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悪役令嬢、ヒロインに懐かれる
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音楽の授業を受けながら、私はヒロインの
ことを考えていた。
あの子、可愛かったな。
見た目はもちろんだが、雰囲気や佇まいが
モブキャラとは格段に違う。
攻略対象キャラ全員に好かれるように設定
されているだけはある。
冷静に考えると、カイン殿下が留学中で
良かったのかもしれない。
ヒロインがぽっちゃり殿下を好きになる
ことはなくても、カイン殿下がヒロインを
好きになる可能性はゼロではない。
急に不安になってきたなぁ…。
カイン殿下が留学から戻る前に、誰かと
くっついてくれるといいのだけれど。
そうだ!私がキューピッドになって、
アンセル殿下とヒロインをくっつけて
しまえばいいんだ!
このニ人がカップルになるのが、ゲームの
メインストーリーなのだから、きっと
上手くいくはず。
まずは二人を引き合わせなくては。
あれこれと考えを巡らせているうちに、
音楽の授業は終わっていた。
教室へ戻ると、ヒロインが歴史の教科書を
手に、私の帰りを待っていた。
「あの、教科書ありがとうございました!」
私を見つけると、羽のように軽やかに
駆け寄ってきた。
ああ、やっぱり可愛いわ、この子。
同世代のご令嬢たちからは、敵視される
だろうけど、中身が成人の私からすると、
サークルの後輩みたいな感じだ。
「先ほどは名乗りもせず、申し訳ありま
せんでした。私、アイリス・シモンズと
申します。」
ヒロインの名前、アイリスなんだ。
それ、私がこのゲームをプレイする時に
ヒロインにつけた名前と同じだよ。
私の転生となにか関係があるのだろうか?
思索にふけっていると、アイリスが
不思議そうに顔を覗き込んだ。
「どうかされましたか?」
アイリスの問いかけに、私は我に返った。
「いえ、その、なんでもないのよ。私は
セセリア。よろしくね。」
「もちろん知ってますわ。第二王子様の
婚約者ですよね?まだ学院に馴染めず
困っていた私に声をかけて頂いて、凄く
嬉しかったです。」
大きな瞳をキラキラ輝かせて、アイリスは
私の手を握った。
「いいのよ。気にしないで。またなにか
困ったことがあったら、遠慮せずに
相談してね。」
「本当ですか!?それなら一つお願いが
あるのですが…。」
甘え上手というか、本当に遠慮なしだな
この子。
可愛いから許すけど。
「どんなことかしら?」
内容によりけりだけど、一応聞いてあげ
ようじゃないの。
「明日のランチを一緒に食べて頂けない
でしょうか?実は私、転入してからずっと
一人で昼食を食べているんです。」
今まで真っすぐに目を見て話していた
アイリスが、うつむきながら言った。
ああ、あるほど。友達ができなくてずっと
ぼっち飯してたのね。
でもこれは、アンセル殿下とアイリスを
引き合わせるチャンスよ!
かえって好都合だわ!
「そうだったのね!可哀そうに…。私で
よかったら一緒に食べましょう!」
私はアイリスの手を握り返した。
「セセリア様!ありがとうございます!
では明日のお昼、こちらに伺いますね!」
アイリスは一礼すると、手を振りながら
自分の教室へと戻って行った。
「セセリア様、よろしいのですか?
ランチはいつもアンセル殿下とご一緒に
なさっていますのに…。」
隣にいたエミリアが、心配そうに言った。
「大丈夫よ。そもそも、彼女のことを気に
かけて欲しいと私に言ったのは殿下だし。
むしろ喜んでくれるんじゃないかしら。」
「それならよいのですが…。」
私の前向きな思考に、エミリアは少し
戸惑っていた。
「そういえば、エミリアはいつもランチは
どうしているの?」
私がアンセル殿下とランチに行っている間
エミリアがどう過ごしているのかを、私は
全く知らなかった。
「えっと…その…、同じ学年に婚約者が
おりまして…。お昼休みはずっと一緒に
過ごしてます。」
エミリアは頬をほんのり赤くして、照れ
くさそうに言った。
あらあら、そうなの!
私がいないせいで、エミリアまでぼっち
飯だったらどうしようかと思ったけど
心配無用だったみたいね。
「エミリアの婚約者って、どんな方なの
かしら。会ってみたいわ。」
「今度セセリア様に紹介しますわ!」
自分の婚約者の話に、私が興味を持った
ことが嬉しかったのか、エミリアは声を
弾ませて言った。
多分親の決めた婚約なんだろうけど、
毎日お昼休みに会っているんだから
エミリアは相手のことが好きなんだ
ろうな。
私もカイン殿下に会いたいなぁ…。
いやいや、その前にやることがある!
