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幼なじみ襲来!(続)
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「『月刊史跡探訪』の記事、毎回楽しく拝読しています。戦国時代から江戸末期にかけての史跡を分かりやすく、面白く紹介されてますよね。写真も掲載されていて、でもぱっと見てご本人とは気づかず……いや、失礼しました」
翼さんが両手を差し出し、花ちゃんと握手した。
「はっはっは。なんと羽根田殿はわしをご存知であったか。しかしブログは読まれていないようじゃな」
「す、すみません」
花ちゃんの指摘に、少し罰が悪そうにする。
「時々は拝見していますが、毎日は追いきれず。もともとブログやSNSは見ないほうなので」
「いやいや、雑誌を読んでもらえるだけでもありがたいこと。また、読者から直に感想を聞けるのは筆者として最上の喜びでござる。こうして羽根田殿にお会いできて、本日はまことによき日じゃ!」
花ちゃんも興奮してきたのか、かなりの早口だ。記事を褒められて、とても嬉しそう。
「こちらこそ、お会いできて光栄です。しかし、二刀先生がまさか奈々子さんの幼なじみとは……驚きました!」
「ちょっと待ってくれよ」
盛り上がる翼さんを遮り、織人さんが疑問を向けた。
「花ちゃんの専門は時代劇と大河ドラマだよな。翼が歴史ファンだなんて知らなかったぞ」
「ああ、それは」
翼さんが、さもありなんという風に答える。
「『月刊史跡探訪』は歴史を扱っているが、ジャンルは旅雑誌なんだ。旅行に関する本は大体網羅してるから、二刀先生の記事を発見することができた。連載1回目から凄く面白くて、毎回楽しみにしてるんだよ」
なるほど、翼さんの興味は歴史というより旅行にあったのだ。
それにしても、さっきから花ちゃんの鼻息が荒い。目の前で読者に褒められ、興奮してきたのか。
「なるほどねえ。でもまあ、二人気が合いそうで良かったぜ。なっ、奈々子」
「はい」
私は花ちゃんも翼さんも好きだ。二人が友達になってくれたらすごく嬉しい。
「二刀先生、サインをいただけますか」
「先生はよしてくだされ。花ちゃんでおっけーでござるよ、翼殿」
楽しげなやり取りを見てホッとする。織人さんと目を合わせ、思わず微笑んでしまった。
「ところで翼、今日はまたどうしたんた。奈々子に直接礼を言いたいなんて、今さらだろう」
「ああ、それは……」
花ちゃんとひとしきり盛り上がった後、翼さんがかしこまった態度で私たちに向き合う。
本来の用事を思い出したのだ。
「この前の、見合いのことで、ちょっとな」
「何かあったのか」
「うん。実は昨日……」
彼は言いかけるが、隣に座る花ちゃんをチラリと見た。事情を知らない人の前で、用件を切り出して良いのか迷っているのだ。
「翼殿。もしよければ、遠慮なく話してくだされ。わしも西野綾華についてはよう知っておるし、情報があるなら教えていただきたい。見合いされた件も承知しておるゆえ」
「えっ、そうなんですか?」
驚く翼さんに、織人さんが簡単に説明した。花ちゃんが綾華に抱く感情と、その理由も。
「そうだったんですか。それなら、二刀先……花さんにもぜひお聞かせしたいですね。なぜ俺があらためて、奈々子さんにお礼を言いたくなったのか」
翼さんが手元のバッグからタブレットを取り出し、テーブルに置いた。
「とりあえず、これを見てください。織人、そして奈々子さんも」
「ん? なんだよこれ、写真?」
開かれたのは写真アプリ。翼さんがサムネイルから一枚を選んで表示する。
「あっ……」
ドキッとした。
そこに写っているのは、見覚えのある空間。何組かのカップルが寄り添い合い、一方を見つめている。
「なんだか薄暗い場所じゃのう……おや、日付と時間が表示されておるな。もしや、防犯カメラの写真か?」
