髪を切った俺が芸能界デビューした結果がコチラです。

昼寝部

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2章 芸能界デビュー編

『モリトーク』の撮影という名の修羅場 5

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 神里さんと紫乃を連れて収録場所へ到着する。
 しばらく3人で談笑していると萌絵と南條さんも到着し、全員でディレクターのもとに向かう。

「「「おはようございます!」」」
「あぁ、おはよう。今日はよろしくね」

 俺たちの挨拶に対し、平松健太さんが笑顔で返してくれる。
 今回、現場指揮はプロデューサーの江本さんではなくディレクターの平松さんが行うため、俺たちは平松さんの指示通りに撮影を行う予定だ。

「じゃあ最終打ち合わせを行うよ」

 とのことで打ち合わせを始める。

「今回のメインはクロくんのお父さんである白哉さん関係だ。だから遠慮なく白哉さんの話をしてくれ」

 ここには俺を含め、全員が父さんと交流があるため、父さんの話題で盛り上がる予定だ。

「ちなみに、この件を知ってるのは俺や江本さんと君たち出演メンバー、そして数人のスタッフしか知らないから。盛大にスタッフたちを驚かせようね」

 そう言って平松さんが笑う。

(スタッフを驚かせるために黙ってたなぁ)

 平松さんのイタズラ心に笑みをこぼす。

 その他にも様々な打ち合わせを行い…

「――っという流れでいくよ。基本的に自由に話していいからね」
「「「はいっ!」」」

 そう返事をした俺たちは用意された席へ移動する。
 席の配置は俺の左側に萌絵が座り、俺の右側に南條さんが座っている。

「じゃあ収録を始めるよ」

 との言葉が平松さんから発せられ、収録が始まる。

「始まりました『モリトーク』。今日もよろしくお願いします」

 司会席に座るモリタさんがオープニングトークを始める。

「今日は名だたる方々をゲストにお招きしました」

 そう言ってモリタさんが俺たちを紹介する。

「まずはアイドル活動を初めて今年で10年目。現在、ソロアイドルとして活動しており、先日SNSにアップされた新曲は早くも500万回再生を記録。岩見萌絵さんです」
「よろしくお願いしまーすっ!」

 萌絵が元気よくカメラに向けて挨拶をする。

「続いて昨年、日本アカデミー賞で優秀主演女優賞を受賞し、今年はドラマやバラエティ番組、モデル業で大忙し。南條愛華さんです」
「よろしくお願いします」

 萌絵とは違い、丁寧な所作と落ち着いた様子で挨拶をする南條さん。

「そして最後に、先日発売された『読者モデル』Styleスタイルで表紙を飾ったことで注目を集め、世の女性たちを虜にしている男。クロくんです」
「よろしくお願いします」

 俺も2人に倣いカメラに向けて挨拶をする。

「では早速、トークに移りたいと思いますが、今日はなんとクロくんから重大発表があるとのことです」
「じゅ、重大発表というわけではありませんが、皆さんに知ってほしいことがありますね」

 そう前置きした後、俺は口を開く。

「俺の父さんは昔、芸能界で活躍した超有名人なんです。年末に放送される紅白歌合戦には10年連続で出場し、俳優業では優秀主演男優賞を受賞したこともあります」

 俺の発言を聞き、何も知らない撮影スタッフたちがザワつく。
 そんなスタッフたちに向け、大きな声で言う。

「俺の父さんは赤星白哉です」
「「「「えぇぇぇぇっ!」」」」

 俺の発言を聞いて、スタッフたちの驚きの声が聞こえてくる。

「カットーっ!」

 入ってはいけない声がスタジオ内に響き渡り、平松さんが撮影を止める。

「君たち、驚きすぎだよ」
「いやいや!ディレクター!赤星白哉ですよ!そんなビッグネームが出て来たら驚きますよ!」
「ってことは白哉さんの息子が芸能界デビューしたってことですか!?」
「確かに似てる!白哉さんのカッコ良さを引き継いでるよ!なんで撮影前に教えてくれなかったんですか!?」

 そんなことを言いながら、スタッフたちが平松さんに問い詰める。

「落ち着いて、皆んな。そんな驚くことではないでしょ?」
「いや、平松ディレクターもクロくんのお父さんの名前を聞いて驚いてたでしょ」
「そっ、それは言わなくていいだろ!」

 江本さんのツッコミに大慌てで返答する平松さん。

「皆んな驚いてるなぁ」
「当たり前だよ。白哉さんは私たち歌手の憧れでもあるんだから」
「女優の私も白哉さんは尊敬してますよ」
「家では母さんに怒られてばっかりだったけどな」

 そんな会話をしながらスタッフたちが落ち着くのを待った。
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