【完結】幽閉の王を救えっ、でも周りにモブの仕立て屋しかいないんですけどぉ?

北川晶

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2-エピローグ ②【最終回】

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 卒業式から、結婚式までの期間。
 ぼくは一日おきに、どこかの屋敷を訪問して、夜会に出るという、忙殺状態。
 家にいるときは、侍女たちに囲まれ、爪を磨かれ、肌をお手入れ、髪のケアなどなど。揉みくちゃで、でも、つるつるピカピカになるという、不思議現象。
 その合間に、婚礼衣装をチクチクするという、極限生活。大変です。

 だけど、それもこれも、結婚式のため。

 前世でも、結婚式は一大イベントで。準備するのは、すっごく大変なこと。お金もかかるよって。ワイドショーで言ってた。
 巴も静も、結婚なんて、まだまだだったから。実際の経験は、なかったけど。
 みなさん、一生懸命頑張って、結婚式をするのですね?
 ぼくなんか。自分で主催しているわけでもないのに、こんなにヘロヘロで。世の、結婚式を準備する方々、すっごい尊敬します。

 それはともかく。
 ぼくは忙しい合間を縫って、婚礼衣装をリニューアルしています。
 今回は、ぼくの分も仕立てしているわけで。なんか、自分で自分の婚礼衣装を作るのって、照れくさいですね?
 陛下のお衣装は、バミネが死に装束にするために、依頼されたから。とにかく質素にしろと言われていた。

 でも、その制約はもうないのだから。思いっきり豪華に仕立て直せるのだ。

 一度は、死に装束として作られたものを、婚礼衣装にするのは、縁起が悪いと。ぼくも、ちょっとは思うのだけど。
 でも、陛下は。ぼくの作った衣装は、死に装束ではないのだと証明したい。そして、ぼくと出会えた、ぼくと縁を結んだ、素敵な衣装だから、結婚式ではこの衣装を着たいのだと、言ってくれて。
 ぼくへの配慮がありがたすぎて。お、お、お、お優しいいぃぃぃ。

 だから、ぼくも。心を込めて、ふんだんに、豪華な装飾をつけている最中なのです。
 ぼくの婚礼衣装も、陛下とついになるように仕立てているので。乞うご期待。

 ま、その前に。貴族の館への訪問が、ひと段落し。
 最後の大一番、バジリスク公爵邸での大大夜会が開催された。

 自分の家で、夜会ができるなんて。びっくりです。
 公爵邸で、のほほんと生活をしていたときには、考えたこともなかった。
 けれど。ここは、すっごい大きな敷地でね?
 学園のパーティー会場よりも、大きなダンスフロアがあってね?
 警備の兵も、ん百人常駐していてね?
 なんか、家の規模が、ぼくの思うものと、数段違うのですよ。
 バグってます。ぼくん家、すごくね?

 そういえばさ。なんか、学園行ったり、チクチクしたりで、忙しくてさ。公爵家に帰ってきてからも、そんなに家の中を探検するような余裕が、なかったんだよね?
 聞いたところによると、使用人の間では。深窓の御令息。なんて言われていたみたいなんだよね?

 前世だったら、引きこもり陰キャボッチ、というところか。
 へへ、何年経っても、基本の中身は変わらないってことだよね?

 まぁ、それで。王宮の夜会と、肩を並べるほどに、豪華絢爛な夜会会場が、目の前に広がっていまして。
 着飾った紳士淑女のみなさんが、グラス片手に談笑なんかをしていまして。キラキラキラキラぁ…。

「ば、場違い感、半端ない」

 つぶやいたら、隣にいたシオンが答えた。
 ちなみに、ぼくとシオンの今日の装いは、黒シャツに黒の盛装で。
 母上に黒々しい、と言われてしまいましたが。
 やはりモブとしては、黒が一番落ち着きます。

「そうですか? 兄上はバジリスク公爵のまな息子なのですよ? そして、王家の窮地に颯爽と現れた救世主。海を割って、陛下を頂点へ導いた、勝利の女神なのです。王家の伝記に書かれた、どの物語よりも。スリリングでサスペンスでハートフル。どの英雄よりも、兄上は突出した英雄だ。そう、ミハエル越えだっ!」