「ええ、花さん。そのとおりです」
織人さんと顔を見合わせた。
「おい、これってもしかして……」
「そうだ。横浜のビルの、お前たちがデートした日の展望フロアだよ」
翼さんが両手を差し出し、花ちゃんと握手した。
「はっはっは。なんと羽根田殿はわしをご存知であったか。しかしブログは読まれていないようじゃな」
「す、すみません」
花ちゃんの指摘に、少し罰が悪そうにする。
「時々は拝見していますが、毎日は追いきれず。もともとブログやSNSは見ないほうなので」
「いやいや、雑誌を読んでもらえるだけでもありがたいこと。また、読者から直に感想を聞けるのは筆者として最上の喜びでござる。こうして羽根田殿にお会いできて、本日はまことによき日じゃ!」
花ちゃんも興奮してきたのか、かなりの早口だ。記事を褒められて、とても嬉しそう。
「こちらこそ、お会いできて光栄です。しかし、二刀先生がまさか奈々子さんの幼なじみとは……驚きました!」
「ちょっと待ってくれよ」
盛り上がる翼さんを遮り、織人さんが疑問を向けた。
「花ちゃんの専門は時代劇と大河ドラマだよな。翼が歴史ファンだなんて知らなかったぞ」
「ああ、それは」
翼さんが、さもありなんという風に答える。
「『月刊史跡探訪』は歴史を扱っているが、ジャンルは旅雑誌なんだ。旅行に関する本は大体網羅してるから、二刀先生の記事を発見することができた。連載1回目から凄く面白くて、毎回楽しみにしてるんだよ」
なるほど、翼さんの興味は歴史というより旅行にあったのだ。
それにしても、さっきから花ちゃんの鼻息が荒い。目の前で読者に褒められ、興奮してきたのか。
「なるほどねえ。でもまあ、二人気が合いそうで良かったぜ。なっ、奈々子」
「はい」
私は花ちゃんも翼さんも好きだ。二人が友達になってくれたらすごく嬉しい。
「二刀先生、サインをいただけますか」
「先生はよしてくだされ。花ちゃんでおっけーでござるよ、翼殿」
楽しげなやり取りを見てホッとする。織人さんと目を合わせ、思わず微笑んでしまった。
「ところで翼、今日はまたどうしたんた。奈々子に直接礼を言いたいなんて、今さらだろう」
「ああ、それは……」
花ちゃんとひとしきり盛り上がった後、翼さんがかしこまった態度で私たちに向き合う。
本来の用事を思い出したのだ。
「この前の、見合いのことで、ちょっとな」
「何かあったのか」
「うん。実は昨日……」
彼は言いかけるが、隣に座る花ちゃんをチラリと見た。事情を知らない人の前で、用件を切り出して良いのか迷っているのだ。
「翼殿。もしよければ、遠慮なく話してくだされ。わしも西野綾華についてはよう知っておるし、情報があるなら教えていただきたい。見合いされた件も承知しておるゆえ」
「えっ、そうなんですか?」
驚く翼さんに、織人さんが簡単に説明した。花ちゃんが綾華に抱く感情と、その理由も。
「そうだったんですか。それなら、二刀先……花さんにもぜひお聞かせしたいですね。なぜ俺があらためて、奈々子さんにお礼を言いたくなったのか」
翼さんが手元のバッグからタブレットを取り出し、テーブルに置いた。
「とりあえず、これを見てください。織人、そして奈々子さんも」
「ん? なんだよこれ、写真?」
開かれたのは写真アプリ。翼さんがサムネイルから一枚を選んで表示する。
「あっ……」
ドキッとした。
そこに写っているのは、見覚えのある空間。何組かのカップルが寄り添い合い、一方を見つめている。
「なんだか薄暗い場所じゃのう……おや、日付と時間が表示されておるな。もしや、防犯カメラの写真か?」
「ええ、花さん。そのとおりです」
織人さんと顔を見合わせた。
「おい、これってもしかして……」
「そうだ。横浜のビルの、お前たちがデートした日の展望フロアだよ」
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