無自覚両片想いの鈍感アイドルが、ラブラブになるまでの話

タタミ

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25話

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 優成の勢いによって仰向けにさせられて、明樹は狼狽えながら恋人を見上げた。

「う、うん。優成がよければ、だけど……」
「いいに決まってます。いいんですよね?」

 優成は明樹に覆い被さって、待ってられないとばかりに明樹の唇を指先でなぞってくる。我慢の限界だった、ということを隠す配慮はかなぐり捨てられていた。

「わかった、えっとじゃあ……しよっか」
  
 こんな宣言をしてから事に及ぶのは初めてで、明樹は照れた。しかし1度キスが始まれば照れなんてどこかへ飛んで、明樹は自ら優成の顔を引き寄せて舌を絡ませていた。2人きりの寝室に息遣いと唾液の水音だけが流れ、今日はこれ以上のことをするんだという期待が明樹を昂らせていく。
 唾液を飲むようなキスの後、優成は明樹の首筋を食みながら服の下に手を入れた。意図を汲んで明樹が上を脱ぐと、優成は下を脱がせ、一息つく間もなく下着の中に手が入って、芯を持ち始めていたものを掴む。

「っ、いきなり」
「すいません、我慢できなくて」

 喋る間も優成の手は明樹を刺激し続けて、たちまちに血が溜まっていく。自分でやるよりずっと快感が強く、勝手に息が漏れる。優成の舌が耳をなめると先走りが溢れるのがわかって、明樹はこのままではさっさと達してしまうと腹に力を入れた。

「優成も、脱いでよ」

 やんわりと攻守交代を匂わせて服の上から胸元を撫でると、優成は手を止めた。明樹に言われた通りスウェットの上下を脱ぎ捨てて、優成の鍛えられた肉体が露になる。
 明樹がつい見つめると、目を合わせた優成が明樹の手を掴んだ。

「好きなだけ触ってください」

 言いながら自らの鎖骨から下腹部までを撫でさせる。
 既に存在感の増した箇所に指が触れて、明樹は自分がされたのと同じように下着に手を入れて直接握った。明樹の手の動きに合わせて、優成が浅い息を吐き眉を寄せる。

(目と耳からの刺激がエグい)

 あと手からも、と思いながら明樹は力を込めた。

「……どう?強すぎたら言って」
「気持ちいいよ。明樹さんに触られるなら、なんだって」

 手のひらに擦り付けるように腰を動かして、優成は明樹にキスをした。いったいどこでこんないやらしい動きを覚えたんだと、明樹の兄心が動揺と興奮で揺れる。
 舌を吸われながら手を上下に動かしていると、顔を離して唇をぬぐった優成が囁いた。

「一緒にやっていいですか」

 言うが早いか、黒のボクサーパンツが明樹の脚から抜き去られ、次いで優成は自分の下着も脱いだ。そして明樹の腿に座り直して、自分のと明樹のを擦るように重ねて同時に握り込む。

(一緒にって、そういう……)

「うわ、エロ……」
「ね、興奮する」

 優成が手を動かすと先走りの音が立ち、滑りと圧迫感に襲われた明樹は身をよじった。

「明樹さん、……っ気持ちいい?」
「っ、うん」

 素直に頷くと優成は手の動きを速めて、明樹は口を開けたまま快楽を享受した。しかし自分ばかりしてもらっていては良くないと思い、明樹も手を伸ばそうとした矢先、優成の指が先端を擦ってきて、明樹の手は反射的にシーツを掴む羽目になった。

「あ、待って、そこ」
「ここ嫌いですか」
「いや、すき、だけど……ッ弱いから」
「それ言って待つと思った?」

 優成の指が先端を押し込むように動き、明樹の身体はわかりやすく震えて呼吸に嬌声が混ざる。気持ちが良くて腰が浮いた。すぐ達してしまうから普段自分でもわざとあまりいじらないようにしているのに、優成が問答無用で刺激を続けてきて明樹は首を振るしかなかった。

「ほんと、そこ、ヤバいんだって……ッ」
「可愛い。もっとしてあげる」

 こちらを食いそうな目に見下ろされて、息が詰まる。さっきまで自分も優成に何か愛撫をしなければと思っていたが、明樹はもうシーツを握りしめるので手一杯だった。優成に導かれるまま、与えられる刺激に従順に上り詰めていく。腹の奥で熱いものがせり上がる感覚がして、明樹は優成の腕を掴んだ。

「っ優成、俺、はぁっ」
「いきそう?」
「ん、もうむり……っ」

 耳元に顔を寄せた優成が「俺も」と吐息混じりに囁いて、握る力を強めた。圧迫が快感の波を凶暴にさせて、明樹は迫る絶頂に一層眉を寄せる。

「っあ、……ッ!」

 明樹の脚がシーツを蹴ると同時に、腰が痙攣して体液が弾けた。一気に抜けていく快楽に頭が白んで、明樹は喉を反らす。

(あー、ヤバい。気持ちいい)

 脳が甘くしびれて、語彙を失う。
 余韻に浸りながら肩で息をしていると、晒した喉元に優成の唇が触れて、明樹は優成の頭を撫でた。

「いった……?」
「うん、一緒に」

 顔を近づけた優成は、そのまま明樹に唇を重ねた。
 終わってキスをするのではなく、されるという現象。女性との行為では得られない、『愛されている』という強い感覚。それは明樹の胸に常駐する不安──愛されないことへの恐れを見事に払拭していく。
 身体を巡る幸福感に、明樹は目を閉じた。

(これ、ハマっちゃうかもしれない……)

 覆い被さる優成に腕を回し、少し汗ばんだ背中を抱き締める。包み込むような体格と質量に、明樹は安堵を覚えながらキスに応えた。
 しばらく互いの唇を味わってから、至近距離ではにかみ合う。優成は明樹の額にキスをすると、上体を起こして前髪をかき揚げた。

「あー……拭きますね」

 見下ろす視線を辿ると、明樹の腹から胸にかけて白い体液が飛び散っていた。

「2人分だと量すごいな」
「そういうこと、普通思っても言わなくないですか」

 明樹は他意なく単純に感想を述べただけだったが、優成は恥じらいを見せてティッシュを重ねて抜き取る。自分でやるという意味で伸ばした手は、優成の左手に恋人繋ぎで絡めとられてしまって、明樹は笑いながら握り返した。

「なんか……背徳感がやばい」

 ティッシュで明樹の腹から胸元を拭きながら、優成が低く呟く。

「なに、賢者タイム?」

 明樹が構うように優成の顔を覗くと、優成は神妙な顔でティッシュを丸めた。

「いや……背徳感は興奮する方のやつです」

 優成はそう言ってティッシュをベッド脇のゴミ箱に投げてから、握っていた手を引き寄せた。

「ぶっちゃけ、賢者は全然来てなくて」

 優成はまた、明樹を食いそうな目をしていた。明樹は視線を受け止めながら、足先で優成の脚を撫でた。欲しがっているのは優成だけではない。

「……もっかいする?」
「もう1回で終わるか、約束できないですよ」

 いいよ、約束しなくて。
 そう返す代わりに、明樹は優成にキスをした。たちまちに口を割られて舌が絡まる。愛すべき人と愛し合える幸せが、明樹の身体を熱くしていった。

「……大好き、優成」
「愛してます、明樹さん」

 愛を囁いた唇は、またすぐに重なって。
 2人は日を跨いでも、ベッドの上で肌を触れ合わせていた。


おわり
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