魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ

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 ──ガシャン!!

「っ……!」

 俺とダン王子のすぐ真横にシャンデリアが落下して、ガラス片が飛び散る。どうにか激突は免れ、俺はすぐに身体を起こした。

「ダン王子、大丈夫ですか──」
「キャアァー!!」
「!?」

 ──ガシャン! ガシャン!

 息つく暇もなく、周囲から悲鳴と落下音が巻き起こる。シャンデリアは1つだけではなく、ホールにはあと3つほど下がっていた。そのすべてが続けて落下し、動けない人々に襲い掛かっている。

(なんだよ……! クソ、どうしたら……!)

「おい、怪我は……!」

 ダン王子が息の荒いまま起き上がり、俺の肩を掴む。

「俺は大丈夫です! もう動けますか!?」
「ああ、気分はまだ最悪だが……っ」

 ダン王子だけでなく他の人たちも動けるようになったようで、悲鳴を上げた群衆が一斉に動き出す。怪我をして倒れている人、それを助けようとする人、ホールから出ようと走り回る人とで、会場は大混乱に陥っていた。

「とにかくここから移動しないと! どうにか医務室に──」
「俺のことはいい! お前は側近と今すぐ合流しろ……! この騒ぎ、すぐには始末がつかん……!」
「ダン様! 避難ください! おい、お守りしろ!」

 俺がダン王子に返事をするより先に、ロットの人たちが数名ダン王子のところへ駆け寄って取り囲む。

「早く行け!」

 従者に支えられたダン王子は護衛の隙間からそう言って、混乱の最中へと消えていく。悲鳴と怒声の入り混じる中、俺はイリスさんに会うために、どうにか立ち上がった。







++
 舞踏会が大混乱に見舞われる最中、学院の後ろに広がる暗い森にふたつの影が落ち合っていた。
 しゃがれた声が風に紛れるようにさざめく。

「まったく、貴重な呪具を勝手に使うとは……。待てもできんのか」
「申し訳ございません。いち早く異端かどうか判断したかったので」

 若い声は言葉だけの謝罪をした。

「お前の単独行動は見過ごせないが……まぁおかげで目星はついた」

 しゃがれ声は笑いをこらえている。

「本当に至上かどうか確かめろ。至上であるならばその場で封印、違えば殺せ」

 至上への反逆を恐れもなく言葉にする老人を、若者は静かに見つめた。

「……はい。しかしあれが至上ならば、なぜ至上宮の外に出ているのでしょうか」
「知ったことか。あやつは今日の騒ぎで我々を感知できなかった。そしてお目覚め初日に結界へ攻撃を仕掛けたにも関わらず、いまだ至上による結界強化はなされていない。至上が何らかの理由で弱体化しているのは明白だ。この機会を逃すわけにはいかん」

 老人が懐から、いくつもの札が貼られた木箱を取り出す。

「……至上のために使え。失敗は許さん。道具の価値と入手の労力は、貴様ごときの命では到底賄えんからな」
「は。必ずや成功させます」

 若者が箱を受け取ると同時に、老人は闇に消えていた。
 その場で箱を開くと、中には血で錆びた金属たちが鎮座している。

「……死ぬかもな」

 若者は静かに箱を閉じて、暗い森を歩き出した。
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