髪を切った俺が芸能界デビューした結果がコチラです。

昼寝部

文字の大きさ
1 / 24
1章 プロローグ

プロローグ 1

しおりを挟む
 俺、赤星黒羽あかほしくろばはとあるイベントに参加しており、目の前にはたくさんの女性がいた。

「クロ様ー!今日もカッコいいです!」
「これが今、全国の女性たちを魅了している男……カッコ良すぎる!」
「私が生でクロ様を見れる日がくるなんて!この時間を確保するために仕事を放り出してきたけど……明日、上司に怒られることなんて全く怖くないわ!」

 等々、たくさんの声が聞こえてくる。

(ハロウィンでコスプレしたのが全ての始まりだったなぁ)

 そんなことを思いつつ、俺は大学2年生の10月31日を振り返った。



 10月31日。世の中はハロウィンムード一色。
 今日が日曜日ということもあり、朝から俺の部屋ではコスプレ衣装が床一面に転がっていた。
 双子の妹である赤星紫乃あかほししののせいで。

「お兄ちゃんのルックスを活かすならコッチの方が似合いそうだけど、この服も捨てがたい。うーん、難問だねぇ」

 朝からずっと俺のコスプレ衣装について考え込んでおり、もうすでに小一時間は考え込んでいる。

「なぁ紫乃。俺、コスプレなんてしたくないんだけど……」
「ダメだよ。今日はハロウィンなんだから、お兄ちゃんもコスプレしないと。私だってコスプレしてるんだからね」

 そう言う紫乃は朝から魔女のコスプレをしており、アイドル並みの容姿をしている紫乃にはとても良く似合っていた。

 赤星紫乃。
 俺の双子の妹で俺と同じ大学2年生。
 長い茶髪を右側で結ったサイドテールにしており、昨年大学内で開かれたミスコンでは1年生ながら優勝したほどの美少女だ。

「よし!これに決めた!」

 そう言って差し出されたのは大人気アニメに登場する怪盗キングのコスプレ衣装。
 全身白のシルクハットとタキシード、マントに片眼鏡と、装備品まで完璧に揃っている。

「着るのは構わないが絶対似合ってないから笑うなよ?」
「笑わない笑わない!だからこれに着替えてね!」

 紫乃が無理矢理コスプレ衣装を手渡す。

「あ!普段は髪の毛で目を隠してるけど、今回はシルクハットを上手く使って目が見えるようにしてね!」

 そう言って紫乃が部屋から出て行く。

「着ないとダメだろうなぁ」

 紫乃がコスプレして俺だけコスプレしないというわけにはいかない。
 俺は渋々コスプレ衣装に袖を通す。
 そして部屋に置かれた鏡で、着替えた俺を確認する。

「うわぁ、相変わらず目つき悪いなぁ。この格好で外を歩いたら絶対警察のお世話になるわ」

 俺は普段から前髪を伸ばして過ごしている。
 理由は目つきが悪すぎて自分自身の容姿に自信がないから。
 いつも紫乃や母さんから「前髪を切って!」と言われるが、俺は前髪を伸ばしている方が落ち着くので切らずに伸ばしている。

「着替えたぞー」

 俺は部屋の外で待機してるであろう紫乃に声をかける。

「お兄ちゃん、入るよー」

 そう言って紫乃が部屋に入る。
 そして固まる。

「……おい。なんか言えよ」
「……はっ!と、とてもカッコいいよ!お兄ちゃん!私の目に狂いはなかったね!」
「そうか、お世辞ありがとう」

 俺自身、目つきの悪さもあって自分自身がカッコいいとは思っていない。
 それに加え、俺を見た瞬間固まっていたので絶対お世辞だろう。

「よしっ!じゃあ早速、外に出て買い物に行こー!」
「……はぁ!?」

 まさかの発言に俺は慌てる。

「え、外出るの!?この格好で!?」
「うん!今日はハロウィンだから問題ないよ!」
「いや、その通りだけど!」

 この格好で外に出ることは問題ないだろうが、俺はこの格好で外に出たくない。

「私も一緒に行くから!ね、お兄ちゃん!」

 悪意があって提案しているようには見えないため、純粋に俺とコスプレした格好で外に出たいようだ。

「……はぁ。今日だけだぞ」
「やった!ありがと!お兄ちゃんっ!」

 紫乃が嬉しそうな声色で満面の笑みを向ける。

「それじゃあ早速レッツゴー!」

 とのことで、俺は紫乃と共にコスプレした状態で家を出た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。  その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。  すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。 「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」  これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。 ※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...