夫のつとめ

藤谷 郁

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最高の用心棒

2

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「御社との契約は白紙にする。それだけではない。あなたも、あなたの息子も、今後北城家に関わろうとすれば容赦しません」
「……く」

 利希の気迫に押されてか、それとも後ろめたさのためか、友光は怯んだ。
 これ以上とぼけるのは無理だろう。
 何しろ悪事の現場を、第三者に目撃されている。出るところに出れば、細野親子が不利になるのは明らかだった。

「ふ、ふはは……まあ、そうですな。おたくがそうおっしゃるなら、こちらは引き止めはしませんよ? 元々乗り気ではなく、さほどメリットもない取引きですからな。いわゆる発展的解消ということで」

 友光は強がりを並べ立て、やがて言葉を途切れさせると、利希の強い視線を避けるようにロビーに戻っていった。



「くそったれめ」

 吐き捨てるように言うと、利希は助手席に乗り込んでドアを閉めた。杉山がエンジンをかけて車を発進させる。

 別荘の明かりが遠ざかり、やがて視界から消えると希美は胸を撫で下ろした。
 酷い目に遭ったけれど、結果オーライ。ビジネスだと割り切って付き合うにも限度がある。今回の出来事で、その限度を超えた細野家ときっぱり縁が切れたのは幸いだ。

 娘の手を握りしめる母に微笑んでから、助手席に声をかける。

「お父様、グッジョブ」
「ふん。海山商事がなんぼのもんだ。あの程度の取引先くらい、すぐに見つかるさ」

 利希も友光も元イケメンハイスペックの御曹司。だけど二人を比べてみれば、その中身は全然違う。
 父に対する希美の認識は、これまでとは別ものになった。

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