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悪役令嬢、腰が砕ける
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殿下は、片手を私の背中に回すと、指で
そっと背筋を撫でた。
「ひぁ!」
思わず唇を開いた瞬間、生温かいものが
口の中に差し込まれた。
「んん…?」
差し込まれた生温かいものが、私の舌に
絡まる。
「ふぁ…んん」
今まで経験したことのない、ぞくぞくした
感覚が全身に走った。
これが快感というものなのか…。
ダメ、立っていられない。
足に力が入らなくなった私は、バランスを
崩し、その場に座り込みそうになった。
「危ない!大丈夫?」
殿下の腕に支えられ、ギリギリのところで
尻もちをつかずに済んだ。
ゲームの中でしか恋愛したことのない私は
もちろんキスなどしたことがない。
そんな私でも、本当のキスというものが
唇を重ねるだけのものではないと、知って
はいた。
でもまさか、腰砕けになるとは。
「セセリア、ごめんね。君が僕だけのもの
だって確証が欲しかったんだ。」
そう言いながら、殿下は私の髪を愛おし
そうに撫でている。
ドキドキと快感がいっぺんに押し寄せて
来て、何も考えられなくなっていた私は
アップルパイの香ばしい匂いに気づいた。
「いけない!焦げちゃう!」
一瞬で我に返り、焦げる一歩手前のパイを
オーブンから救出すると、調理台の上に
置いた。
あ~あ。
ギリギリ食べられるレベルではあるが、
いつも作るパイより、あきらかに焼きすぎ
だ。
これでは、楽しみにしている国王夫妻に
お出しすることは出来ない。
しょんぼりしていると、殿下が後ろから
声をかけた。
「そのパイは僕が食べるから、父上と母上
の分は一緒に作り直そうか。」
「え?いいんですか?」
「勿論だよ。焼きすぎたのは僕のせいだし
ね。」
…まぁ、そうですよね。
私は苦笑いした。
リンゴのコンポートは余分にあるし、縦長
のパイなら今から焼いても充分お茶の時間
に間に合う。
「じゃぁ、この型にバターを塗って頂けま
すか?」
「了解。」
殿下がバターと格闘している間に、私は
パイ生地の準備をした。
先ほどの出来事が、ちらちら頭をよぎるが
今度こそ失敗できないという緊張感が、私
をパイ作りに集中させてくれた。
パイ生地を型に敷き、リンゴのコンポート
を乗せ、格子状に編んだパイ生地で蓋をし、
最後に卵黄を塗れば、あとは焼くだけだ。
「今度はきっと上手くいくよ。」
「…そうですね。」
引きつった私の笑顔を見た殿下が、不安げ
に言った。
「嫌だった?」
「え?」
「…さっきの。」
これは、どう返事をするべきなのか…。
嫌じゃなかった。
むしろ、自分でも驚くくらい気持ちが良か
った。
「…嫌では…ないです…。」
頬を赤らめながら答えると、殿下は安心し
たように私の唇を指でなぞった。
「この唇は僕だけのものだよ。」
私はコクリと頷いた。
そっと背筋を撫でた。
「ひぁ!」
思わず唇を開いた瞬間、生温かいものが
口の中に差し込まれた。
「んん…?」
差し込まれた生温かいものが、私の舌に
絡まる。
「ふぁ…んん」
今まで経験したことのない、ぞくぞくした
感覚が全身に走った。
これが快感というものなのか…。
ダメ、立っていられない。
足に力が入らなくなった私は、バランスを
崩し、その場に座り込みそうになった。
「危ない!大丈夫?」
殿下の腕に支えられ、ギリギリのところで
尻もちをつかずに済んだ。
ゲームの中でしか恋愛したことのない私は
もちろんキスなどしたことがない。
そんな私でも、本当のキスというものが
唇を重ねるだけのものではないと、知って
はいた。
でもまさか、腰砕けになるとは。
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だって確証が欲しかったんだ。」
そう言いながら、殿下は私の髪を愛おし
そうに撫でている。
ドキドキと快感がいっぺんに押し寄せて
来て、何も考えられなくなっていた私は
アップルパイの香ばしい匂いに気づいた。
「いけない!焦げちゃう!」
一瞬で我に返り、焦げる一歩手前のパイを
オーブンから救出すると、調理台の上に
置いた。
あ~あ。
ギリギリ食べられるレベルではあるが、
いつも作るパイより、あきらかに焼きすぎ
だ。
これでは、楽しみにしている国王夫妻に
お出しすることは出来ない。
しょんぼりしていると、殿下が後ろから
声をかけた。
「そのパイは僕が食べるから、父上と母上
の分は一緒に作り直そうか。」
「え?いいんですか?」
「勿論だよ。焼きすぎたのは僕のせいだし
ね。」
…まぁ、そうですよね。
私は苦笑いした。
リンゴのコンポートは余分にあるし、縦長
のパイなら今から焼いても充分お茶の時間
に間に合う。
「じゃぁ、この型にバターを塗って頂けま
すか?」
「了解。」
殿下がバターと格闘している間に、私は
パイ生地の準備をした。
先ほどの出来事が、ちらちら頭をよぎるが
今度こそ失敗できないという緊張感が、私
をパイ作りに集中させてくれた。
パイ生地を型に敷き、リンゴのコンポート
を乗せ、格子状に編んだパイ生地で蓋をし、
最後に卵黄を塗れば、あとは焼くだけだ。
「今度はきっと上手くいくよ。」
「…そうですね。」
引きつった私の笑顔を見た殿下が、不安げ
に言った。
「嫌だった?」
「え?」
「…さっきの。」
これは、どう返事をするべきなのか…。
嫌じゃなかった。
むしろ、自分でも驚くくらい気持ちが良か
った。
「…嫌では…ないです…。」
頬を赤らめながら答えると、殿下は安心し
たように私の唇を指でなぞった。
「この唇は僕だけのものだよ。」
私はコクリと頷いた。
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