悪役令嬢に成り代わったのに、すでに詰みってどういうことですか!?

ぽんぽこ狸

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不眠症ってやつでは……。2

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 皆しっかりと剣の鍛錬の仕方や魔法の修練なんかで一対一での戦いについては培ってきたものがあるが、私たち寄せ集めのチームには何せ団体戦での経験値というものが無い。これが良策なのかそうでないのか、安直に流行ってるからと言って採用するという判断をしていいとは思えない。

 そこら辺に、気がついていそうな、のは……。

 また、渋い表情をして、目を閉じて話を聞くサディアスだろう。ヴィンスはわかっていても何も言わないので除外として、シンシアもキラキラとした目で可愛らしいアタッチメントを見つめている。

 人混みの中から、数人が出て万引き防止のためにディスプレイそばに立っている店員の女性に声をかけて五個の箱を受け取って去っていく。

「ほら、皆、買っているんですっ!中心に付ける宝石の色が選べて、私達のカラーを身につけて戦えるなんてロマンじゃないですかっ、ね?」

 チェルシーの説得は主にサディアスに向いていた。金額的には大金貨五枚、私のお小遣いの半分だ。

 簡単に購入出来る金額じゃない、でも奮発すればなんとかと言った感じだ。でも、問題はその先、団体戦でそれを使用しなければならなくなってしまうということだろう。そこの判断をするのは一番このチームでまっとうな彼だ。

 サディアスはさらに眉間の皺を深めて、目を開いた。あれは全否定しようとしている時の目じゃないだろうか。
 
「……チェルシー、私。アタッチの性能を聞いてて思ったんだけど、皆の能力、得意分野を潰してしまわないかな?」

 興奮する彼女の肩に手をぽんと置いて、至極申し訳ない気持ちを全面に押し出して言う。そうするとチェルシーは、はっとして私を振り返る。

「そんな事、気にしなくていいですよっ?……クレアが勉強を教えてくれるように、私達の得意なことを分け与えたいんです!皆そうやって、戦闘力の底上げをしていて……」
「うん、それは凄く嬉しいんだけど、もう少し吟味してみない?貴族と違って私達には大金でしょ?どんな性能のアタッチがあるのかゆっくり店内を見てからそれぞれ、気に入ったものをプレゼンしてみるなんて……どうかな?」

 角が立たないように、それでいて、あの流行りに乗った星型アタッチ以外を購入出来る術を探す。

 私はお願いっと手を合わせて、ね?と首を傾げる。そうするとチェルシーはむむっと考え込んで、こくりと頷いた。


 皆がそれぞれ分かれて、丁度いいアタッチを探すために、一旦解散したのだが、ヴィンスは当たり前のように後ろから付いてくる。何だかんだと言って未だに自立のじの字もない彼だが、知識や常識は割とある方だ。

「ヴィンス、さっきのチェルシーの星型アタッチ買うのって賛成できる?」
「クレアが賛成するのであれば賛成です。違うというのなら、理由は想像がつきますが」

 一応私の言いたいことは汲み取ってくれているようで、内心ほっとする。

 店内は広く、私達はそれぞれバラバラに別れたので、話を聞かれるという事は無いだろうと思いヴィンスと相談して決めることにする。
 大まかに、一階には、チームで揃いでつけるアタッチメントがまるでジュエリー店のようにガラスケースに入れられて少し窮屈そうに沢山並んでいる。

「うん……安直に賛成するより、もっと私達にちょうどいい、ものがあると思うんだよね」
「左様でございますか、私は…………」

 ヴィンスはそこで言葉をきって、私が彼の方を振り返るとニコッと笑って、再度口を開く。

「あまり詳しくはありませんが、アタッチの大まかな分類をお伝えしますね」
「……わかった」

 どうせ聞き返しても答えないだろうと思い了承する。ヴィンスはすぐ近くにあるガラスケースを指さして、特にモチーフの無いパールのように真ん丸なアタッチを示す。

「こちらのようなものは、単純なパワー型、スピード型、防御型と言った基本魔法の強化アタッチのチームまとめ売りですね。お得です」

 言われて値段を見ると新作の五分の一程度の値段だった。

「確かに……」
「二階にはもう少し、基本魔法の中でも細かな性能が期待できるアタッチが置いてあります。それらはセット販売ではなく、個別販売で、生活魔法の補助、盾の魔法、固有魔法、個人の能力を補助し、支える事ができるアタッチが個別販売には多いです」

 ヴィンスは少し移動して、今度は木の葉のような可愛らしい形をしたアタッチを指す。

「こちらは、新作に近いアタッチです。チームで使用することができ、回復力が負傷の大きな順にチーム内で魔力が回されます」
「うん」
「このように、魔力をチーム内で合理的に運用する事が出来るのがチームで同じアタッチを付ける理由です。弱点としては、魔力の効率があまりよくありません」
「効率?」
「えぇ、消費効率が悪いですね、本来なら自分で回復する、戦うこれ以上の事は無いです」

 あまりピンとこないが、私が魔法玉を重複使用するのと同じような効率のわるさなのだろうか。

「あとは連携が取れるよう位置が把握出来たり、味方の魔法武器が当たらなくなるなんて言うものもあります」

 そこら辺は、使用者が限られてくるだろう。
 歩きながら、私はアタッチメントを眺めつつ、ぼんやりと考える。

「ねぇヴィンス、魔力効率が悪いってさ、アタッチから他人の魔力が送られてきて、それを自分の魔法玉に取り込んでから使うからロスが大きんじゃない?」
「……魔力のとらえかたは人それぞれです、クレアがそう仮定するのならその可能性もあります」

 眺めながら歩いていると、店内の隅っこの方に追いやられるように置いてある一組のアタッチが私の目を引いた。ハートの形をしたシンプルなアタッチだ。

 その説明をみて、じゃあ、これならどうだろう?と、思案する。本来だったら、トリッキーも良いところだが、私の状況、今の学園の戦闘方法、それを考えると案外名案な気がして、私は説明をよく読み込んだ。



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