「えええぇぇ? ミハエル越えは、大袈裟だよぉ…」
 いつもシオンは、兄のぼくを持ち上げてくれますが。なにやら照れてしまいます。

「いいえ、ミハエルを越えた兄上は、今、ここにいる誰よりも、輝く人物。場違いなんかじゃないでしょう? ここは兄上のための舞台なのですから」
 それが、大仰すぎるから、気が引けるんだけどなぁ。と思いつつ。
 シオンを上目遣いで見やると。
 シオンは、んんっ、と、あの咳をした。なかなか治らないなぁ。しぶとい風邪だ。

 そこに、父上と母上が現れて。歓談していたお客様たちが一斉にこちらを見る。
 父上が、乾杯の音頭を取るみたいです。この世界では、音頭ではないか?

「皆様、この度は私どものために、よくぞお集まりくださった。バジリスク公爵家は、長い間。アナベラの脅威により、封じ込まれてきたが。その冬の時代を耐え。皆様方は、我が公爵家を長く引き立ててくださいました。そのご厚志に、私たち公爵家一同は、万謝の意を捧げる。そして本日の宴は、私たち家族をアナベラの手から救い出し、さらに王家の救世主でもある、私の息子のクロウが。王家に婿入りをする、その祝賀の会でございます。どうか楽しんでいってもらいたい」
 父上がぼくの肩を抱いて、みなさまに挨拶するので。ぼくも礼を取って頭を下げた。

「では、クロウの婚礼を祝して、乾杯」
 その言葉で、みなさまがグラスを掲げてお祝いしてくれた。キラキラのピカピカな笑顔で。
 モブで、冴えない男のぼくなんかを、みなさんがお祝いしてくださるなんて、本当に夢のようだ。

「クロウ様、ぜひ私と、ダンスをご一緒してください」
 知らない男の方に、ダンスに誘われてしまい。
 ぼくは、この数週間で、何度も使った断り文句を口にした。
「ダンスは陛下の許可がないので、できません。申し訳ありません」

 いろいろな夜会に出て、話をさせていただく御令嬢や、ご子息が増えたのだけど。
 ダンスは、陛下に、他の者と踊るなと禁止されていた。
 まぁ、これから王妃になる者が、陛下以外の者とダンスをするのは。普通に駄目だと思うので、良いのだけど。

 つか。なんで、男の人しか、ダンスを誘いに来ないのかな?
 ぼくは男で。ドレスを着ているわけでもないのにな? 不思議だな?

「では、ご学友特権で、私とダンスをお願いできますか?」
 そう言って、手を差し出してきたのは。カッツェだ。
 今日は護衛としてではなく、ラベンダー色の盛装姿で、美々しい公爵令息風である。

「駄目に決まっているでしょう? 学友と言えど、兄上は陛下の婚約者。触れさせられませんっ」
 ぴしゃっと、カッツェの手をはたき落としたのは。シオンだ。

「でも、ぼくは、陛下に許可をもらっているし。兄弟だから。兄上に触れてもいいのです。一曲、お相手願いますか?」
「喜んで。…カッツェ、すみません」
 ぼくはシオンの手を取り。申し訳なくて、カッツェに小さく笑いかける。
「クロウ様が王妃になる前の、ダンスできる最後の機会だったのに。残念ですが、でも仕方がありませんね?」
 カッツェは苦笑したが。ぼくたちをこころよくフロアに送り出してくれた。

 そうして、ぼくとシオンは。多くの男女がダンスを楽しむ中に入っていく。
 兄弟だし、何度もダンスをした相方だ。息もピッタリに、軽やかにステップを踏む。

「こうして、兄弟で踊るのは、久しぶりだな? それに、こんな大勢の人たちの中で踊るなんて、半年前には考えられないことだった。母上にダンスを仕込まれた甲斐があったよ?」
 ぼくがシオンに告げると。
 彼は、少し涙ぐんで。ぼくに言うのだ。

「王妃になっても。ぼくは兄上の弟なのだから。たまにはこうして、ダンスをしてくださいね?」
「もちろんだ。陛下とのダンスは、それなりに緊張するが。シオンとのダンスは、単純に楽しめるから。ぼくは好きだよ」
「はぁっ。兄上。ぼくとも結婚してください」
「だから。兄弟は結婚できないんだってば」
 軽い冗談を言い合う、この兄弟の時間が。ぼくにとっての心地よい時間だ。

