どうも、卵から生まれた魔人です。

べす

文字の大きさ
17 / 21

17、【魔の国にて】

しおりを挟む

「さ、今日もお掃除お掃除~…って、ギャアァア!!??」

箒片手に双子の日課であるレヴィウスの自室掃除にやってきたマベルは、ベッドに横たわる人物を見て悲鳴を上げた。
そこにはレヴィウス本人が俯せで上半身だけベッドに倒れており、マベルは慌てて生存確認に走る。

「レヴィウス殿下!レヴィウス殿下!どうされました!?」

「う…マベル?」

顔を横に向けうっすら目を開くレヴィウスの顔色は悪い。
それを確認したマベルは、急いでレヴィウスの靴を脱がせベッドに仰向けに寝かせ直した。

「お労しや!麗しい殿下のお顔が真っ青に…!すぐに医者を呼んで参ります!」

「医者はいいから…イザードを呼んでくれる?」

「か、畏まりました!すぐに!」

マベルは急いで自分の兄を呼びに行くと、イザードがすっ飛んで来る。
そのままレヴィウスの顔を覗いて「殿下!」と声を掛ければ、レヴィウスは再び弱々しく瞼を上げた。

「イザード…僕、我慢できなくてラルに直接聞いちゃった。そしたら、物凄く嫌われてたよ。はは。」

「あ、あれだけお止めしましたのに!本気にしてはなりませんよ!?あの男は捻くれていると申し上げたでしょう、それは本心では御座いません!」

思わずガクガクとレヴィウスを揺さぶるイザードに、レヴィウスは「うぷ…吐くからやめて。」と口元を押さえる。

「はっ、申し訳御座いません!」

「いいよ…。でも、あれは本心だったと思うな…何か遠回しに僕に気付かせたって言うか…照れてどうとかじゃないんだよ。とにかく、僕暫く立ち直れないから、ここで休んでるね…別に食事とか要らないから兄さんには内緒でそっとしといて。」

「えっ、で、殿下!」

レヴィウスはそのまますぅっと眠りに入ると、すぐに呼び掛けに応えなくなった。

「兄様…ラルとは殿下が懇意にしている神官では?そやつめが殿下をこんな目に?」

マベルの持っていた箒は砕け、顔には血管が浮き出ている。

「まぁ、そうだな…だが、神官に手を出すなよ。殿下はそれを望んでいない。むしろそんな事をすれば私達が罰せられるだろう。」

「そんな!ではこのまま見ているだけですか!?今すぐ八つ裂きにしてやりたい位なのに!」

今にも飛び出して行きそうなマベルを諭しながら、イザードは溜息を吐いた。
理由はどうであれイザードもレヴィウスを傷付けたラルは許せないが、どうにも納得出来ない。

殿下が嫌い?
有り得ない。
それならとっくに神殿から放り出している筈だ。

いつ目覚めるかは不明だが、今は殿下に何を言っても無駄だろう。
そう判断したイザードは、怒りを堪え二人を静観する事にした。

ラルの方はどうでもいいので放っておくとして、レヴィウスには自らが護衛として二十四時間張り付く。
魔人は千年単位の寿命がある為、寝食など人間が必要とする行為は数十年程度であれば行わずとも問題ない。

しかしイザード達の予想を裏切り、それから三年間、レヴィウスが目覚める事は無かった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

魔術師さんは囲われ気味な高位貴族の愛人になりたくない

さか【傘路さか】
BL
全9話。離婚経験済みの高位貴族×貴族に研究の後援を受ける魔術師。 魔術師であるラディは、貴族であるノックスに後援を受け、安価な金属から純金を生成する研究を続けている。 ノックスは若い研究者や芸術家などを支援しては大成させ、関連事業を興しては成功させる傍ら、私生活では妻の不貞による離婚を経験しているような男だ。 ラディを懐に入れ、戯れに触れてくるノックスを、不思議と突き放さずに衣食住を担保してもらう日々を続けていた。 ある日、ノックスから「近々、君の後援を打ち切ろうと思っていてね」と告げられる。 ひと月以内に研究の成果を出すか、愛人になるか。 二択を迫る男は、これまでよりも接触を増やす、と宣言し、ラディの唇を奪うのだった。 ※小説の文章をコピーして無断で使用したり、登場人物名を版権キャラクターに置き換えた二次創作小説への転用は一部分であってもお断りします。 無断使用を発見した場合には、警告をおこなった上で、悪質な場合は法的措置をとる場合があります。 自サイト: https://sakkkkkkkkk.lsv.jp/ 誤字脱字報告フォーム: https://form1ssl.fc2.com/form/?id=fcdb8998a698847f

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

聖獣召喚に巻き込まれた俺、モフモフの通訳をしてたら冷徹騎士団長に外堀を埋められました

たら昆布
BL
完璧っぽいエリート騎士×無自覚な愛され系

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話

屑籠
BL
 サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。  彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。  そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。  さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

【完】名前すら知らない、僕のつがい

325号室の住人
BL
突如、【狼(?)耳の男のつがい】になったらしい僕。 会えば深く愛される関係の僕らだけど、実はまだ、僕らは互いの名前を知らなかった。 「」日本語 『』異世界語 《》心の声(テレパシー) ☆全8話 完結済み

遊び人殿下に嫌われている僕は、幼馴染が羨ましい。

月湖
BL
「心配だから一緒に行く!」 幼馴染の侯爵子息アディニーが遊び人と噂のある大公殿下の家に呼ばれたと知った僕はそう言ったのだが、悪い噂のある一方でとても優秀で方々に伝手を持つ彼の方の下に侍れれば将来は安泰だとも言われている大公の屋敷に初めて行くのに、招待されていない者を連れて行くのは心象が悪いとド正論で断られてしまう。 「あのね、デュオニーソスは連れて行けないの」 何度目かの呼び出しの時、アディニーは僕にそう言った。 「殿下は、今はデュオニーソスに会いたくないって」 そんな・・・昔はあんなに優しかったのに・・・。 僕、殿下に嫌われちゃったの? 実は粘着系殿下×健気系貴族子息のファンタジーBLです。

処理中です...