夫のつとめ

藤谷 郁

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一途な男

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 確かに壮二は筋肉質だが、ガチマッチョとまではいかない。それなのに、どこにこんなパワーがあるのか。彼の身体は熱く、動きは激しく、生み出されるエネルギーも半端なかった。

(本当に初めてなの? それとも……童貞って、こういうもの?)
 
 あり得ないほど胸がドキドキする。
 男に抱かれてドキドキするなんて、らしくない。こんなこと、初めてだった。

 南村壮二という地味な男は、裸になれば別人に変わる。世界中の誰も知らない。希美だって知らず、想像もつかなかった。

 ベッド上での営みは、まさに想定外。
 
「希美さん、希美さんっ……」
「そ、壮二……あ、いやっ……ああん!」

 ますます激しくなる壮二の動き。
 希美はなにがなんだか分からなくなり、ただ委ねるしかなかった。自分が信じられない。いつの間にか主導権を渡し、されるがままだなんて。
 
「だ、だめ……腰が、もう……」

 手順など知りもせず、ただただ突っ走るのみ。
 単純だけど、それこそが初めて女を抱く男の強みなのだと希美は思い始める。
 彼は強い意思を持ち、ひたすら実行するだけ。
 一途に、まっすぐに――

「大好きです。もう、ずっと前からあなたのことが好きでっ、忘れられなくて……」
「は、はあ? っていうか、マジで腰がやば……」
「好きです、好きなんですっ!」
「じゃなくて……だから、お願い。ちょっと待って……ダメっ……」
「はいっ、希美さん。僕、頑張ります!」
「……!?」

 まったくかみ合わない会話の理由。
 それに思い至ったのは、最高潮に上り詰めた瞬間。
 希美は為すすべもなく、熱く激しい想いの丈を、すべて受け入れていた。

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