 ぼくが王妃になったら、その時間はしばらくお預けになるかもしれないけれど。
 シオンが国政に関わることになれば、また彼とも、始終、顔を合わせることになるだろう。
 そうなるように、勉強を頑張るんだぞ? シオン。待っているからな。


 そして、とうとう、やってきました。結婚式当日です。
 結婚式は、王都にある大聖堂にて行われ。そこには、ごく親しい友人知人、家族、などなど、限られた人たちが招かれていて。
 そこで誓いを立てたあと。王都の中を馬車でパレードしながら、王宮に戻り。さらに結婚披露のパーティーが行われる、といった流れです。

 大聖堂では、ぼくと陛下は、別の部屋にて、支度をしています。
 公爵家の侍女のみなさんに、着付けや髪のセットやら、してもらって。準備を終えたぼくは。ひとりで部屋にいるのですけど。

 もう。緊張で。はらわたが毒を吐きそうです。

 いっぱい、リハーサルはしたのですよ?
 でも、本番は。おえっ。吐きそう。精神弱せいしんじゃくの本領発揮です。

 そこに、扉がノックされ。シオンと父上と母上が控室に入ってきた。
 ぼくは、家族への最後のあいさつで。ひとりひとりハグをする。

「あぁ、クロウ。とても立派よ。誇らしいわ」
「ありがとうございます、母上」
 のほほんな母上だけど、家族の中では一番きもが据わっている。母は強し、だからね。

「ああああぁぁぁ、すっごい綺麗ですっ、兄上。結婚してください」
「もう、その冗談飽きた」
「冗談じゃないのにぃ」
 シオンは唇をとがらせて、ぼくをうらめしげに見やる。
 そんな、イカ耳顔しても、結婚は出来ませんから。

「ああああぁぁぁ、クロウ。もう、嫁に行くのはやめにしよう。ずっと公爵家にいたらいいではないかぁ?」
 父上まで、面倒くさいことを言い始めたよ。
 もう。ちゃんとしてください。
「あんな、大大夜会を開いておいて、やめましたじゃ、すまないでしょう?」
「どうとでもなるっ」
 拳を握って宣言する父上。本当に、どうとでもしてしまいそうで、怖いし。
「ちゃんとっ、花嫁の父、やってくださいっ」
 怒ったら。父上もシオンと同じ、イカ耳顔になった。
 もう、めんどくさっ。

 そうしたら、案内係の人。神官の人かな? が呼びに来て。
 母上とシオンは、聖堂の方へ先に行き。
 ぼくは父上と、案内係についていった。あぁ、緊張する。

「全部、陛下にお任せすればいいのだ」
 細かく震えているぼくに、気づいたのか。父上がそう言った。
「すべて、陛下が上手くやってくれる。クロウが間違えても、陛下がいるから大丈夫。その陛下は。私たち臣下が支えている。クロウの乗る船を、沈没させたりしない。父が。しっかりと守ってやるから」

 あぁ、そうか。なにも、心配することはないのだ。
 父上の言葉に、素直にそう思えた。
 良かった。頼もしい人たちが、ぼくの周りにはいっぱいいるのだ。
 陛下も父も。シオンも。母も友も騎士も家臣も。

 だから。扉が開いて。厳かな雰囲気の大聖堂の真ん中を、大勢の賓客にみつめられながら、歩いて行かなくてはならなくても。
 もう、怖くない。
 この、赤いカーペットの向こうには、ぼくを愛し、守り、支えてくれる、陛下がいるのだから。

 賓客のための椅子は、飴色にピカリと光り。その間を、父上とともに、ゆっくりと進んでいく。
 正面の一番奥には、ステンドグラスが輝きを放ち。祭壇を照らす。

 そこには、神々の祝福を一身に受けているかのような、陛下の麗しいお姿があった。

 赤い絨毯の上を歩き切った父は、腕を組んでいたぼくの手を外し。陛下の手へと渡す。
 陛下が、ぼくの手を握って。微笑みかける。

 あぁ。ぼくが仕立てたお衣装が、とても、お似合いです。
 詰め襟タイプの、前面に鳳凰の刺繍がされた婚礼衣装。
 以前は、白糸をメインに縫っていたが。今回は銀糸、金糸をふんだんにマシマシにしたよ。
 光の加減で浮かび上がる、フェニックスを。一見して見えるほどに、より浮かび上がるように刺繍し直したのだ。
 ぼくが陛下に、寄り添うと。ぼくの前面を飾るフェニックスの刺繍が、陛下のフェニックスとチュウするみたいに。仲睦まじくなるように、工夫もしています。

