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ブランドイメージの回復
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なにより痛いのは、ブランドイメージの失墜だ。創業以来、地道に築き上げてきた信頼と実績が、もろくも崩れ去った。
多額の負債はもとより、失われた信用が企業努力だけで贖えるのだろうか。一体どれほどの損失になるのか、希美には想像もつかない。
いや、想像したくないというのが正直な気持ちだった。
「とにかく、これからのことは明日の会議次第だ。今夜はもう帰ろう」
「はい、社長」
利希が杉山の車で帰宅するのを見送ったあと、希美は壮二と食事に出かけた。ここのところちゃんとした食事をとっておらず、壮二とゆっくり話もできなかった。
「ごめんね、壮二。少しだけ付き合ってほしいの」
「構いませんよ。僕も希美さんと、食事したかったから」
会社近くの和食レストランに入った。こってりした肉料理より、焼き魚や煮物が食べたい気分である。
「これからどうなるのかしら。経験のない事態だから不安だわ」
鮎の塩焼きをほぐしながら、希美が元気なくつぶやく。向かいに座る壮二は、腕組みをして何か考えている。
(会社もだけど、プライベートも先行き不透明ね……秋には結婚式だというのに、こんな状態では延期になるかもしれない。というより……)
一つのトラブルをきっかけに会社が倒産したり、他の企業に買収されるケースがある。
ノルテフーズも資金繰りがうまくいかなければ他人事ではない。
そうなった時、壮二はどうするだろう。倒産した会社の一族に加わり、借金まみれの生活をすることになったら――
壮二がふいに顔を上げ、希美に微笑みかけた。まるで、不安を取り除くかのように。
「最悪の事態は免れるでしょう。投稿者の要望どおり誠実な対応をすれば、ブランド力は必ず復活します」
「そ、そうかしら」
「はい。例えば僕の父なんかは、椀麺シリーズの大ファンだから、今回の件を嘆いてましたよ。『早く再出荷できるよう、お前も頑張れよ』なんて、昨夜も電話をもらいました」
「ほんとに?」
壮二の身内が応援してくれる。希美は胸が温かくなった。
「うん、頑張らなきゃね。応援してくれるファンのためにも、ブランドイメージの復活を目指して努力する」
「そうです、希美さん。それが経営者の役目であり、責任です」
いつになく厳しい口調に聞こえた。だけど彼の眼差しは優しく、希美をまるごと包んでいる。
「そばにいてね、壮二。私を見守っていて」
「もちろん。絶対に離れませんよ」
どんな状況になろうと、壮二が婚約破棄することはない。
希美は頬を染めつつ、確信するのだった。
多額の負債はもとより、失われた信用が企業努力だけで贖えるのだろうか。一体どれほどの損失になるのか、希美には想像もつかない。
いや、想像したくないというのが正直な気持ちだった。
「とにかく、これからのことは明日の会議次第だ。今夜はもう帰ろう」
「はい、社長」
利希が杉山の車で帰宅するのを見送ったあと、希美は壮二と食事に出かけた。ここのところちゃんとした食事をとっておらず、壮二とゆっくり話もできなかった。
「ごめんね、壮二。少しだけ付き合ってほしいの」
「構いませんよ。僕も希美さんと、食事したかったから」
会社近くの和食レストランに入った。こってりした肉料理より、焼き魚や煮物が食べたい気分である。
「これからどうなるのかしら。経験のない事態だから不安だわ」
鮎の塩焼きをほぐしながら、希美が元気なくつぶやく。向かいに座る壮二は、腕組みをして何か考えている。
(会社もだけど、プライベートも先行き不透明ね……秋には結婚式だというのに、こんな状態では延期になるかもしれない。というより……)
一つのトラブルをきっかけに会社が倒産したり、他の企業に買収されるケースがある。
ノルテフーズも資金繰りがうまくいかなければ他人事ではない。
そうなった時、壮二はどうするだろう。倒産した会社の一族に加わり、借金まみれの生活をすることになったら――
壮二がふいに顔を上げ、希美に微笑みかけた。まるで、不安を取り除くかのように。
「最悪の事態は免れるでしょう。投稿者の要望どおり誠実な対応をすれば、ブランド力は必ず復活します」
「そ、そうかしら」
「はい。例えば僕の父なんかは、椀麺シリーズの大ファンだから、今回の件を嘆いてましたよ。『早く再出荷できるよう、お前も頑張れよ』なんて、昨夜も電話をもらいました」
「ほんとに?」
壮二の身内が応援してくれる。希美は胸が温かくなった。
「うん、頑張らなきゃね。応援してくれるファンのためにも、ブランドイメージの復活を目指して努力する」
「そうです、希美さん。それが経営者の役目であり、責任です」
いつになく厳しい口調に聞こえた。だけど彼の眼差しは優しく、希美をまるごと包んでいる。
「そばにいてね、壮二。私を見守っていて」
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希美は頬を染めつつ、確信するのだった。
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