15 / 24
2章 芸能界デビュー編
『モリタの秘境巡り』の撮影 3
しおりを挟む
「ありがとうございます!」
俺は頭を下げて感謝を伝える。
「気にするな。大変な人がいるんだ。道を譲るくらいどーってことねぇよ」
そう言って車を端の方に寄せ、車一台分が通れるほどの道ができる。
このやり取りを数回ほど行い、皆んな道を譲ってくれたが、このペースだと渋滞解消まで30分はかかってしまう。
赤ちゃんと妊婦さんのために一刻も早く産婦人科に着きたいため、内心焦りを生んでしまう。
そのタイミングで俺の肩に“ポンっ”と手が乗る。
「兄ちゃん、俺も手伝ってやるよ」
「私も妊婦さんと赤ちゃんを助けたいからね」
「クロ様の必死な姿を見たら居ても立っても居られなくなりまして!微力ながらお手伝いします!」
必死過ぎて気が付かなかったが、気がつけば数人の方が車から降りて俺の近くにいた。
「っ!ありがとうございます!」
俺は車から降りて来た数人の方々へ頭を下げる。
「気にするな。どんどんお願いしてくからな!」
「そうね。一刻も早く産婦人科へ連れて行ってあげたいからね」
「任せてください!クロ様っ!」
そんな声と共に動き出した数人が渋滞で停まっている車たちに頭を下げてお願いしている。
「ありがとうございます、皆さん」
その光景に心が温まるのを感じる。
「って、今は傍観している場合じゃないぞ!まだまだお願いしないといけない車はあるんだから!」
そう思い俺は走り出す。
たくさんの人たちが手伝ってくれたおかげで車一台分が通れる道がどんどんできていく。
しかも後続車が端に避ける様子を見て勘づいた人たちが頭を下げてお願いしなくても避けてくれるようになり、俺が手伝い始めてから10分ほどで渋滞を切り抜けれる道が完成した。
「ありがとう……ございます……っ!」
完成した道を運転する男性が涙を流しながら感謝の言葉を言う。
「当然のことをしただけなので感謝の言葉は必要ありませんよ。それに俺だけではありません。たくさんの方たちが手伝い譲ってくれたから道が完成しました。なのではやく産婦人科へ向かってください。元気な赤ちゃんが生まれることを願ってます」
「ぐすんっ!ありがとうございます!」
涙を“ゴシゴシっ!”と拭いた男性が最後にもう一度感謝の言葉を言って車を走らせる。
「皆さん、ありがとうございました!」
俺は手伝ってくれた方や道を譲ってくれた方たちへ頭を下げる。
その後、ロケバスまでの道のりを譲ってくれた方々に感謝を伝えながらのんびり歩いた。
「ただ今、戻りました」
「「おかえり、クロくん」」」
俺をモリタさんと江本さんが出迎えてくれる。
「すみません、個人的な感情でモリタさんや江本さんを巻き込んでしまいました」
「そんなことで謝らなくていいよ」
「あぁ。それに俺たちは感心してるんだ。男性を助けるためすぐに行動し、見ず知らずの方たちへしっかりと頭を下げたクロくんを。これができる人はなかなか居ないからな」
「そ、そうですか?」
「あぁ。クロくんにとっては普通のことだろうけどな」
「やっぱりクロくんは白哉くんの血を受け継いでるね」
そう言って江本さんとモリタさんが笑う。
「父さんみたいになるのが俺の目標なので、そう言ってくれると嬉しいですね」
俺の父さんは困ってる人を見捨てない人だったので、父さんみたいになりたかった俺は昔、いろんな人の手助けを頑張ってた。
それこそ昔の俺は何でもできると思ってたため変な正義感を持っており、小学5年生の頃はイジメられてた南條さんを助けに入ったこともあった。
(俺自身に良いところなんてないと思ってたけど紫乃からは自慢の兄と言われ、モリタさんや江本さんからは目標にしていた父さんのようだと言われた。やっぱり俺にも良いところはあるんだな)
そう思い嬉しい気持ちとなる。
「じゃあ収録を再開するよ。まぁ、さっきまでの様子は撮らせてもらったけどね」
「えっ、撮ってたんですか!?」
「あぁ。もちろん、クロくんとモリタさん、妊婦の旦那さんしか映してないよ」
どうやら上手く編集したら使えるかもしれないと思った江本さんが一度止めたカメラを回し始めたようだ。
ちなみに旦那さんの方にはモリタさんと江本さんが番組撮影中であることを説明し、もしかしたら放送されるかもしれないことも説明して許可をもらっているようだ。
「な、なぜそんなことを……?」
「ははっ。備えあれば憂いなしっていうことわざがあるからな。備えるに越したことはないよ。それに俺の予想では良いネタになりそうだからな」
「周囲の人たちがスマホで動画を撮ってたからね。僕もそう思うよ」
「……?」
どの辺がネタになりそうだったかは分からないが、プロデューサーまで登り詰めた江本さんなので何か考えがあるのだろう。
そう思い詳しく詮索はしない。
「じゃあ撮影を再開しようか」
とのことで、『モリタの秘境巡り』の撮影を再開した。
俺は頭を下げて感謝を伝える。
「気にするな。大変な人がいるんだ。道を譲るくらいどーってことねぇよ」
そう言って車を端の方に寄せ、車一台分が通れるほどの道ができる。
このやり取りを数回ほど行い、皆んな道を譲ってくれたが、このペースだと渋滞解消まで30分はかかってしまう。
赤ちゃんと妊婦さんのために一刻も早く産婦人科に着きたいため、内心焦りを生んでしまう。