 つまり、夫婦めおとフェニックスなのですっ。

 背中には、金色で縁取る白いマントをまとい。マントの中央には、王家の紋章を刺繍いたしました。
 陛下の体格はとても立派なので。婚礼衣装にマントを合わせると。本当に凛々しく。神々しい。
 神もひれ伏す、美麗な御姿なのだった。

 ぼくと陛下は向かい合い、神の前で愛を誓う。
「イアン・カザレニア二十四世は、クロウ・バジリスクに永遠の愛を誓う」
「クロウ・バジリスクは、イアン・カザレニア二十四世陛下に、永遠の愛を誓います」
 そして、婚姻証書にサインをし。
 婚姻の証である指輪を、互いにつけ合う。
 ビロードの布の上に置かれた指輪を、まず陛下が取り。ぼくの薬指にはめてくれた。

 それは、ぼくが結晶化してしまったシロツメ草の指輪と、王家の紋章が入った王家の指輪が、合体したものだった。

「クロウが、我の伴侶である証に。どちらも、左手の薬指につけてもらいたかったので。加工してもらったのだ。良いか? もう二度と、この指輪を我に返そうとしてはならぬぞ?」
 それは、ぼくが。陛下の『がえんじない』をくらったときの話だ。
 ぼくが指輪を外そうとした手を止めて、陛下がそう言ったのだ。

 でもそれは。指輪を返す、その行為が『がえんじない』だったわけで。
 陛下の、愛ある『がえんじない』だったんだな?

「はい、陛下。もう二度と、この指輪は、お返ししませんよ?」
 陛下に指輪を奪われて、左手が軽くなったとき。とても悲しい気分になった。
 心もとなくて。不安になった。
 だから。この指輪は、もうぼくのものだから。
 誰になにを言われても。外したりなんかいたしませんからね?

 それから、ぼくも、陛下の薬指に、王家の指輪をはめて。
 それで、つつがなく、結婚の儀式は終了した。

 この世界では、人前でのチュウはないようで。良かったです。
 だって。陛下とキスしたら、ぼくはすぐにメロメロになってしまうから。
 無様をお見せできませんからね?

 陛下と腕を組んで、大聖堂を出ると。カザレニア国民のみなさんが、ぼくたちの結婚を祝福して、集まっていた。
 白い花びらが、あちらこちらで宙に舞い。
 ぼくの後ろには、アイリスをはじめ、大事な友達や家族が見守ってくれて。

 ぼくと陛下は、幸せな、幸せな、結婚式を挙げたのだった。




 ふと、目を覚ますと。
 ぼくは、ベンチの上で横になっていた。
 夜だけど、明るい光が、ベンチの上を照らしていて。電灯だ。

 電灯? それって。

 体を起こすと、ベンチの上に、アイスの棒と、アイキンの攻略本がある。
 アイス…あぁ。攻略本を読んでいたときは。夏で。暑くて。アイスを食べていたんだっけ。
 アイスは、溶けて、なくなっているけれど。
 棒だけがそこにあるのが、リアルだった。

 あれ? ってことは。これは、前世?
 いや、そもそも。今までのことが、夢だった?

 遠くで、パトカーのサイレンが鳴っていて。
 パトカー…も。もちろん、覚えているけど。
 ついさっきまで、馬車が往来する石畳の世界だったから。混乱するな。電気も機械もない世界だったのに。

 その、騒がしい場所に野次馬しようとする、人たち。彼らの話に、耳を傾けると。
 近くで、流れ星が落ちたんだって。

 ぼくは、その流れ星の波動に当てられて、気を失っていたのかな?

 ぼくは、その流れ星に当たって、死んで。
 アイキンのゲーム世界に転生したと思っていたんだけど。
 夢? 夢、だったのかな?

 明るい電灯のそばだから、ベンチの上のものや、ぼくが、照らされて。
 まるで、スポットライトを浴びているよう。
 無造作に、ベンチの上にある攻略本を手に取る。
 その表紙には。アイリスと、陛下やセドリックたち、攻略対象者の姿が描かれている。
 ふふ、畑野こやし先生の絵だな。

 夢の中で、ぼく、陛下と結婚したんだよ?
 アイキンって、本当に、クロウフィーバーなんて、あるのかな?

