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◆みせかけの結婚 * 弥衣
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「ごめんな、弥衣。俺が金持ちなら、もっとなんとかしてやれたのに」
「え? やだ、優介さんには関係ないよ。それに心配しないで。お母さんの遠縁の人がね、助けてくれたの。だからもう借金もないんだ」
またしても言えなかった。
「そうなのか? ああー、それは良かった。そうか」
優介さんは心からホッとしたように息を吐く。
心配してくれていたんだね。申し訳ない……。
そして、食事が終わる頃。
優介さんが「すぐそこのホテルで新しいバーがオープンしたから行ってみないか」と言った。
「高層階だけど、窓際に座らなければ、大丈夫じゃない?」
「あ、う、うん。夜景は見てみたい」
レストランを出て並んで歩きながら、決意を新たにする。
さよならの記念に、一度くらいしっかりと夜景を見よう。
お酒を飲んで酔った勢いでなら、きっと言える。いや、言わなくちゃいけない。
「ごちそうさまでした」
「いいよ、せめてこれくらい」
「じゃあ、バーは私が払う。大丈夫よ。バイト代結構もらったんだから」
「あはは。それは頼もしいな」
笑いながら通りを歩いていき――。
えっ?
何気なく視線を向けたビルの看板。
ツキシロビル?
よく見ると、ツキシロホールディングス東京本社と書いてある。
ここって、月城さんの会社?
「どうかした?」
「え? あ、いえ」
ビルからちょうどスーツを着た数人の男性が出てきて、その中に――。
はっとして目を見開いた。
まさか、月城さん?
「え? やだ、優介さんには関係ないよ。それに心配しないで。お母さんの遠縁の人がね、助けてくれたの。だからもう借金もないんだ」
またしても言えなかった。
「そうなのか? ああー、それは良かった。そうか」
優介さんは心からホッとしたように息を吐く。
心配してくれていたんだね。申し訳ない……。
そして、食事が終わる頃。
優介さんが「すぐそこのホテルで新しいバーがオープンしたから行ってみないか」と言った。
「高層階だけど、窓際に座らなければ、大丈夫じゃない?」
「あ、う、うん。夜景は見てみたい」
レストランを出て並んで歩きながら、決意を新たにする。
さよならの記念に、一度くらいしっかりと夜景を見よう。
お酒を飲んで酔った勢いでなら、きっと言える。いや、言わなくちゃいけない。
「ごちそうさまでした」
「いいよ、せめてこれくらい」
「じゃあ、バーは私が払う。大丈夫よ。バイト代結構もらったんだから」
「あはは。それは頼もしいな」
笑いながら通りを歩いていき――。
えっ?
何気なく視線を向けたビルの看板。
ツキシロビル?
よく見ると、ツキシロホールディングス東京本社と書いてある。
ここって、月城さんの会社?
「どうかした?」
「え? あ、いえ」
ビルからちょうどスーツを着た数人の男性が出てきて、その中に――。
はっとして目を見開いた。
まさか、月城さん?
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