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嘘から出たまこと
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「そんな無責任なこと。一体、どんな社長かと思われるじゃない!」
『うむ、そのとおりだ。だから、こうしてお前に頼んでいる。優秀なところを見せて、相手を安心させてやってくれ』
(……ったく。信じられない)
母は大体察したのか、ため息をついて席を立ち、さっさとダイニングルームを出ていってしまった。
電源を切ればよかったと希美は後悔するが、もう遅い。開き直る社長に渋々返事をした。
「分かりました。昼食会で臼井さんと交代します。過去の商品カタログデータを送りますから、社長も確認しておいてください」
『おお、さすがわが娘。頼りにしているぞ』
ウキウキした声を聞き、希美はやれやれと首を振る。こういうところが父の憎めないところで、多くの女性はいろいろとごまかされてしまうのだろう。
『お、ところで今は南村と一緒なのか。昨夜はうまくいったんだろうな』
「え?」
突然話が変わり、希美は戸惑う。父はどうやら、デートの最中と思っているようだ。
「う、うん。もちろんよ」
『だと思ったよ。お前が大人しく振られるわけないからな。そこにいるなら、ちょっとかわってくれ』
「へっ?」
いきなりの要求に狼狽した。
父が壮二と話したがるなど、思いも寄らぬことだ。
「今はその、トイレに入ってるわ。なかなか出てこなくて……下痢みたい」
『なんだ、それじゃしょうがないな』
(ごめん、壮二)
他に言葉が見つからず、適当に言ってしまった。だが今のは、この父相手には最も無難なごまかし方である。
『あ、そうだ。南村がいるならちょうどいいじゃないか。ゴルフ場まで送ってもらいなさい』
「……え?」
ぽやんとする希美に、父は喜々として命じた。
『お前と結婚するとなれば、俺もやつに話がある。南村と一緒にこっちに来るんだ。いいな』
「はい? えっ、ちょっと……でも」
『いいだろ、そこにいるんだろ?』
いないとは言いたくない。予定どおりスムーズに事が運んでいると、父には思わせたかった。
「あ、だって、車がないわよ。彼、電車通勤だし、車も持ってるかどうか」
『レンタカーでも社用車でも構わん。とにかく、待ってるからな』
自分勝手に通話は切れた。
嘘から出たまことに、希美はしばし呆然とする。本当に、ゴルフ場に行くことになってしまった。
『うむ、そのとおりだ。だから、こうしてお前に頼んでいる。優秀なところを見せて、相手を安心させてやってくれ』
(……ったく。信じられない)
母は大体察したのか、ため息をついて席を立ち、さっさとダイニングルームを出ていってしまった。
電源を切ればよかったと希美は後悔するが、もう遅い。開き直る社長に渋々返事をした。
「分かりました。昼食会で臼井さんと交代します。過去の商品カタログデータを送りますから、社長も確認しておいてください」
『おお、さすがわが娘。頼りにしているぞ』
ウキウキした声を聞き、希美はやれやれと首を振る。こういうところが父の憎めないところで、多くの女性はいろいろとごまかされてしまうのだろう。
『お、ところで今は南村と一緒なのか。昨夜はうまくいったんだろうな』
「え?」
突然話が変わり、希美は戸惑う。父はどうやら、デートの最中と思っているようだ。
「う、うん。もちろんよ」
『だと思ったよ。お前が大人しく振られるわけないからな。そこにいるなら、ちょっとかわってくれ』
「へっ?」
いきなりの要求に狼狽した。
父が壮二と話したがるなど、思いも寄らぬことだ。
「今はその、トイレに入ってるわ。なかなか出てこなくて……下痢みたい」
『なんだ、それじゃしょうがないな』
(ごめん、壮二)
他に言葉が見つからず、適当に言ってしまった。だが今のは、この父相手には最も無難なごまかし方である。
『あ、そうだ。南村がいるならちょうどいいじゃないか。ゴルフ場まで送ってもらいなさい』
「……え?」
ぽやんとする希美に、父は喜々として命じた。
『お前と結婚するとなれば、俺もやつに話がある。南村と一緒にこっちに来るんだ。いいな』
「はい? えっ、ちょっと……でも」
『いいだろ、そこにいるんだろ?』
いないとは言いたくない。予定どおりスムーズに事が運んでいると、父には思わせたかった。
「あ、だって、車がないわよ。彼、電車通勤だし、車も持ってるかどうか」
『レンタカーでも社用車でも構わん。とにかく、待ってるからな』
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