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◆真実への一歩 * 弥衣
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それにしても病院は、豪華絢爛な内装の建物だった。
「なんだかすごい病院ですね」
外からはまったくわからなかったが、エントランスに入ったそこは私の知る病院とはまるで別の世界だ。恐ろしく高い天井。豪華なロビーには猫足のソファーまである。
中庭で揺れているのはトネリコの葉だろうか。大きなガラスを通してやわらかい明かりが降り注ぐここは本当に病院なのかと目を疑うばかり。
「ホテルみたい」
思わず呟くと、尊さんが「セレブ御用達だからね」と教えてくれた。
なるほど中を歩く人々もちょっと様子が違う。看護師の制服もおしゃれだ。
面会の手続きをしてエレベーターで上に行き、ここだよと言われた病室の入り口には【月城佐和子】と記されたプレートがあった。
予想通りというか部屋は病室というよりもホテルの一室。それもスイートルームかと首を傾げたくなるラグジュアリーな部屋。病室を意識しているのか全体的に白っぽく統一されているが、ふかふかソファーの応接セットもあるし、壁には見るものを癒やす優しく淡い絵画まである。
お祖母様は、入って左側。カーディガンを羽織り背もたれを立てたベッドで本を読まれていたようだ。棚に本を置き、眼鏡をはずしてにっこりと微笑んだ。
「ああ、尊」
「具合はどう?」
「可もなく不可もなく、ってところかしらね」
おばあさまの視線が私に移る。
「妻の弥衣です」
「はじめまして。弥衣です」
深々と頭を下げた。
「こんなところまで来てくれて、ありがとう。さあ、ソファーに座ってちょうだい。私もそっちに行くから」
体を起こそうとするお祖母様に、すかさず手を差し伸べる尊さんを見ているとわかる。
『母代わりになって育ててくれた、大切な祖母だ』と言っていた通り、彼は心からおばあ様をとても大切に思っているのだろう。心配そうに腰をかがめ、抱えるように体を添えていた。
「なんだかすごい病院ですね」
外からはまったくわからなかったが、エントランスに入ったそこは私の知る病院とはまるで別の世界だ。恐ろしく高い天井。豪華なロビーには猫足のソファーまである。
中庭で揺れているのはトネリコの葉だろうか。大きなガラスを通してやわらかい明かりが降り注ぐここは本当に病院なのかと目を疑うばかり。
「ホテルみたい」
思わず呟くと、尊さんが「セレブ御用達だからね」と教えてくれた。
なるほど中を歩く人々もちょっと様子が違う。看護師の制服もおしゃれだ。
面会の手続きをしてエレベーターで上に行き、ここだよと言われた病室の入り口には【月城佐和子】と記されたプレートがあった。
予想通りというか部屋は病室というよりもホテルの一室。それもスイートルームかと首を傾げたくなるラグジュアリーな部屋。病室を意識しているのか全体的に白っぽく統一されているが、ふかふかソファーの応接セットもあるし、壁には見るものを癒やす優しく淡い絵画まである。
お祖母様は、入って左側。カーディガンを羽織り背もたれを立てたベッドで本を読まれていたようだ。棚に本を置き、眼鏡をはずしてにっこりと微笑んだ。
「ああ、尊」
「具合はどう?」
「可もなく不可もなく、ってところかしらね」
おばあさまの視線が私に移る。
「妻の弥衣です」
「はじめまして。弥衣です」
深々と頭を下げた。
「こんなところまで来てくれて、ありがとう。さあ、ソファーに座ってちょうだい。私もそっちに行くから」
体を起こそうとするお祖母様に、すかさず手を差し伸べる尊さんを見ているとわかる。
『母代わりになって育ててくれた、大切な祖母だ』と言っていた通り、彼は心からおばあ様をとても大切に思っているのだろう。心配そうに腰をかがめ、抱えるように体を添えていた。
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