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招かれざる客
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しばらくすると、父と母がリビングに戻ってきた。紅茶とケーキを囲み、家族4人で向かい合う。
私はお茶を飲みながら、昨日の出来事を報告した。横浜デート、入籍、高級マンションの様子まで。羽根田社長と翼さんについても、できるだけ詳しく話した。
ただ、綾華と再会してパニックになった辺りは省略した。家族の前で、あの頃を想起させる話題は避けたかったから。
「そうか、そうか。奈々子はめでたく由比家の嫁になったわけだ。娘が良縁に恵まれ、会社も安泰。いや~、良かった良かった」
私が話し終わると、父が顔を輝かせてケーキを頬張った。母も隣でにこやかに笑い、私にお茶のおかわりをすすめたりする。
はしゃぎすぎる二人を前に、姉だけは冷静に意見した。
「でも、私たち家族にとってはこれからが本番でしょ。特にお父さんは、言動に気をつけてよね。由比家との顔合わせで何かやらかしたら、全部台無しになるかもしれないんだから」
「なんだって?」
父がムッとして姉を睨んだ。
「この結婚はビジネスでもある。ビジネスの場面で俺がヘマをすると思うか?」
「そうよ、薫。それに、こう見えてお父様は奈々子の幸せを誰よりも願ってるんだから、失敗なんかするもんですか」
えっ? と思い、父を見た。
私の幸せを誰よりも願う?
「い、いや、誰よりもというか、一応、親だから……」
「ほほほ……最近のあなたったら、はたから見ても可笑しいほど浮かれてるもの。今さら隠さなくてもいいじゃありませんか」
「うう……」
からかうような母の言葉に父は反論もできず、狼狽するばかり。
焦った態度は逆に、本音を表していた。
「とにかく、今度の顔合わせを楽しみにしていますと、先方にお伝えしてくれ。いいな、奈々子」
急に厳しい顔つきになり、いつものように命令した。母と姉が、そんな父を面白そうに見守る。
私はまたしても不思議な気持ちになりながら、素直にうなずいた。
「ゴホン! まあとにかく、いろいろ無事に運んで何よりだ。奈々子はCEOの妻として、これから忙しくなるだろう。今日はゆっくりしていくといい」
父が居心地悪そうに立ち上がり、リビングをさっさと出て行ってしまった。
「まあ、あの人ったら。でもほんと、ゆっくりしていきなさいね奈々子。そうそう、必要な荷物はまとめておけば、あとで宅配で送ってあげるからね」
「分かった。ありがとう、お母さん」
空のカップを片付けて母も出て行く。リビングが静かになり、再び姉と二人きりになった。
「ところで奈々子」
姉の低い声が私を呼んだ。少し厳しい響きがして、ドキッとする。
「えっ、な、何?」
「昨夜遅く、あんたに電話がかかってきた。うちの固定電話に。たまたま私が応答したんだけど……」
電話?
何の話か分からず、なぜか急に緊張した様子の姉を見つめた
「お父さんたちには話してない。まずあんたに確かめてからと思って」
「ど、どういうこと? 私に電話って、一体誰から」
姉は一呼吸置いて、静かに答えた。
「中学時代の同級生って、言ってたわ。車田夏樹って、知ってる?」
突然、頭を殴られたような衝撃を受けた。そして体が硬直し、口も聞けなくなる。
「その反応、やっぱり……」
姉が私の肩をつかみ、強く揺すぶった
「中学の頃、あんたを虐めた女だね。そいつらと最近、何かあったんでしょ。全部話しなさい!」
私はお茶を飲みながら、昨日の出来事を報告した。横浜デート、入籍、高級マンションの様子まで。羽根田社長と翼さんについても、できるだけ詳しく話した。
ただ、綾華と再会してパニックになった辺りは省略した。家族の前で、あの頃を想起させる話題は避けたかったから。
「そうか、そうか。奈々子はめでたく由比家の嫁になったわけだ。娘が良縁に恵まれ、会社も安泰。いや~、良かった良かった」
私が話し終わると、父が顔を輝かせてケーキを頬張った。母も隣でにこやかに笑い、私にお茶のおかわりをすすめたりする。
はしゃぎすぎる二人を前に、姉だけは冷静に意見した。
「でも、私たち家族にとってはこれからが本番でしょ。特にお父さんは、言動に気をつけてよね。由比家との顔合わせで何かやらかしたら、全部台無しになるかもしれないんだから」
「なんだって?」
父がムッとして姉を睨んだ。
「この結婚はビジネスでもある。ビジネスの場面で俺がヘマをすると思うか?」
「そうよ、薫。それに、こう見えてお父様は奈々子の幸せを誰よりも願ってるんだから、失敗なんかするもんですか」
えっ? と思い、父を見た。
私の幸せを誰よりも願う?
「い、いや、誰よりもというか、一応、親だから……」
「ほほほ……最近のあなたったら、はたから見ても可笑しいほど浮かれてるもの。今さら隠さなくてもいいじゃありませんか」
「うう……」
からかうような母の言葉に父は反論もできず、狼狽するばかり。
焦った態度は逆に、本音を表していた。
「とにかく、今度の顔合わせを楽しみにしていますと、先方にお伝えしてくれ。いいな、奈々子」
急に厳しい顔つきになり、いつものように命令した。母と姉が、そんな父を面白そうに見守る。
私はまたしても不思議な気持ちになりながら、素直にうなずいた。
「ゴホン! まあとにかく、いろいろ無事に運んで何よりだ。奈々子はCEOの妻として、これから忙しくなるだろう。今日はゆっくりしていくといい」
父が居心地悪そうに立ち上がり、リビングをさっさと出て行ってしまった。
「まあ、あの人ったら。でもほんと、ゆっくりしていきなさいね奈々子。そうそう、必要な荷物はまとめておけば、あとで宅配で送ってあげるからね」
「分かった。ありがとう、お母さん」
空のカップを片付けて母も出て行く。リビングが静かになり、再び姉と二人きりになった。
「ところで奈々子」
姉の低い声が私を呼んだ。少し厳しい響きがして、ドキッとする。
「えっ、な、何?」
「昨夜遅く、あんたに電話がかかってきた。うちの固定電話に。たまたま私が応答したんだけど……」
電話?
何の話か分からず、なぜか急に緊張した様子の姉を見つめた
「お父さんたちには話してない。まずあんたに確かめてからと思って」
「ど、どういうこと? 私に電話って、一体誰から」
姉は一呼吸置いて、静かに答えた。
「中学時代の同級生って、言ってたわ。車田夏樹って、知ってる?」
突然、頭を殴られたような衝撃を受けた。そして体が硬直し、口も聞けなくなる。
「その反応、やっぱり……」
姉が私の肩をつかみ、強く揺すぶった
「中学の頃、あんたを虐めた女だね。そいつらと最近、何かあったんでしょ。全部話しなさい!」
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