかに壁ドンされて嫌だっただろ?」
「そっ、そんなことないわよ」
とは言うものの、俺とは目を合わせず距離を取りながら香帆が言う。
(また嫌われたぁぁぁっ!)
香帆からの友好度的なものがどんどん下がってる気がする。
(寧々よ。命令を下す前に「距離を縮めてもらおう」とか言っていたが、距離が遠くなった気がするぞ)
そう思い、俺は心の中で沈む。
そのため…
「り、凛が今日も可愛いって……いつも私のこと可愛いって思ってたんだ……」
嬉しそうな顔でニヤニヤしている香帆に気づかず…
「はぁ。絶対、変な勘違いをしてるよ。相変わらずお兄ちゃんが鈍すぎる」
「むぅ、香帆ちゃんが羨ましいにゃ」
「私もリン様に壁ドンされたいです」
「立花さんだけ褒めるのは間違ってると思います!」
「浜崎さんの言う通りです!なので私にも壁ドンを所望します!」
等々の外野の声も俺の耳に届かなかった。
「王様だーれだ!」
「次は俺が王様だ」
みんなに『王』の文字が書かれた棒を見せる。
「そうだな……よし!2番の人は王様ゲームが終わるまで語尾に『にゃ』を付けろ」
「えー!」
真奈美が大きな声を上げる。
「お、真奈美か。じゃあさっそく始めてみようか。返事は?」
「うぅ~、凛くんが私をいじめてくるよ~」
「あれ?語尾に何かついてないけど……王様の命令は絶対じゃないのか?」
俺は涙目になってる真奈美に追撃する。
「わかった……にゃ」
「ん?聞こえないんだけど?」
「わかったにゃ!」
「よろしい!」
「凛くん、後で覚えとくにゃ」
「はいはい」
「うぅ~!」
(やべぇ、ちょっと楽しいかも。もっと『にゃ』って言わせたいけど……後が怖いからこれ以上は辞めておこう)
顔を赤くして涙目になってる真奈美を見ながらそう思った。
棒を回収し、ゲームを再開する。
「王様だーれだ!」
「私だよ!」
寧々が勢いよく手を挙げる。
そして皆んなを見渡しながら王様ゲーム開始前に用意した紙のクジをポケットから取り出す。
「……何に使うんだ?」
「ふふん!見てのお楽しみだよ!」
そう言いながらクジを引く。
「ふむふむ、5番ね。5番は確か……よしっ!距離を縮めてもらおう!」
そんなことを呟いた後、寧々が口を開く。
「じゃあ、4番の人が5番の人に壁ドンしながら5番の人を褒めまくって!」
「「はぁ!?」」
俺と香帆の声が被る。
「お兄ちゃんと香帆ちゃんだったんだ。じゃあ、お兄ちゃんが香帆ちゃんを壁ドンしてね!あ、お兄ちゃんはしっかり香帆ちゃんのことを褒めるんだよ!私が止めって言うまでね!」
「ちょっと待て!」
俺は立ち上がって抗議しようとするが…
「お兄ちゃん。私は今、お兄ちゃんよりも立場が上だよ?妹様だよ?妹様の言うことは絶対なんだよ?」
謎の造語を作ってマウントを取ってくる。
(その通りだが香帆に壁ドンだぞ?絶対、アウトだと思うんだが……)
そう思い動けないでいると香帆が俺の袖を掴む。
「お、王様の命令なら仕方ないわ。だから……し、仕方なく。ものすごく仕方なく壁ドンされてあげるわ」
空いてる手で髪をイジりながら香帆が呟く。
「そ、そうか。香帆が文句ないなら……」
俺も覚悟を決めて香帆の方を向く。
「ちなみにお兄ちゃんが恥ずかしがってたらダメ出しするからねー!」
「アイツ……」
王様ということでやりたい放題だ。
(仕方ない。これが王様ゲームだ)
そう思い、俺は役者モードに入る。
まずは壁まで距離があるため、香帆を壁まで追いやる。
「香帆」
「な、なによ」
ジリジリと詰め寄る俺に対して、香帆が後ろに下がる。
そして香帆が壁まで到着し、これ以上下がれなくなる。
「香帆」
そのタイミングで名前を呼ぶと同時に“ドンっ!”と壁を叩き、いわゆる壁ドンというヤツをやる。
「っ!な、なによ?」
「香帆は頑張り屋さんで努力家だ。いつも尊敬してるよ」
「ふ、ふん!凛に追いつくために頑張ってるだけよ!凛に褒められるために頑張ってるわけじゃないわ!」
顔を赤く染めつつも俺から目を逸らさずに言う。
(……はい、この程度じゃダメなんですね)
寧々から「止めっ!」の声が聞こえないので続行する。
「香帆は周りのことをよく見てる。一緒に仕事をした時はいつも香帆に助けられてるよ」
「そ、そんなに大したことはしてないわよ」
と言いつつも髪をクルクルイジりながら顔を赤くして照れている。
「他にも色々あるが、香帆は俺にとって自慢の友達だ」
「っ!そ、その……あ、ありがとう……」
先ほどよりも真っ赤になった香帆が、可愛い顔をしながら上目遣いをみせる。
「っ!」
(可愛いっ!)
照れた香帆がレアすぎることに加え、壁ドンをしてることで至近距離から香帆の顔を見ることとなり、俺の心臓が“ドキっ!”と跳ねる。
そのため、思っていたことをポロッと口に出してしまう。
「そ、それとその……きょ、今日も可愛いぞ」
「~~~~っ!」
“ぼっ!”という音が聞こえるくらい一瞬で顔を真っ赤に染める。
「終了ー!」
そのタイミングで寧々の声が響き渡る。
(お、終わった……)
何とか寧々から合格をもらい、俺は心の中で一息つきながら壁ドンを終了する。
「香帆、大丈夫か?俺なんかに壁ドンされて嫌だっただろ?」
「そっ、そんなことないわよ」
とは言うものの、俺とは目を合わせず距離を取りながら香帆が言う。
(また嫌われたぁぁぁっ!)
香帆からの友好度的なものがどんどん下がってる気がする。
(寧々よ。命令を下す前に「距離を縮めてもらおう」とか言っていたが、距離が遠くなった気がするぞ)
そう思い、俺は心の中で沈む。
そのため…
「り、凛が今日も可愛いって……いつも私のこと可愛いって思ってたんだ……」
嬉しそうな顔でニヤニヤしている香帆に気づかず…
「はぁ。絶対、変な勘違いをしてるよ。相変わらずお兄ちゃんが鈍すぎる」
「むぅ、香帆ちゃんが羨ましいにゃ」
「私もリン様に壁ドンされたいです」
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