そのタイミングで俺の肩に“ポンっ”と手が乗る。
「兄ちゃん、俺も手伝ってやるよ」
「私も妊婦さんと赤ちゃんを助けたいからね」
「クロ様の必死な姿を見たら居ても立っても居られなくなりまして!微力ながらお手伝いします!」
必死過ぎて気が付かなかったが、気がつけば数人の方が車から降りて俺の近くにいた。
「っ!ありがとうございます!」
俺は車から降りて来た数人の方々へ頭を下げる。
「気にするな。どんどんお願いしてくからな!」
「そうね。一刻も早く産婦人科へ連れて行ってあげたいからね」
「任せてください!クロ様っ!」
そんな声と共に動き出した数人が渋滞で停まっている車たちに頭を下げてお願いしている。
「ありがとうございます、皆さん」
その光景に心が温まるのを感じる。
「って、今は傍観している場合じゃないぞ!まだまだお願いしないといけない車はあるんだから!」
そう思い俺は走り出す。
たくさんの人たちが手伝ってくれたおかげで車一台分が通れる道がどんどんできていく。
しかも後続車が端に避ける様子を見て勘づいた人たちが頭を下げてお願いしなくても避けてくれるようになり、俺が手伝い始めてから10分ほどで渋滞を切り抜けれる道が完成した。
「ありがとう……ございます……っ!」
完成した道を運転する男性が涙を流しながら感謝の言葉を言う。
「当然のことをしただけなので感謝の言葉は必要ありませんよ。それに俺だけではありません。たくさんの方たちが手伝い譲ってくれたから道が完成しました。なのではやく産婦人科へ向かってください。元気な赤ちゃんが生まれることを願ってます」
「ぐすんっ!ありがとうございます!」
涙を“ゴシゴシっ!”と拭いた男性が最後にもう一度感謝の言葉を言って車を走らせる。
「皆さん、ありがとうございました!」
俺は手伝ってくれた方や道を譲ってくれた方たちへ頭を下げる。
その後、ロケバスまでの道のりを譲ってくれた方々に感謝を伝えながらのんびり歩いた。
「ただ今、戻りました」
「「おかえり、クロくん」」」
俺をモリタさんと江本さんが出迎えてくれる。
「すみません、個人的な感情でモリタさんや江本さんを巻き込んでしまいました」
「そんなことで謝らなくていいよ」
「あぁ。それに俺たちは感心してるんだ。男性を助けるためすぐに行動し、見ず知らずの方たちへしっかりと頭を下げたクロくんを。これができる人はなかなか居ないからな」
「そ、そうですか?」
「あぁ。クロくんにとっては普通のことだろうけどな」
「やっぱりクロくんは白哉くんの血を受け継いでるね」
そう言って江本さんとモリタさんが笑う。
「父さんみたいになるのが俺の目標なので、そう言ってくれると嬉しいですね」
俺の父さんは困ってる人を見捨てない人だったので、父さんみたいになりたかった俺は昔、いろんな人の手助けを頑張ってた。
それこそ昔の俺は何でもできると思ってたため変な正義感を持っており、小学5年生の頃はイジメられてた南條さんを助けに入ったこともあった。
(俺自身に良いところなんてないと思ってたけど紫乃からは自慢の兄と言われ、モリタさんや江本さんからは目標にしていた父さんのようだと言われた。やっぱり俺にも良いところはあるんだな)
そう思い嬉しい気持ちとなる。
「じゃあ収録を再開するよ。まぁ、さっきまでの様子は撮らせてもらったけどね」
「えっ、撮ってたんですか!?」
「あぁ。もちろん、クロくんとモリタさん、妊婦の旦那さんしか映してないよ」
どうやら上手く編集したら使えるかもしれないと思った江本さんが一度止めたカメラを回し始めたようだ。
ちなみに旦那さんの方にはモリタさんと江本さんが番組撮影中であることを説明し、もしかしたら放送されるかもしれないことも説明して許可をもらっているようだ。
「な、なぜそんなことを……?」
「ははっ。備えあれば憂いなしっていうことわざがあるからな。備えるに越したことはないよ。それに俺の予想では良いネタになりそうだからな」
「周囲の人たちがスマホで動画を撮ってたからね。僕もそう思うよ」
「……?」
どの辺がネタになりそうだったかは分からないが、プロデューサーまで登り詰めた江本さんなので何か考えがあるのだろう。
そう思い詳しく詮索はしない。
「じゃあ撮影を再開しようか」
とのことで、『モリタの秘境巡り』の撮影を再開した。
67
あなたにおすすめの小説
髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。
昼寝部
キャラ文芸
天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。
その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。
すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。
「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」
これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。
※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる