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「あー! お客様困ります!」「あー! そんな淫らな声を上げられては(*^_^*)」
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自己紹介の時に投げやりな空気感で話が終わってしまい、そのまま帰りのホームルームで仲を修復もできなかったので、きっと村雲さんとは事務的な会話しか行えないのであろうと……手前の力不足を呪うでござる。
と、おちゃらけて空元気を出しつつ、私はライトノベル研究部の部室でお茶を振る舞っておりました。
もっとも、新学期早々から部活の助っ人に駆り出されている初ちゃんは欠席、調べ物があるという愛ちゃんは遅れての登場となるでしょう。
あ、もちろん部活の助っ人とは言っても本日練習試合とかがあるわけじゃないですよ、当人曰く調整をするそうです――ぶっつけ本番で勝てるわけないでしょとは本人談ですが、一週間やそこいら練習に参加して優秀な成績を残すのも人間離れしております。
試合当日にはみんなで顔を出して応援することになっておりますが、差し入れを出すつもりの私と違って皆様は足をお運びになる必要がないのでは?
「あの村雲っての、なーんかいけすがないべな。どうにもかんがえでることが読みづらいべ」
読まれているんじゃないかってレベルで思考を当てる洞察力がある悠ちゃんが読めないというのだから、凡人極まる私がどんなに励もうとも、考えの一端を読み解くことすら不可能でしょう。
一般的には他人の考えは読み取るものじゃなくてうかがうものであるので、配慮するのが正解のような感じもしますが……ボタンの掛け違いで大事になることは歴史が証明していますから、もしかすれば人の心は読解すべきなのかもしれません。
現代の技術でそれをなせば善意の押しつけや分かったつもりになりかねませんけど。
「わだすも配慮が正解だと思うベな」
「もしかして背中に配慮って書いてありました!?」
無意識のうちに口に出したとか、全世界に思考が筒抜けになったとかが疑われるレベルで考えていることを読み取られ、小心者の私は間もなく慌ててしまいますが、それを愛おしいものを眺めるように目を細くしながら悠ちゃんは
「人どの交流は正解なんでものがないベが、あの村雲っでのは自分がやっでるごとが正解のように振る舞ってたべな」
「……」
自分のやっていることが正解なのか模索する姿は、他人から見て美しくは無いでしょうし、やってる本人だって間違っているかもと考えるのはやるせない。
でも、正解だと思い込むことは思い上がりにもつながるし、村雲さんのように「いいえ間違ってません」があるべき姿かと言えばそうではないでしょう。
「ただ、それを否定することも正しくないような気もします」
このライトノベル研究部は文化祭のときだけ活動しているところを見せる……言ってみればだべり部です。
定期的に部室に集まって活動している風を装えとは言明されていますが、研究をした覚えはありませんし、文化祭で販売した冊子にはそれぞれに好きなことを寄稿しました。
私は栄養バランスを考えた一週間分の献立を実際に調理したものを踏まえつつまとめ、後日に中学時代の家庭科の先生から「よくまとまっているので生徒に話してもいいか」と許可を求められました……どうやら妹ちゃん経由で先生まで行ったらしく、本当恐縮してしまいましたね、ライトノベル要素はどこへ。
「間違ってだどきに責任を取るのが村雲だったら別に構わん……ま、柊ならほっとけんね」
「すみません」
「いんや、必要もないのに首を突っ込んで下手したら助けた誰かに嫌われて帰ってくる柊を……わだすもほっとけんし」
初ちゃんや結ちゃんや愛ちゃんや悠ちゃんがやったら、もしかしたら上手いこと解決したのかな、と思うことが多々ある。
幼い頃から付き合いのある前者二名はともかく、高校時代からの友人たる後者が小中学時代の私の抱えた問題に介入はできないけど……。
「って、小中学時代の黒歴史を誰から聞いたんですか!?」
「や、わだすは……そう、だな、黒歴史だべな」
「初ちゃんですね!?」
「さぁ、て、どうだったか……わだすはとんと分からんベなぁ」
身体を揺さぶって白状させたい心持ちでしたが、出てくるのは私のおごり高ぶった自尊心から来る人助け(笑)の顛末です――つまりは掘れば掘るほど自分が恥ずかしいことになるのですから、楽しそうにしている悠ちゃんを追求することはできないのです。
「なー、柊ー、人助けとは悪だべか?」
「……自分が得をしようという傲慢さをたたえるのならば」
「じゃあ、柊は悪人じゃないべな、おいで、肩を揉んでやるべ、お茶の礼」
「お婆ちゃんみたいですね」
「乳や尻を揉めばそうじゃなくなるけど」
「すみません、おとなしく肩を揉まれます……」
今は誰も来ていないですし、両肩の張りは年々激しさを増しているような気もします――悠ちゃんの肩揉みは施術レベルで上手なので、疲労感軽減に大いに活躍してくれるでしょう。
ただ、あんまりにも上手なので変な声が上がっちゃうことだけが大きな難点なんですよ……。
と、おちゃらけて空元気を出しつつ、私はライトノベル研究部の部室でお茶を振る舞っておりました。
もっとも、新学期早々から部活の助っ人に駆り出されている初ちゃんは欠席、調べ物があるという愛ちゃんは遅れての登場となるでしょう。
あ、もちろん部活の助っ人とは言っても本日練習試合とかがあるわけじゃないですよ、当人曰く調整をするそうです――ぶっつけ本番で勝てるわけないでしょとは本人談ですが、一週間やそこいら練習に参加して優秀な成績を残すのも人間離れしております。
試合当日にはみんなで顔を出して応援することになっておりますが、差し入れを出すつもりの私と違って皆様は足をお運びになる必要がないのでは?
「あの村雲っての、なーんかいけすがないべな。どうにもかんがえでることが読みづらいべ」
読まれているんじゃないかってレベルで思考を当てる洞察力がある悠ちゃんが読めないというのだから、凡人極まる私がどんなに励もうとも、考えの一端を読み解くことすら不可能でしょう。
一般的には他人の考えは読み取るものじゃなくてうかがうものであるので、配慮するのが正解のような感じもしますが……ボタンの掛け違いで大事になることは歴史が証明していますから、もしかすれば人の心は読解すべきなのかもしれません。
現代の技術でそれをなせば善意の押しつけや分かったつもりになりかねませんけど。
「わだすも配慮が正解だと思うベな」
「もしかして背中に配慮って書いてありました!?」
無意識のうちに口に出したとか、全世界に思考が筒抜けになったとかが疑われるレベルで考えていることを読み取られ、小心者の私は間もなく慌ててしまいますが、それを愛おしいものを眺めるように目を細くしながら悠ちゃんは
「人どの交流は正解なんでものがないベが、あの村雲っでのは自分がやっでるごとが正解のように振る舞ってたべな」
「……」
自分のやっていることが正解なのか模索する姿は、他人から見て美しくは無いでしょうし、やってる本人だって間違っているかもと考えるのはやるせない。
でも、正解だと思い込むことは思い上がりにもつながるし、村雲さんのように「いいえ間違ってません」があるべき姿かと言えばそうではないでしょう。
「ただ、それを否定することも正しくないような気もします」
このライトノベル研究部は文化祭のときだけ活動しているところを見せる……言ってみればだべり部です。
定期的に部室に集まって活動している風を装えとは言明されていますが、研究をした覚えはありませんし、文化祭で販売した冊子にはそれぞれに好きなことを寄稿しました。
私は栄養バランスを考えた一週間分の献立を実際に調理したものを踏まえつつまとめ、後日に中学時代の家庭科の先生から「よくまとまっているので生徒に話してもいいか」と許可を求められました……どうやら妹ちゃん経由で先生まで行ったらしく、本当恐縮してしまいましたね、ライトノベル要素はどこへ。
「間違ってだどきに責任を取るのが村雲だったら別に構わん……ま、柊ならほっとけんね」
「すみません」
「いんや、必要もないのに首を突っ込んで下手したら助けた誰かに嫌われて帰ってくる柊を……わだすもほっとけんし」
初ちゃんや結ちゃんや愛ちゃんや悠ちゃんがやったら、もしかしたら上手いこと解決したのかな、と思うことが多々ある。
幼い頃から付き合いのある前者二名はともかく、高校時代からの友人たる後者が小中学時代の私の抱えた問題に介入はできないけど……。
「って、小中学時代の黒歴史を誰から聞いたんですか!?」
「や、わだすは……そう、だな、黒歴史だべな」
「初ちゃんですね!?」
「さぁ、て、どうだったか……わだすはとんと分からんベなぁ」
身体を揺さぶって白状させたい心持ちでしたが、出てくるのは私のおごり高ぶった自尊心から来る人助け(笑)の顛末です――つまりは掘れば掘るほど自分が恥ずかしいことになるのですから、楽しそうにしている悠ちゃんを追求することはできないのです。
「なー、柊ー、人助けとは悪だべか?」
「……自分が得をしようという傲慢さをたたえるのならば」
「じゃあ、柊は悪人じゃないべな、おいで、肩を揉んでやるべ、お茶の礼」
「お婆ちゃんみたいですね」
「乳や尻を揉めばそうじゃなくなるけど」
「すみません、おとなしく肩を揉まれます……」
今は誰も来ていないですし、両肩の張りは年々激しさを増しているような気もします――悠ちゃんの肩揉みは施術レベルで上手なので、疲労感軽減に大いに活躍してくれるでしょう。
ただ、あんまりにも上手なので変な声が上がっちゃうことだけが大きな難点なんですよ……。
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