 そんなふうに思って、ぼくは。攻略本をぺらりと開いてみる。
 蛍光オレンジの髪色の主人公、アイリスは。ぼくの、初めて友達だ。
 ぼくは、あっちの世界でも、友達をうまく作れなくて。
 でも、アイリスは、ぼくに寄り添って。いろいろ力を貸してくれたんだ。
 さすが、明るくて可愛らしい主人公ちゃん。モブにも優しかったな?
 もっと、いっぱい、感謝してるって、伝えれば良かった。
 大好きだよ。
 女装イベで、はしゃいだりして。そんな時間が、楽しかったね?

 アルフレドも、最初から親しくしてくれて。
 ご飯をいっぱい盛られるのは、大変だったけど。
 アルフレドが作ったパンは、ふわふわで、最高に美味しかった。

 ラヴェルは、攻略対象なのに、モブのぼくと顔見知りで。ぼくの世話を焼きたがった。
 陛下のスーパー執事だったはずなのに、変なの。
 でも、とても親身になってくれて、助かったよ。

 セドリックもシヴァーディも、ぼくと陛下をいつも見守ってくれて。
 騎士として、最高に格好良かった。

 そして、攻略本の、結構後ろの方に…あぁ、あった。
 シークレットキャラの、シオン。
 あぁ、シオンは。大切な、ぼくの弟。
 猫になっても。大きな図体で生意気になっても。ぼくの、大切な、大切な、弟。
 結婚できない、なんて、突っぱねたけど。
 夢の中だったのなら。なんでもありなんだから。結婚してやればよかった。
 弟の我が儘を、なんだって叶えてやればよかった。

 ふふ、悪役令嬢のところに、シャーロットも載っている。
 そうすると、王妃様や、ぼくの父上母上のことも、思い出しちゃう。
 みんな、ぼくに優しくしてくれたなぁ。ありがたかったなぁ。

 そして、陛下。

 イアン様のことを思うと。涙が止まらなくなった。
 あとからあとから、ぼとぼとと、大粒の涙がこぼれてきちゃう。
 外なのに、恥ずかしいな。
 でも、誰に見られたって、どうでもいいよ。今は、すごく悲しいんだ。
 夢だったのに。なんで、こんなに。リアルで。悲しいのだろう。

 ぼくは、前世の、この世界では。空っぽだった。

 友達もいなくて。コミュ障で。仕事もうまくいかなくて。家族におんぶにだっこで。
 できることと言ったら、巴と静に、コスプレ衣装を作ることだけ。
 それも。アイキンの世界のときみたいに、きっと、スイスイ縫うことなんかできないよ?

 そんな、ぼくが。誰かを愛するなんて、出来っこないと思っていたけど。
 陛下は、ぼくを愛してくれて。
 ぼくは、人を愛するということがどういうことか、陛下に教えてもらったのだ。

 どうして? どうしてぼくは、ひとりでここにいるの?

 結婚したら、終わりなのか?
 ゲームだったら、結婚式を迎えて、ハッピーエンドのロゴがババーンと出て。それで終わり、かもしれないけど。それで、幸せな夢は終わってしまったのかもしれないけど。

 人生は、結婚がゴールじゃないじゃん?
 これから、ふたりで。もっと楽しいことも、つらいことも、乗り越えていくんじゃん?
 それが、幸せで。
 つらくても、困難でも、ふたりでいられることがハッピーエンドなんじゃん?
 なのに。ぼくは、ひとりで。どうしてここに?

 ひどいよ。流れ星? 神様? アイキン公式? なんでぼくを、ひとりでここに戻してしまったの?

