夫のつとめ

藤谷 郁

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男はガチマッチョ!

3

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 堀田もイケメン二人もぽかんとする。どうしてあいつに? という顔である。

「そう、その人。申し訳ないけど、呼び出してくださる? ミーティング前に、少しだけ話をしたいの」
「南村だろ?」
「ええ」

 堀田は念を押すと、ぼりぼりと頭を掻いた。イケメン二人は顔を見合わせ、なぜかプッと噴き出している。
 彼らの反応に、希美は形の良い眉をぴくりとさせた。

(なによ、いくら南村壮二が営業部の幻影と呼ばれるくらい目立たず、いるかいないかわからない地味な人だからって、その態度はないでしょう)

 失礼な連中ねと、希美は怒りかけるが……

「南村なら、さっきからそこにいるぞ」
「え……?」

 堀田が呆れ顔で、希美の横を指さした。

(さっきから、そこにいる……って?)

 まさかと思いながら、ゆっくりと首を動かしてみる。

「ひっ!」

 希美の真横に、男が突っ立っていた。
 きょとんとした表情で、こちらを見下ろしている。

「いっ、いつの間に……っていうか、あっ、あなたが南村壮二!?」

 男は首の後ろに手をやると、ちょっと照れた笑みを浮かべ、ぺこりとお辞儀をした。

「はい。僕、営業二課の南村です」

(この人が……)

 存在感の無さは想像以上だった。
 いつの間に、すぐ横に立っていたのか。
 本当に、まったく、気が付かなかった。

「そ、そう。あなたが……」

 南村は愛想よく、にこにこしている。
 思っていたより背が高く、肩幅も意外に広い。しかし、紺のスーツに包んだ身体はすらりとして、スリムな印象。大木の堀田に比べたら、棒っきれに見える。
 そんな男にびっくりさせられて、胸がどきどきするのが悔しい。
 平静を装い、キッと目を上げる。

 驚くことはない、むしろ、この存在感の無さを求めていたのだから。

「南村壮二さん。単刀直入に言うわ」
「はい?」

 希美の低い声に、彼はおっとりと返事した。イケメン二人のほうがビクッとしている。
 ビクつかないのは鈍いせいだろうと想像しながら、鈍いやつにもダイレクトに伝わるよう、ストレートに告げた。

「あなた、私と結婚しなさい!」



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