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モテ男の出現
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「ま、あいつが元気ならいいんだ。北城さんに食われてるんじゃないかって、心配してたんだよ」
「もう、そんなことばっかり」
食われてるのは私のほうですから――
にやにやする希美を堀田がけげんそうに見るが、エレベーターの扉が開いたところで手を振った。
「じゃあな、女王様。地味な王子とお幸せに」
「どうも」
堀田はいい男だ。筋骨隆々の肉体にときめかなくなった希美だが、彼のストレートな性格は好感が持てる。
(だけど、今の私のタイプは、見るからにガチマッチョではなく、脱いだら別人の地味男。私だけが知ってる壮二の魅力。なーんてね)
希美にとって壮二は、梅雨のうっとうしさも吹き飛ばしてしまうほどの活力源。
今日も会える幸せをかみしめつつ、秘書課のドアを開けた。
「……あら?」
女性社員が一か所にかたまり、わいわい騒いでいる。いつもなら各々の席で朝の準備をする時間なのに、何かあったのだろうか。
(そういえば、壮二の姿がない。まだ出勤してないのかしら)
希美は首を傾げながら、女たちのほうに近づいた。
「おはよう。どうかしたの?」
声をかけると、女性社員がいっせいに振り返った。どの顔も紅潮し、明らかに興奮している。
「大変です、北城さん!」
「信じられないことが起きましたよっ」
やはり何かあったのだ。しかも、尋常でない空気を感じる。
「大変って、まさか……我が社もネット炎上したんじゃ」
希美は青ざめるが、女たちが顔を横に振り、サッと左右に分かれた。
「……え?」
希美の前に進み出たのは、すらりと背が高く、涼し気な笑みを浮かべる若い男。
背筋を伸ばし、胸を張ったその姿は、どこからどう見てもイケメンハイスペック。
高級スーツを纏うその人は……
(まさか、ちょっと待って。嘘でしょ……え……ええええっ!?)
「おはようございます、北城さん」
「そ、壮二? あなた、本当に壮二なの?」
「はい。皆さんにも信じてもらえなくて……あの、そんなに僕、変わりましたか?」
希美は激しくうなずいた。
なぜ、どうして。
存在感ゼロの地味男が、どうしてこうなった? スーツ一つで変身するなんて、『白樺』のオーナーは魔法使いだったの?
「なんだか照れちゃいますね。えっと……先に社長室に行ってます」
キャアキャアと騒ぐ女たちから逃げるように、壮二が立ち去る。
焦る姿までがスマートに感じられた。
(待って。もしかして、これって……)
思わず息を呑んだ。
女性社員の壮二を見る目が、明らかにいつもと違う。これまでの『地味な同僚』ではなく、『男』として彼を意識している。
(冗談じゃない。壮二は私だけのものなんだから!!)
皆に仕事の準備をするよう指示し、転びそうになりながら社長室へと急いだ。
「もう、そんなことばっかり」
食われてるのは私のほうですから――
にやにやする希美を堀田がけげんそうに見るが、エレベーターの扉が開いたところで手を振った。
「じゃあな、女王様。地味な王子とお幸せに」
「どうも」
堀田はいい男だ。筋骨隆々の肉体にときめかなくなった希美だが、彼のストレートな性格は好感が持てる。
(だけど、今の私のタイプは、見るからにガチマッチョではなく、脱いだら別人の地味男。私だけが知ってる壮二の魅力。なーんてね)
希美にとって壮二は、梅雨のうっとうしさも吹き飛ばしてしまうほどの活力源。
今日も会える幸せをかみしめつつ、秘書課のドアを開けた。
「……あら?」
女性社員が一か所にかたまり、わいわい騒いでいる。いつもなら各々の席で朝の準備をする時間なのに、何かあったのだろうか。
(そういえば、壮二の姿がない。まだ出勤してないのかしら)
希美は首を傾げながら、女たちのほうに近づいた。
「おはよう。どうかしたの?」
声をかけると、女性社員がいっせいに振り返った。どの顔も紅潮し、明らかに興奮している。
「大変です、北城さん!」
「信じられないことが起きましたよっ」
やはり何かあったのだ。しかも、尋常でない空気を感じる。
「大変って、まさか……我が社もネット炎上したんじゃ」
希美は青ざめるが、女たちが顔を横に振り、サッと左右に分かれた。
「……え?」
希美の前に進み出たのは、すらりと背が高く、涼し気な笑みを浮かべる若い男。
背筋を伸ばし、胸を張ったその姿は、どこからどう見てもイケメンハイスペック。
高級スーツを纏うその人は……
(まさか、ちょっと待って。嘘でしょ……え……ええええっ!?)
「おはようございます、北城さん」
「そ、壮二? あなた、本当に壮二なの?」
「はい。皆さんにも信じてもらえなくて……あの、そんなに僕、変わりましたか?」
希美は激しくうなずいた。
なぜ、どうして。
存在感ゼロの地味男が、どうしてこうなった? スーツ一つで変身するなんて、『白樺』のオーナーは魔法使いだったの?
「なんだか照れちゃいますね。えっと……先に社長室に行ってます」
キャアキャアと騒ぐ女たちから逃げるように、壮二が立ち去る。
焦る姿までがスマートに感じられた。
(待って。もしかして、これって……)
思わず息を呑んだ。
女性社員の壮二を見る目が、明らかにいつもと違う。これまでの『地味な同僚』ではなく、『男』として彼を意識している。
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皆に仕事の準備をするよう指示し、転びそうになりながら社長室へと急いだ。
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