 陛下。陛下っ。助けてよ。
 また、あの、はにかむ笑顔を見せて。
 ちょっと、不満そうな顔も。厳しい眼差しも、最高に格好良かった。
 温かくて大きな手で、手をつないで?
 不器用な手つきで、髪を撫でて?
 熱く激しく、優しいキスを、してよっ。
 ぼくは、攻略本を抱き締めて。ひとり、公園のベンチで、泣いた。

 イアン様っ。




 ぼくは、体がぶるぶると揺さぶられて、それで、目を覚ました。
 目から、涙が。ぼとぼとと、落ちている。

「クロウ、大丈夫か? すごくうなされていたぞ?」

 柔らかい美声が、ぼくの鼓膜を震わせ。
 ぼくは、恐る恐る…隣を見やる。
 そこには、シルクの、紺色の寝間着を着た、陛下がいた。
 陛下ッ。あの、キラキラの黄金色の髪、長い前髪からのぞく、海色の瞳。
 厳しく見えるが、優しい、切れ長の目。

 あぁ、陛下だ。イアン様だっ。

 本当に、夢じゃない?
 怖々と、陛下の手を握ると。ちゃんと握れたから。
 ぼくは思い切って、陛下の胸に飛び込んだ。
「…イアン様っ」
 陛下は、しっかりと。力強く、ぼくを抱き止めてくれる。
「夢? 夢だったの? 夢なの? 夢じゃないの?」
 どちらが夢なのか。こちらの世界か。あちらの世界か。どちらもリアルで。ぼくは。本当に怖かった。

「よくわからぬが、我とクロウが結婚したのは、夢ではないぞ?」
 陛下に言われ。そうだ、と。ホッと息をつく。

 大聖堂から、陛下とふたり、馬車に乗り。
 街道の脇に、国民がいっぱい集まってくれて、盛大にお祝いされた。
 王宮に帰ってからも、結婚披露パーティーがあって。
 多くの人に、挨拶をして。正式に、王妃の椅子に座ることになって。
 目まぐるしい展開に、アワアワしながら、ようやく一息ついて。
 夜会のあと、以前も使っていたぼくの部屋で、堅苦しい衣装を脱いで。ラフな寝間着に着替えて。
 続きの間にある寝室で、陛下のお支度が整う間、ちょっとベッドで横になっていたのだ。
 いつの間にか、寝ちゃっていた…みたいだけど。

 まさかの、夢オチ。が、夢だった? もうよくわからない。

「悪い夢を見たのか? 名実ともに王妃となって、不安な気持ちがあふれたのかもしれないな。今日はいろいろあって、忙しかったし。でも、案ずることはない。我が、おまえのそばにいて、しっかりと支えてやるからな? だからおまえも、我を、ちょっとだけ支えてくれ」
 抱きつくぼくの背中を、なだめるように、慰撫するように、撫でてくれる陛下。
 その言葉が。
 今のぼくには、とっても身に染みます。

「はいっ。支えます。いつも、いつまでも…陛下の。イアン様の、そばに、いるっ。もう、絶対に。離れないぃ」
 涙がいっぱいに出て、号泣の域だけど。
 顔は、笑顔だった。

 夢の中で、ひとりになって。
 前世のぼくは。空っぽで。なにも持たない。
 そのことに気づいて。
 愛も、夢も、希望も、友も、この世界で築いたものを、なにもかもを失い。
 孤独と絶望の闇の中に、落された。

 だからこそ、嬉しい。
 陛下が、そばにいることが。
 陛下のそばに、いても良いことが。

 陛下の体温を感じられる。陛下の匂いを吸い込める。陛下と言葉を交わせる。陛下と笑い合い。陛下とキスをする。
 ぼくは改めて、体中にいっぱい。
 足先、指先、頭の先までも、巡り、満たされるように。その幸せと愛を感じたのだ。

 もしかしたら、さっきの夢は。
 流れ星が、神様が、もしくはアイキンの公式が、ぼくに見せた夢だったのかも。
 結婚がゴールじゃないよって。
 ゲームは終わっても、人生はこれからも続いていくんだよって。ぼくに教えるために。

 大丈夫。今ここに、イアン様といる、ぼくは。夢じゃない。
 今まで歩んできた道のりは、ぼくの人生だ。
 そして、イアン様と歩んでいく、ぼくの未来も。ぼくの人生。

「イアン様、大好き。ぼくをしっかりと抱いて、離さないで。誰にも、渡さないで。イアン様だけのものにして」
「クロウ、愛している。誰にもやるものか」
 ぼくは、陛下とキスをした。
 きつく、きつく、絆を結ぶようなキス。
 お願い、イアン様。夢の中でも、ぼくの手をつないで。離さないでいて…。


 スイート・ハッピー・エンド。


 ★★★★★

 別枠の『幽モブ アダルトルート』にて、2-後日談、ラブラブスイートハッピッピ、があります。
 Rー18です。読まなくても本編に影響はありませんが。より、作品をお楽しみいただけます。Rが大丈夫な方は、よろしければ、ご覧ください。

