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逢引!?
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首を傾げながらも麗子は花束を受け取り、添えられたカードを読んだ。
「懐かしの君へ。月の輝く夜に、恋人時代の美しい思い出を語り合いましょう。……友光より」
どういう意味なのか、麗子は分かりかねている。
しかし彼女以外の誰もが、『メッセージ』の真意を理解した。つまり細野友光は、かつての恋人(と、一方的に呼ぶ相手)を、逢引に誘っているのだ。
希美は思わず幸一を睨んだ。
利希の目の前でメッセージを読ませたのはわざとに違いない。人の家庭に波風立てるような真似をして、一体どういうつもりなのだ。
幸一はしかし怯むことなく、希美にウィンクしてみせる。とんでもなくふざけた態度だった。
(この男……お父様、何とか言ったらどうなの!)
さっきから無言の父に振り向いた。
「ひっ!」
利希が仁王立ちの状態で、全身を震わせいる。頬を引きつらせ、顔を真っ赤にして。
「お、お父様!?」
「社長、しっかりなさってください」
よろめく利希を、壮二が慌てて支えた。
「夜風は体に毒ですよ。あとは私にお任せください」
「あ、ああ……頼む」
弱々しい返事が聞こえ、希美は初めて父が受けた衝撃の強さを知った。
「旦那様、こちらへ」
武子が玄関ドアを開けた。利希の身を彼女にゆっくり預けると、壮二は幸一と向き合う。
「申しわけございません。北城は風邪気味でして……夜風に当たり体調を崩されたようです。ご用件がありましたら、私からお伝えいたしますが」
「えっ? あの人は別に風邪なんて……」
横から口出しする麗子の袖を、希美が引っ張った。
「ちょっと、なあに?」
「お母様も中に入って。お父様をお願い」
「え、ええ。でも、あの人、急にどうしたの? 風邪を引いてるなんて一言も……」
「あとは壮二に任せて。仕事の話をするから」
「そうなの?」
薔薇の花束とカードを手にオロオロする麗子を、無理やりドアの中に押し込める。
外には若い三人だけが残った。
「ああ、君は確か希美さんの婚約者だとかいう、秘書見習いの……」
「はい。南村壮二と申します」
幸一はうさんくさそうな目つきで壮二を見回す。
「休日に北城家に出入りするとはね。婚約者というのも、まんざら嘘でもないらしいな」
壮二が婚約者だというのを、幸一は疑っていたらしい。それにしても、敵意に満ちた言い方だった。
「でもさあ、君はまだ北城家の人間ではなく、しかも秘書見習いだろ? 社長への用件は、社長秘書の希美さんに伝えていただくとしよう」
幸一は壮二を押しのけて、希美の前に立った。
「懐かしの君へ。月の輝く夜に、恋人時代の美しい思い出を語り合いましょう。……友光より」
どういう意味なのか、麗子は分かりかねている。
しかし彼女以外の誰もが、『メッセージ』の真意を理解した。つまり細野友光は、かつての恋人(と、一方的に呼ぶ相手)を、逢引に誘っているのだ。
希美は思わず幸一を睨んだ。
利希の目の前でメッセージを読ませたのはわざとに違いない。人の家庭に波風立てるような真似をして、一体どういうつもりなのだ。
幸一はしかし怯むことなく、希美にウィンクしてみせる。とんでもなくふざけた態度だった。
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さっきから無言の父に振り向いた。
「ひっ!」
利希が仁王立ちの状態で、全身を震わせいる。頬を引きつらせ、顔を真っ赤にして。
「お、お父様!?」
「社長、しっかりなさってください」
よろめく利希を、壮二が慌てて支えた。
「夜風は体に毒ですよ。あとは私にお任せください」
「あ、ああ……頼む」
弱々しい返事が聞こえ、希美は初めて父が受けた衝撃の強さを知った。
「旦那様、こちらへ」
武子が玄関ドアを開けた。利希の身を彼女にゆっくり預けると、壮二は幸一と向き合う。
「申しわけございません。北城は風邪気味でして……夜風に当たり体調を崩されたようです。ご用件がありましたら、私からお伝えいたしますが」
「えっ? あの人は別に風邪なんて……」
横から口出しする麗子の袖を、希美が引っ張った。
「ちょっと、なあに?」
「お母様も中に入って。お父様をお願い」
「え、ええ。でも、あの人、急にどうしたの? 風邪を引いてるなんて一言も……」
「あとは壮二に任せて。仕事の話をするから」
「そうなの?」
薔薇の花束とカードを手にオロオロする麗子を、無理やりドアの中に押し込める。
外には若い三人だけが残った。
「ああ、君は確か希美さんの婚約者だとかいう、秘書見習いの……」
「はい。南村壮二と申します」
幸一はうさんくさそうな目つきで壮二を見回す。
「休日に北城家に出入りするとはね。婚約者というのも、まんざら嘘でもないらしいな」
壮二が婚約者だというのを、幸一は疑っていたらしい。それにしても、敵意に満ちた言い方だった。
「でもさあ、君はまだ北城家の人間ではなく、しかも秘書見習いだろ? 社長への用件は、社長秘書の希美さんに伝えていただくとしよう」
幸一は壮二を押しのけて、希美の前に立った。
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