10 / 104
10話 ギルド長と面談することになりました
しおりを挟む
ありえない結果に、担当者がふたりとも笑顔のまま固まっている。
オレはというと、そうだよなぁ……と納得している。だってこの5年間、嫌というほどリュカオンの能力を使ってきたんだ。今更ながら、よくあの時のオレが融合できたもんだと思ってる。
でも、よく見ると融合魔法も進化してるっぽいから、オレの努力も無駄じゃなかったんだ。
ていうか、最後の王者の恩恵って、敵だったら……ズルいな。千年前のリュカオンがどれほど強かったのか、ちょっと気になるところだ。
「あの……これで終わりだよな?」
さっさとランク修正して、さっさと依頼を受けて、今日からの生活費を稼ぎたいんだけど。
ハッとした担当者のふたりは、わらわらと動きだす。記録の担当者は、記入に間違いがないか何度も確認していた。
そこで検査の担当者が声をかけてくる。
「カイトさん、すみませんが、Sランク以上のハンターなので、ギルド長との面談があります。まだお時間大丈夫ですか?」
「うーん、今日にでも依頼をこなして、報酬を受け取りたいんだ。それに間に合うならいいよ」
「わかりました。では、その点も考慮しましょう。ご案内いたします」
***
この街、プロキオンのギルド長を10年前から務めているのは、かつて『炎剣の聖者』と呼ばれたSSSランクのハンター、エルナト・ヘイズリーだ。40代半ばで、いつも穏やかに微笑んでいる。聖者と呼ばれていたくらいの、人格者だ。
「カイト・シーモアさんだね。ミリオンパーティーで活躍されていたと聞いているよ」
「いえ、そんな……」
ギルド長は穏やかな笑顔で、話しかけてくる。この人がミリオンに、オレとパーティーを組むように頼んでくれたんだな。
ミリオンのパーティーで活躍していたって、過去形ってことは、追放されたのをギルド長も知ってるのか。それは、せっかく気にしてくれてたのに、申し訳ないなぁ……。
「あぁ、そんなに緊張しないで。僕は規定に従って、面談しているだけなんだから。何点か話を聞けばすぐに終わるよ」
「はぁ……聞きたいことって何ですか?」
「まずは、この8年で相当な訓練をしたようだけど、具体的にはどのような事をしたのかな?」
「そうですね、毎日、融合魔法で試行錯誤して、新しい回復薬を作ったり、火力のコントロールして雷魔法で攻撃したり……でしょうか」
「これは、8年前の結果だけど、適性検査項目がかなり増えてるね。何かあったのかな?」
一瞬、ギクリとした。リュカオンと融合したことは、ミリオン以外には話していない。
そもそも信じてもらえなかったし、伝説の魔獣王と融合したと知れたら、オレが駆逐対象になるかも知れない。
冷たい汗が背中をつたう。ゴクリと唾をのみこみ、平静を装って続けた。
「いえ、特別なことは何も……」
「では、質問を変えよう。伝説の魔獣王リュカオンは知ってるかな?」
今度こそ、ブフォっと飲みかけていた紅茶を吹き出してしまった。この8年、影に徹して生きてきたオレには、こんな状況に対応できるスキルは育っていない。
————ヤバい、今ので絶対バレた!!
ギルド長のまとう空気が変わった。見なくても匂いでわかる。下手に動けば、殺されそうな殺気を感じる。
「……知ってるね?」
もう、オレには誤魔化せない。ここは正直に話して、わかってもらうより他はないみたいだ。
「知ってるというか……リュカオンと融合しました。スミマセン」
とりあえず、正直に謝ってみた。だからギルド長、どうか、その肌に突き刺さるような殺気、やめてもらえませんかね?