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感想 10

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みんなの感想(10件)

operahouse
2025.07.22 operahouse

 なんとか、連休の二日をかけて読み切りました。過去作へ過去作へと遡りつつ読んでます。
 自分はこういう文体が好きなんだなと思いました。あと、ちょっと不憫萌えの自覚をしました。
 この話で一番びっくりしたのは悪役令息がほぼモブに殺されて、ざまぁのない状態で退場。どう断罪するのだろうみたいなことを思っていたから、びっくりです。
 プロローグのゲーム部分の解説、10回連続で王様に殺されるという部分。選択肢を間違えると、いきなり死みたいな展開。セーブをしながら正しい選択肢をさぐりつつ、話を最後まで進めるアドベンチャーゲームやノベルゲームのようで懐かしかった。
 話の中では悪役の前王妹やその息子が強烈だったけど、死神疑って殺してくるゲームの王様もたいがいひどいような気がする。しかし、よく考えてみると王家ってある意味詰み状態。王様が幽閉ということは王様がいなくても国が回っている状態。男系ということは幽閉されている王様の子しか本当の意味で王位継承できない。
 読んでいるとクロウが生活力に溢れて、コミュ強で、自分の恋愛を隠さないのは、見ていて面白い。ある意味、市井育ちの貴族の庶子あがりの「ヒロイン」状態の設定になっている。
 82話の海に落ちてからの流れは特に好きでした。シオンの説得の部分とか読むと自分がこの王様に入れ込めない王様の一番のダメダメの部分が明確に書いてあって、腑に落ちた。クロウがいくら頑張っても、王様が立つという気概がなければなぁ、王様は真の意味で救われないんだよな、と。
 読み始めると引き込まれて、面白かったです。

2025.07.23 北川晶

operahouseさま、いつも感想をくださりありがとうございます💕

貴重な二連休を私の作品に費やしてくださり、大変ありがたく、嬉しく思っています。幽モブでも楽しんでくださったのだと思い、面白いと言っていただき、安堵の思いでございます。やはり、さかのぼっていくたびに、作者の未熟な部分がにじみ出て、読みにくくなっていくとは思うので。文体の甘さなどはご容赦いただきたいところであります(笑)
悪役令息の最期は、とても悩みましたが。他の作品とは違うものを書きたい、という理由もありますが、一番に考えたのは、クロウがザマァする展開は違うと思ったのです。あの人(悪役令息)は、まぁ、死なないとみなさん納得されないだろうなとは思っていたのですが、クロウが殺すのはないなって。もちろん引きこもりの王も、なのですけど。ある意味ふたりとも純粋無垢で、他人が死ぬのは、見るのも手を下すのも嫌、という人格だなと。無辜の国民が死ぬのなら己が死ぬ、という王ですからね。
とはいえ、おバカなお話だったので、ぺろりと読んでいただけたかと思います^^。
クロウが海に落ちてからの話は、ものすっごく感情移入して、書いた部分ですので。シオンだけは死なせないとか、最後に王様に会いたかったせつない気持ちとか、ギュッとして書きましたから、あの流れが好きだと言ってもらえてとても嬉しいです。

過去作へとさかのぼっているとのことで…私、今までの流れで、operahouseさまがイセ龍を見たらどうなっちゃうのかなと、ひっそり楽しみにしています。イセ龍は私の原点で、一番ダークで、クソ重感情で、号泣必至の作品なので。深堀、考察し放題です(笑)
長い作品ですので、ぜひ、途中経過でグワッときたら感想をくださると嬉しいです。
読んでくださるかは、わからないけど(笑)その気になったら覗いてくださいませ💕

いつも北川晶作品をご愛顧を賜りありがとうございます。全作品踏破を、なにとぞよろしくお願いします。

解除
nashiumai
2023.11.26 nashiumai

アダルトルートも含めて最後まで読ませていただきました!
1は切なくて時に泣き、時にハラハラしながら、
2は学園もののドタバタにニヤニヤしながら。
なんとかBL大賞期間中に全部読めてよかったです。

私のお気に入りはキンクロ除くとイカ耳親子かなぁ(*´-`)父上いい味ですよね。息子の前を除くと強者というのがまた良いです。弟は公爵家後継として立派になってほしいけどイカ耳でいてほしい矛盾した気持ち…(;^_^A

