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84 心の病
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ルドヴィカの摂食障害について、ルフィーノに診てもらったが特に解決策を見つけられなかった。
体の異常を探ってもらったが臓器の異常は認めなかった。
超音波魔法を使って視覚化してみたが肝臓の臓器も問題なかった。
ルドヴィカの部屋を去った後、ルフィーノはジャンルイジ大公の執務室で本日の経過報告をした。
「残るのは胃腸を実際みることだが、中を覗く方法はまだ試作段階で大公妃にためすのは」
「試すのはもう少し改良を加えてからにしてくれ」
前日彼が考案した長い管の道具を思い出してジャンルイジ大公はため息をついた。
さすがにあんなものを口の中やらナイーブなものに使用するのは憚れた。
医学の発展に興味あるルドヴィカでも、例の道具をみて難色を示したようだ。「睡眠魔法を使ってもらえば……いや、無理むり」とぶつぶつ呟いていた。前世の記憶で似た方法があるようだが、それでも拒絶を起こすというのはまだ例の世界の技術とは程遠い利器なのであろう。
続いて血液検査の結果である。
「軽い貧血がでている。鉄剤とビタミン剤を処方しておいた」
その原因が摂食障害なのでその場しのぎにしかならないだろう。
「あまりこれといった解決は提供できなさそうだ。私の分野は形質的なものだし」
ルフィーノは困ったようにつぶやいた。
「そうか。忙しいのにわざわざ来てくれてありがとう」
形質的な問題ではなく、内面の問題……精神の問題だとルフィーノは語る。
それであればフランチェスカの得意分野であろう。
あれでも宗教人であり、人の心を癒す方法も習得している。荒療治の方が得意なので不安があるものの、ジャンルイジ大公の知人の中で適任者は他にいなかった。
「聖女になってから忙しいと聞くが、ルフィにも厳しいとなれば彼女を呼び寄せるしかないな」
手紙をしたため、ルフィーノの使い魔に預けた。これで数日後にはフランチェスカが来てくれるだろう。
「殿下!」
ルルが血相を変えて執務室へと飛び込んできた。
ルドヴィカに何かあったようである。
ルドヴィカの部屋へ訪れるとソファに横になっていたルドヴィカがいた。
「あ、ジジ」
立ち上がろうとするルドヴィカをジャンルイジ大公は制した。顔色がよくない。
ジャンルイジ大公は彼女の頬を触れた。
「何があったのだ」
「いえ、別に何も」
ルドヴィカはにこりと微笑んだ。ちらりと暖炉の方をみるとそこには火がくべられていた。
その火をじっと険しく睨みつけるビアンカ公女がいた。
彼女であれば知っていることだろうが、ここで何を聞こうとしてもルドヴィカははぐらかしてしまう。
距離を感じた。
ジャンルイジ大公は生死をさまよっていたころにみた夢を思い出した。
あの時と同じ、手を伸ばせば届く場所にルドヴィカがいるはずなのに彼女が届かない存在に思えた。
ここで話しても気を遣わせるだけでジャンルイジ大公は執務室へと戻った。
「何があったのだ」
後から呼び寄せたビアンカ公女に話を聞いた。
ビアンカ公女は頬を膨らませて先ほど起きた内容を語った。
ルドヴィカの元に手紙が届いたのである。
差出人は適当な貴族の名であった。
怪しい手紙であればルルのチェックが入るが、新人だったメイドは直接ルドヴィカの元へ届けた。
「その手紙はロヴェリア夫人のものだったわ」
その言葉を聞き、ジャンルイジ大公は拳を握りしめた。
内容は聞かずとも想像がつく。
内容はルドヴィカへの支援要請であった。
同時にこのような事態になったのはルドヴィカに責任があると責めるものだった。
アリアンヌが辺境の地で病死したのも、幼い皇太子が死んだのも、家門が潰れたのも全てルドヴィカの責任だ。
生まれてすぐに修道院へ預ければよかった。いや、生まれてこなければよかった。
そういった内容が延々と繰り返されていた。
目を通したルドヴィカはめまいを起こし倒れてしまった。
部屋でお茶を飲んでいたビアンカ公女は彼女が手に持っていた手紙を読み怒り暖炉へ放り投げてしまった。
「残した方がよかったかしら」
「いや、消し炭を後でオリンドに調べさせよう」
杞憂であれば良いのだが、念のためだ。
ジャンルイジ大公はルドヴィカが休んだ後の暖炉を調べさせた。
例の手紙は呪いが込められていたと解析が出た。
「……娘をここまで追い込むか」
ジャンルイジ大公は苛立ちを覚えた。
幼少期からルドヴィカの精神に強く影響し、今もなお苦しめようとする母親の存在を嫌悪した。
ルドヴィカの親であるが故に命までは奪わずに済ませたというのに、かえってそれがよくなかったようだ。
帝国辺境の地ではなく、陸の続かない孤島にでも幽閉してしまえば良かった。
例の呪いの手紙はルドヴィカをじわじわと苦しめていくことだろう。
呪いも関わったとなれば、いよいよフランチェスカの出番である。
一刻も早く彼女には大公城へと来てもらわなければならない。
体の異常を探ってもらったが臓器の異常は認めなかった。
超音波魔法を使って視覚化してみたが肝臓の臓器も問題なかった。
ルドヴィカの部屋を去った後、ルフィーノはジャンルイジ大公の執務室で本日の経過報告をした。
「残るのは胃腸を実際みることだが、中を覗く方法はまだ試作段階で大公妃にためすのは」
「試すのはもう少し改良を加えてからにしてくれ」
前日彼が考案した長い管の道具を思い出してジャンルイジ大公はため息をついた。
さすがにあんなものを口の中やらナイーブなものに使用するのは憚れた。
医学の発展に興味あるルドヴィカでも、例の道具をみて難色を示したようだ。「睡眠魔法を使ってもらえば……いや、無理むり」とぶつぶつ呟いていた。前世の記憶で似た方法があるようだが、それでも拒絶を起こすというのはまだ例の世界の技術とは程遠い利器なのであろう。
続いて血液検査の結果である。
「軽い貧血がでている。鉄剤とビタミン剤を処方しておいた」
その原因が摂食障害なのでその場しのぎにしかならないだろう。
「あまりこれといった解決は提供できなさそうだ。私の分野は形質的なものだし」
ルフィーノは困ったようにつぶやいた。
「そうか。忙しいのにわざわざ来てくれてありがとう」
形質的な問題ではなく、内面の問題……精神の問題だとルフィーノは語る。
それであればフランチェスカの得意分野であろう。
あれでも宗教人であり、人の心を癒す方法も習得している。荒療治の方が得意なので不安があるものの、ジャンルイジ大公の知人の中で適任者は他にいなかった。
「聖女になってから忙しいと聞くが、ルフィにも厳しいとなれば彼女を呼び寄せるしかないな」
手紙をしたため、ルフィーノの使い魔に預けた。これで数日後にはフランチェスカが来てくれるだろう。
「殿下!」
ルルが血相を変えて執務室へと飛び込んできた。
ルドヴィカに何かあったようである。
ルドヴィカの部屋へ訪れるとソファに横になっていたルドヴィカがいた。
「あ、ジジ」
立ち上がろうとするルドヴィカをジャンルイジ大公は制した。顔色がよくない。
ジャンルイジ大公は彼女の頬を触れた。
「何があったのだ」
「いえ、別に何も」
ルドヴィカはにこりと微笑んだ。ちらりと暖炉の方をみるとそこには火がくべられていた。
その火をじっと険しく睨みつけるビアンカ公女がいた。
彼女であれば知っていることだろうが、ここで何を聞こうとしてもルドヴィカははぐらかしてしまう。
距離を感じた。
ジャンルイジ大公は生死をさまよっていたころにみた夢を思い出した。
あの時と同じ、手を伸ばせば届く場所にルドヴィカがいるはずなのに彼女が届かない存在に思えた。
ここで話しても気を遣わせるだけでジャンルイジ大公は執務室へと戻った。
「何があったのだ」
後から呼び寄せたビアンカ公女に話を聞いた。
ビアンカ公女は頬を膨らませて先ほど起きた内容を語った。
ルドヴィカの元に手紙が届いたのである。
差出人は適当な貴族の名であった。
怪しい手紙であればルルのチェックが入るが、新人だったメイドは直接ルドヴィカの元へ届けた。
「その手紙はロヴェリア夫人のものだったわ」
その言葉を聞き、ジャンルイジ大公は拳を握りしめた。
内容は聞かずとも想像がつく。
内容はルドヴィカへの支援要請であった。
同時にこのような事態になったのはルドヴィカに責任があると責めるものだった。
アリアンヌが辺境の地で病死したのも、幼い皇太子が死んだのも、家門が潰れたのも全てルドヴィカの責任だ。
生まれてすぐに修道院へ預ければよかった。いや、生まれてこなければよかった。
そういった内容が延々と繰り返されていた。
目を通したルドヴィカはめまいを起こし倒れてしまった。
部屋でお茶を飲んでいたビアンカ公女は彼女が手に持っていた手紙を読み怒り暖炉へ放り投げてしまった。
「残した方がよかったかしら」
「いや、消し炭を後でオリンドに調べさせよう」
杞憂であれば良いのだが、念のためだ。
ジャンルイジ大公はルドヴィカが休んだ後の暖炉を調べさせた。
例の手紙は呪いが込められていたと解析が出た。
「……娘をここまで追い込むか」
ジャンルイジ大公は苛立ちを覚えた。
幼少期からルドヴィカの精神に強く影響し、今もなお苦しめようとする母親の存在を嫌悪した。
ルドヴィカの親であるが故に命までは奪わずに済ませたというのに、かえってそれがよくなかったようだ。
帝国辺境の地ではなく、陸の続かない孤島にでも幽閉してしまえば良かった。
例の呪いの手紙はルドヴィカをじわじわと苦しめていくことだろう。
呪いも関わったとなれば、いよいよフランチェスカの出番である。
一刻も早く彼女には大公城へと来てもらわなければならない。
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