アイリスとアンセル殿下をくっつける、
今はそのことに集中しようと、私は
決意を新たにするのだった。
ことを考えていた。
あの子、可愛かったな。
見た目はもちろんだが、雰囲気や佇まいが
モブキャラとは格段に違う。
攻略対象キャラ全員に好かれるように設定
されているだけはある。
冷静に考えると、カイン殿下が留学中で
良かったのかもしれない。
ヒロインがぽっちゃり殿下を好きになる
ことはなくても、カイン殿下がヒロインを
好きになる可能性はゼロではない。
急に不安になってきたなぁ…。
カイン殿下が留学から戻る前に、誰かと
くっついてくれるといいのだけれど。
そうだ!私がキューピッドになって、
アンセル殿下とヒロインをくっつけて
しまえばいいんだ!
このニ人がカップルになるのが、ゲームの
メインストーリーなのだから、きっと
上手くいくはず。
まずは二人を引き合わせなくては。
あれこれと考えを巡らせているうちに、
音楽の授業は終わっていた。
教室へ戻ると、ヒロインが歴史の教科書を
手に、私の帰りを待っていた。
「あの、教科書ありがとうございました!」
私を見つけると、羽のように軽やかに
駆け寄ってきた。
ああ、やっぱり可愛いわ、この子。
同世代のご令嬢たちからは、敵視される
だろうけど、中身が成人の私からすると、
サークルの後輩みたいな感じだ。
「先ほどは名乗りもせず、申し訳ありま
せんでした。私、アイリス・シモンズと
申します。」
ヒロインの名前、アイリスなんだ。
それ、私がこのゲームをプレイする時に
ヒロインにつけた名前と同じだよ。
私の転生となにか関係があるのだろうか?
思索にふけっていると、アイリスが
不思議そうに顔を覗き込んだ。
「どうかされましたか?」
アイリスの問いかけに、私は我に返った。
「いえ、その、なんでもないのよ。私は
セセリア。よろしくね。」
「もちろん知ってますわ。第二王子様の
婚約者ですよね?まだ学院に馴染めず
困っていた私に声をかけて頂いて、凄く
嬉しかったです。」
大きな瞳をキラキラ輝かせて、アイリスは
私の手を握った。
「いいのよ。気にしないで。またなにか
困ったことがあったら、遠慮せずに
相談してね。」
「本当ですか!?それなら一つお願いが
あるのですが…。」
甘え上手というか、本当に遠慮なしだな
この子。
可愛いから許すけど。
「どんなことかしら?」
内容によりけりだけど、一応聞いてあげ
ようじゃないの。
「明日のランチを一緒に食べて頂けない
でしょうか?実は私、転入してからずっと
一人で昼食を食べているんです。」
今まで真っすぐに目を見て話していた
アイリスが、うつむきながら言った。
ああ、あるほど。友達ができなくてずっと
ぼっち飯してたのね。
でもこれは、アンセル殿下とアイリスを
引き合わせるチャンスよ!
かえって好都合だわ!
「そうだったのね!可哀そうに…。私で
よかったら一緒に食べましょう!」
私はアイリスの手を握り返した。
「セセリア様!ありがとうございます!
では明日のお昼、こちらに伺いますね!」
アイリスは一礼すると、手を振りながら
自分の教室へと戻って行った。
「セセリア様、よろしいのですか?
ランチはいつもアンセル殿下とご一緒に
なさっていますのに…。」
隣にいたエミリアが、心配そうに言った。
「大丈夫よ。そもそも、彼女のことを気に
かけて欲しいと私に言ったのは殿下だし。
むしろ喜んでくれるんじゃないかしら。」
「それならよいのですが…。」
私の前向きな思考に、エミリアは少し
戸惑っていた。
「そういえば、エミリアはいつもランチは
どうしているの?」
私がアンセル殿下とランチに行っている間
エミリアがどう過ごしているのかを、私は
全く知らなかった。
「えっと…その…、同じ学年に婚約者が
おりまして…。お昼休みはずっと一緒に
過ごしてます。」
エミリアは頬をほんのり赤くして、照れ
くさそうに言った。
あらあら、そうなの!
私がいないせいで、エミリアまでぼっち
飯だったらどうしようかと思ったけど
心配無用だったみたいね。
「エミリアの婚約者って、どんな方なの
かしら。会ってみたいわ。」
「今度セセリア様に紹介しますわ!」
自分の婚約者の話に、私が興味を持った
ことが嬉しかったのか、エミリアは声を
弾ませて言った。
多分親の決めた婚約なんだろうけど、
毎日お昼休みに会っているんだから
エミリアは相手のことが好きなんだ
ろうな。
私もカイン殿下に会いたいなぁ…。
いやいや、その前にやることがある!
アイリスとアンセル殿下をくっつける、
今はそのことに集中しようと、私は
決意を新たにするのだった。
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