女の子たちは一部除いて魅力的で、特にシャーロットちゃんには幸せになってもらいたい。(アイリスと先生は放っておいても幸せそう( *´艸`))
王妃さま(王太后さま?)もまだ若いしなんらかの生き甲斐とか見つけてもらって健やかにいらしてほしいですね。

クロウくんの前世知識を生かしたアレコレを想像…クロウくん苦手だけどミシンが誕生するかもだし、タオルは子供にもいいので広まっていきそう。誰かに子供が生まれたら嬉々として子供服作ってくれそうですね。

…などと妄想しつつお話を噛みしめました。素敵な作品をありがとうございました!

2023.11.27 北川晶

nashiumaiさま、こちらでも感想をくださり、ありがとうございます。

ビコ尻からのぉ、大賞の期間中に幽モブも読んでいただき。2作品ともに、応援していただき。本当にありがとうございます。もう、なんと、感謝を伝えたらよいやら…喜びの舞を踊っております。私がっ。

イカ耳親子は、通じるのかなぁ…??
シオンと父上ですね? エロエロビースト親子でもいですね?
大丈夫です。シオンは、公爵になっても、クロウの前ではイカ耳の兄上ぇ、ですから。

過去作も読んでくださり、ありがとうございました。さらに、イセ龍や、次回作などもチェックしていただけたら、望外の喜びでございます。よろしくお願いします。

解除
桃花鳥
2023.07.11 桃花鳥

めちゃくちゃ良かったです!!数日かけてゆっくり噛み締めて読ませていただきました…!
最高のハッピーエンドをありがとうございます!!!

2023.07.11 北川晶

桃花鳥さま、ご感想をいただき、ありがとうございます。
長いお話に、最後まで付き合ってくださって、すごく嬉しいです。完走、おめでとうございます(笑)

とても素敵な誉め言葉までいただき、私も小躍りしてしまいました。

お時間がありましたら、ぜひ、他の作品ものぞいてみてくださいね? よろしくお願いします。

解除

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ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

BLゲームの世界でモブになったが、主人公とキャラのイベントがおきないバグに見舞われている

青緑三月
BL
主人公は、BLが好きな腐男子 ただ自分は、関わらずに見ているのが好きなだけ そんな主人公が、BLゲームの世界で モブになり主人公とキャラのイベントが起こるのを 楽しみにしていた。 だが攻略キャラはいるのに、かんじんの主人公があらわれない…… そんな中、主人公があらわれるのを、まちながら日々を送っているはなし BL要素は、軽めです。

裏乙女ゲー?モブですよね? いいえ主人公です。

みーやん
BL
何日の時をこのソファーと過ごしただろう。 愛してやまない我が妹に頼まれた乙女ゲーの攻略は終わりを迎えようとしていた。 「私の青春学園生活⭐︎星蒼山学園」というこのタイトルの通り、女の子の主人公が学園生活を送りながら攻略対象に擦り寄り青春という名の恋愛を繰り広げるゲームだ。ちなみに女子生徒は全校生徒約900人のうち主人公1人というハーレム設定である。 あと1ヶ月後に30歳の誕生日を迎える俺には厳しすぎるゲームではあるが可愛い妹の為、精神と睡眠を削りながらやっとの思いで最後の攻略対象を攻略し見事クリアした。 最後のエンドロールまで見た後に 「裏乙女ゲームを開始しますか?」 という文字が出てきたと思ったら目の視界がだんだんと狭まってくる感覚に襲われた。  あ。俺3日寝てなかったんだ… そんなことにふと気がついた時には視界は完全に奪われていた。 次に目が覚めると目の前には見覚えのあるゲームならではのウィンドウ。 「星蒼山学園へようこそ!攻略対象を攻略し青春を掴み取ろう!」 何度見たかわからないほど見たこの文字。そして気づく現実味のある体感。そこは3日徹夜してクリアしたゲームの世界でした。 え?意味わかんないけどとりあえず俺はもちろんモブだよね? これはモブだと勘違いしている男が実は主人公だと気付かないまま学園生活を送る話です。

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

【完結】薄幸文官志望は嘘をつく

七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。 忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。 学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。 しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー… 認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。 全17話 2/28 番外編を更新しました

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