オレはというと、そうだよなぁ……と納得している。だってこの5年間、嫌というほどリュカオンの能力を使ってきたんだ。今更ながら、よくあの時のオレが融合できたもんだと思ってる。
でも、よく見ると融合魔法も進化してるっぽいから、オレの努力も無駄じゃなかったんだ。
ていうか、最後の王者の恩恵って、敵だったら……ズルいな。千年前のリュカオンがどれほど強かったのか、ちょっと気になるところだ。
「あの……これで終わりだよな?」
さっさとランク修正して、さっさと依頼を受けて、今日からの生活費を稼ぎたいんだけど。
ハッとした担当者のふたりは、わらわらと動きだす。記録の担当者は、記入に間違いがないか何度も確認していた。
そこで検査の担当者が声をかけてくる。
「カイトさん、すみませんが、Sランク以上のハンターなので、ギルド長との面談があります。まだお時間大丈夫ですか?」
「うーん、今日にでも依頼をこなして、報酬を受け取りたいんだ。それに間に合うならいいよ」
「わかりました。では、その点も考慮しましょう。ご案内いたします」
***
この街、プロキオンのギルド長を10年前から務めているのは、かつて『炎剣の聖者』と呼ばれたSSSランクのハンター、エルナト・ヘイズリーだ。40代半ばで、いつも穏やかに微笑んでいる。聖者と呼ばれていたくらいの、人格者だ。
「カイト・シーモアさんだね。ミリオンパーティーで活躍されていたと聞いているよ」
「いえ、そんな……」
ギルド長は穏やかな笑顔で、話しかけてくる。この人がミリオンに、オレとパーティーを組むように頼んでくれたんだな。
ミリオンのパーティーで活躍していたって、過去形ってことは、追放されたのをギルド長も知ってるのか。それは、せっかく気にしてくれてたのに、申し訳ないなぁ……。
「あぁ、そんなに緊張しないで。僕は規定に従って、面談しているだけなんだから。何点か話を聞けばすぐに終わるよ」
「はぁ……聞きたいことって何ですか?」
「まずは、この8年で相当な訓練をしたようだけど、具体的にはどのような事をしたのかな?」
「そうですね、毎日、融合魔法で試行錯誤して、新しい回復薬を作ったり、火力のコントロールして雷魔法で攻撃したり……でしょうか」
「これは、8年前の結果だけど、適性検査項目がかなり増えてるね。何かあったのかな?」
一瞬、ギクリとした。リュカオンと融合したことは、ミリオン以外には話していない。
そもそも信じてもらえなかったし、伝説の魔獣王と融合したと知れたら、オレが駆逐対象になるかも知れない。
冷たい汗が背中をつたう。ゴクリと唾をのみこみ、平静を装って続けた。
「いえ、特別なことは何も……」
「では、質問を変えよう。伝説の魔獣王リュカオンは知ってるかな?」
今度こそ、ブフォっと飲みかけていた紅茶を吹き出してしまった。この8年、影に徹して生きてきたオレには、こんな状況に対応できるスキルは育っていない。
————ヤバい、今ので絶対バレた!!
ギルド長のまとう空気が変わった。見なくても匂いでわかる。下手に動けば、殺されそうな殺気を感じる。
「……知ってるね?」
もう、オレには誤魔化せない。ここは正直に話して、わかってもらうより他はないみたいだ。
「知ってるというか……リュカオンと融合しました。スミマセン」
とりあえず、正直に謝ってみた。だからギルド長、どうか、その肌に突き刺さるような殺気、やめてもらえませんかね?
3
あなたにおすすめの小説
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
元皇子の寄り道だらけの逃避行 ~幽閉されたので国を捨てて辺境でゆっくりします~
下昴しん
ファンタジー
武力で領土を拡大するベギラス帝国に二人の皇子がいた。魔法研究に腐心する兄と、武力に優れ軍を指揮する弟。
二人の父である皇帝は、軍略会議を軽んじた兄のフェアを断罪する。
帝国は武力を求めていたのだ。
フェアに一方的に告げられた罪状は、敵前逃亡。皇帝の第一継承権を持つ皇子の座から一転して、罪人になってしまう。
帝都の片隅にある独房に幽閉されるフェア。
「ここから逃げて、田舎に籠るか」
給仕しか来ないような牢獄で、フェアは脱出を考えていた。
帝都においてフェアを超える魔法使いはいない。そのことを知っているのはごく限られた人物だけだった。
鍵をあけて牢を出ると、給仕に化けた義妹のマトビアが現れる。
「私も連れて行ってください、お兄様」
「いやだ」
止めるフェアに、強引なマトビア。
なんだかんだでベギラス帝国の元皇子と皇女の、ゆるすぎる逃亡劇が始まった──。
※カクヨム様、小説家になろう様でも投稿中。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
追放された無能鑑定士、実は世界最強の万物解析スキル持ち。パーティーと国が泣きついてももう遅い。辺境で美少女とスローライフ(?)を送る
夏見ナイ
ファンタジー
貴族の三男に転生したカイトは、【鑑定】スキルしか持てず家からも勇者パーティーからも無能扱いされ、ついには追放されてしまう。全てを失い辺境に流れ着いた彼だが、そこで自身のスキルが万物の情報を読み解く最強スキル【万物解析】だと覚醒する! 隠された才能を見抜いて助けた美少女エルフや獣人と共に、カイトは辺境の村を豊かにし、古代遺跡の謎を解き明かし、強力な魔物を従え、着実に力をつけていく。一方、カイトを切り捨てた元パーティーと王国は凋落の一途を辿り、彼の築いた豊かさに気づくが……もう遅い! 不遇から成り上がる、痛快な逆転劇と辺境スローライフ(?)が今、始まる!
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる