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89 皇女の決意
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皇女を見つけたガヴァス卿が行く先はアンジェロ大公家が滞在していた館であった。
ジャンルイジ大公が大公城へ帰った後は、ガヴァス卿たち騎士団の活動拠点として利用されていた。
「フランチェスカ嬢! いらっしゃいますか?」
どしどしと館内を走り、客間へと入る。
お茶をすすっていたフランチェスカがそこにいた。
前日言った通り、帝都の仕事の為に訪問していたのだ。同時にガヴァス卿の皇女捜索の手伝いも買って出た。
メイドの家訪問は彼女の案であった。
宮殿の当時の状況を知る使用人たちであれば皇女を外へと脱出させることができたのではないかと。
生き残った使用人たちの名簿で、フランチェスカは勘のまま訪問リストを作成してガヴァス卿へと差し出した。
訪問理由は皇女捜索といえば警戒されるかもしれないので、大公と新皇帝が考えた皇帝夫妻に虐待されていた使用人たちへの補償制度の話も持ち込ませてみた。一応新皇帝には許可を得ている。
「あら、見つかった?」
明るい調子でガヴァス卿の腕の中の皇女をみやった。
カプリアナ皇女は顔を真っ赤にして視線を逸らす。
ルドヴィカも美しかったが、目の前の女性も美しくてどうしていいかわからなかった。
「怪我をしております。治癒魔法を施していただけないでしょうか」
「もちろん」
ソファに座らせてフランチェスカは治癒魔法を施した。
今まで虐待されていた体を確認しながら、傷を治していく。もう既に痕が残ってしまったものを消すのは難しいが、カプリアナ皇女の痛みをだいぶ減らしたと思う。
「さぁ、次は……お風呂よ! メイドさん、こっちへ集合!」
聖女の掛け声の元館のメイドはささっと集まり、てきぱきとカプリアナ皇女をお風呂へと入れた。
「温かい」
今まで水で汚れをとる日々だったので久々のお湯は体がぬくもった。良い匂いの石鹸で汚れをとり、髪も綺麗に洗い最後にはオイルで保湿していく。
ドレスを着せられて聖女と騎士のいる客間へと戻った。
どきどきしながらカプリアナ皇女は二人の前へ出る。
「うーん、思ったより大きいわね」
ドレスのサイズが合っていないことをフランチェスカは指摘した。年齢から想定したサイズで用意したものであったが、思った以上に発育が悪く小柄であった。
「テーラーを呼んでちょうだい。少なくも普段着10着、余所行き用3着はいるわ」
「い、いえ。いいのです。このドレスでも十分で」
与えられたドレスですらカプリアナ皇女には勿体ないものであった。これだけ上質なドレスを着たのは久々である。
かつてカプリアナ皇女を大事にし突如消えたメイドが用意してくれたものと近い品質であった。
「私なんかに勿体ない。私みたいな鼠には……」
「皇女様」
ガヴァス卿はカプリアナ皇女に声をかけた。
「そのような悲しいことを言わないでください。あなたは私の主君の姪なのです。それにあなたはとても綺麗です」
ガヴァス卿から向けられる視線にカプリアナ皇女は頬を赤くした。
こんな素敵な騎士に言われて何とも思わないわけにはいかない。
「さぁ、さぁ。皇女様にまずしてもらうのは栄養をつけて元気な姿を大公妃に見せることよ!」
フランチェスカはそういいメイドに用意させた食事の席に座った。
「さぁ、皇女様」
ガヴァス卿はカプリアナ皇女に手を差し伸べた。
あの時を思い出しカプリアナ皇女は彼の手をおそるおそる触れた。
その後、フランチェスカから現在の事情を教えてもらった。
ルドヴィカ大公妃は今回の件で皇帝家の幼い皇太子、皇女の行く末を聞いて心の病にかかってしまった。
「皇太子は残念だけど、皇女が生きているとわかれば少しは気分が持ちこたえると思うの」
「伯母様が……」
「そうよ。食事を満足摂らなくなったの。ひどくやせて体調も悪くなっていてジジ、大公もお手上げ状態。この状況を救えるのはあなたよ」
フランチェスカに指を差され、カプリアナ皇女は困惑した。
「私……伯母様に会っていいのでしょうか。私が行ったら迷惑になるのでは」
「似ているわ」
フランチェスカはぼそっと呟いた。
「ガヴァス卿も思うわよね。根本的な部分が、何か似ているわ」
「そうですか?」
ガヴァス卿は首を傾げた。彼の知っているルドヴィカは考えたことを実践しようとする邁進者のイメージが強かった。確かに打たれ弱い部分もあったが、初対面のイメージが強すぎる。
「心のどこかで自信がない。一歩引いたところにいるの……生い立ちも似ているからかもしれないわ。アリアンヌの娘というより、ルカの娘といった方がしっくりくるほど似ている」
フランチェスカは優しく目を細めてカプリアナ皇女を見つめた。
「あの子の友人としてお願い。あの子に会って欲しいの。元気な姿をみせてあげて」
「本当にそれで、伯母様がよくなるかわかりませんが……」
カプリアナ皇女は裾を掴みながらつぶやいた。
「伯母様に会わせてください」
ようやく出た言葉にフランチェスカはもちろんよと笑った。
ジャンルイジ大公が大公城へ帰った後は、ガヴァス卿たち騎士団の活動拠点として利用されていた。
「フランチェスカ嬢! いらっしゃいますか?」
どしどしと館内を走り、客間へと入る。
お茶をすすっていたフランチェスカがそこにいた。
前日言った通り、帝都の仕事の為に訪問していたのだ。同時にガヴァス卿の皇女捜索の手伝いも買って出た。
メイドの家訪問は彼女の案であった。
宮殿の当時の状況を知る使用人たちであれば皇女を外へと脱出させることができたのではないかと。
生き残った使用人たちの名簿で、フランチェスカは勘のまま訪問リストを作成してガヴァス卿へと差し出した。
訪問理由は皇女捜索といえば警戒されるかもしれないので、大公と新皇帝が考えた皇帝夫妻に虐待されていた使用人たちへの補償制度の話も持ち込ませてみた。一応新皇帝には許可を得ている。
「あら、見つかった?」
明るい調子でガヴァス卿の腕の中の皇女をみやった。
カプリアナ皇女は顔を真っ赤にして視線を逸らす。
ルドヴィカも美しかったが、目の前の女性も美しくてどうしていいかわからなかった。
「怪我をしております。治癒魔法を施していただけないでしょうか」
「もちろん」
ソファに座らせてフランチェスカは治癒魔法を施した。
今まで虐待されていた体を確認しながら、傷を治していく。もう既に痕が残ってしまったものを消すのは難しいが、カプリアナ皇女の痛みをだいぶ減らしたと思う。
「さぁ、次は……お風呂よ! メイドさん、こっちへ集合!」
聖女の掛け声の元館のメイドはささっと集まり、てきぱきとカプリアナ皇女をお風呂へと入れた。
「温かい」
今まで水で汚れをとる日々だったので久々のお湯は体がぬくもった。良い匂いの石鹸で汚れをとり、髪も綺麗に洗い最後にはオイルで保湿していく。
ドレスを着せられて聖女と騎士のいる客間へと戻った。
どきどきしながらカプリアナ皇女は二人の前へ出る。
「うーん、思ったより大きいわね」
ドレスのサイズが合っていないことをフランチェスカは指摘した。年齢から想定したサイズで用意したものであったが、思った以上に発育が悪く小柄であった。
「テーラーを呼んでちょうだい。少なくも普段着10着、余所行き用3着はいるわ」
「い、いえ。いいのです。このドレスでも十分で」
与えられたドレスですらカプリアナ皇女には勿体ないものであった。これだけ上質なドレスを着たのは久々である。
かつてカプリアナ皇女を大事にし突如消えたメイドが用意してくれたものと近い品質であった。
「私なんかに勿体ない。私みたいな鼠には……」
「皇女様」
ガヴァス卿はカプリアナ皇女に声をかけた。
「そのような悲しいことを言わないでください。あなたは私の主君の姪なのです。それにあなたはとても綺麗です」
ガヴァス卿から向けられる視線にカプリアナ皇女は頬を赤くした。
こんな素敵な騎士に言われて何とも思わないわけにはいかない。
「さぁ、さぁ。皇女様にまずしてもらうのは栄養をつけて元気な姿を大公妃に見せることよ!」
フランチェスカはそういいメイドに用意させた食事の席に座った。
「さぁ、皇女様」
ガヴァス卿はカプリアナ皇女に手を差し伸べた。
あの時を思い出しカプリアナ皇女は彼の手をおそるおそる触れた。
その後、フランチェスカから現在の事情を教えてもらった。
ルドヴィカ大公妃は今回の件で皇帝家の幼い皇太子、皇女の行く末を聞いて心の病にかかってしまった。
「皇太子は残念だけど、皇女が生きているとわかれば少しは気分が持ちこたえると思うの」
「伯母様が……」
「そうよ。食事を満足摂らなくなったの。ひどくやせて体調も悪くなっていてジジ、大公もお手上げ状態。この状況を救えるのはあなたよ」
フランチェスカに指を差され、カプリアナ皇女は困惑した。
「私……伯母様に会っていいのでしょうか。私が行ったら迷惑になるのでは」
「似ているわ」
フランチェスカはぼそっと呟いた。
「ガヴァス卿も思うわよね。根本的な部分が、何か似ているわ」
「そうですか?」
ガヴァス卿は首を傾げた。彼の知っているルドヴィカは考えたことを実践しようとする邁進者のイメージが強かった。確かに打たれ弱い部分もあったが、初対面のイメージが強すぎる。
「心のどこかで自信がない。一歩引いたところにいるの……生い立ちも似ているからかもしれないわ。アリアンヌの娘というより、ルカの娘といった方がしっくりくるほど似ている」
フランチェスカは優しく目を細めてカプリアナ皇女を見つめた。
「あの子の友人としてお願い。あの子に会って欲しいの。元気な姿をみせてあげて」
「本当にそれで、伯母様がよくなるかわかりませんが……」
カプリアナ皇女は裾を掴みながらつぶやいた。
「伯母様に会わせてください」
ようやく出た言葉にフランチェスカはもちろんよと笑った。
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