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組長からの課題
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「……は?親父、今なんて言いました?」
初瀬岳は立ったまま、目の前の椅子にふん反りかえって座る初老の男──兼城組・組長、兼城龍臣に眉を寄せた。兼城はタバコを悠長に吸い、そばに控えた組員が差し出した灰皿にまだ十分吸える吸い殻を押し付けている。その間に初瀬は兼城の横で床に座る見覚えのない組員に目をやった。
(随分若えのを入れたもんだな)
どう見ても10代のガキだ。パンツ1枚のみすぼらしい姿をしており、腹と腕に殴られた跡がある。
床に座らされている組員というのは、十中八九ヘマをやらかしてこれからケジメをつける人間だ。このガキは既に暴行を受けているので、それなりに大事が起きているようだった。
「ガク。お前は人間味が足りない。だからガキを育てろって言ってんだよ」
初瀬が若い組員を見ているうちに新たなタバコを咥えた兼城は、煙を吐き出しながら言った。初瀬は貧血になったような目眩を感じながら、元々寄っていた眉をさらに寄せた。
「親父。さっきもその言葉は聞きましたが、わけがわかりません。そもそもヤクザなんて人間味がなければないほどいいでしょうが」
「お前はなさすぎんだよ。最近やった仕事、言ってみろ」
「……うちのシマでキャバ荒らした半グレを絞めました。親父の指示に従ったまでですよ」
「俺がいつ『半グレどもの耳を削いで持ってこい』って言ったんだよ。15人分も持って帰って来やがって。ひとつもいらねえよ。このせいで半グレどもと報復合戦が始まってんだぞ。何事もやりすぎなんだよ、テメエは。あとな、この前の売人の扱いもなんだ?殴りすぎて誰だか──」
「あ~はい、すみませんでした。俺が悪かったです」
文句が続く気配を察して、初瀬は先んじて両手を上げた。
「今後は気を付けるんで、勘弁してもらえませんか。ガキ育てろって言われても家庭持つなんて俺には無理です」
「女作って産ませろなんて言ってねえだろ。お前ツラも頭も良いのに暴力沙汰起こし過ぎて店の女どもにすら引かれてるからな」
兼城が顎をしゃくると、座り込んでいたガキの腕を組員が掴んで立たせた。ずっとここにいるこいつは何なんだよという目を向けた初瀬に、ガキの三白眼が応えた。こちらを睨んでくる。
「こいつを育てろ。子分ってことで死なねえように教育すること」
「は?いや、待ってください。このガキ、何なんですか」
初瀬岳は立ったまま、目の前の椅子にふん反りかえって座る初老の男──兼城組・組長、兼城龍臣に眉を寄せた。兼城はタバコを悠長に吸い、そばに控えた組員が差し出した灰皿にまだ十分吸える吸い殻を押し付けている。その間に初瀬は兼城の横で床に座る見覚えのない組員に目をやった。
(随分若えのを入れたもんだな)
どう見ても10代のガキだ。パンツ1枚のみすぼらしい姿をしており、腹と腕に殴られた跡がある。
床に座らされている組員というのは、十中八九ヘマをやらかしてこれからケジメをつける人間だ。このガキは既に暴行を受けているので、それなりに大事が起きているようだった。
「ガク。お前は人間味が足りない。だからガキを育てろって言ってんだよ」
初瀬が若い組員を見ているうちに新たなタバコを咥えた兼城は、煙を吐き出しながら言った。初瀬は貧血になったような目眩を感じながら、元々寄っていた眉をさらに寄せた。
「親父。さっきもその言葉は聞きましたが、わけがわかりません。そもそもヤクザなんて人間味がなければないほどいいでしょうが」
「お前はなさすぎんだよ。最近やった仕事、言ってみろ」
「……うちのシマでキャバ荒らした半グレを絞めました。親父の指示に従ったまでですよ」
「俺がいつ『半グレどもの耳を削いで持ってこい』って言ったんだよ。15人分も持って帰って来やがって。ひとつもいらねえよ。このせいで半グレどもと報復合戦が始まってんだぞ。何事もやりすぎなんだよ、テメエは。あとな、この前の売人の扱いもなんだ?殴りすぎて誰だか──」
「あ~はい、すみませんでした。俺が悪かったです」
文句が続く気配を察して、初瀬は先んじて両手を上げた。
「今後は気を付けるんで、勘弁してもらえませんか。ガキ育てろって言われても家庭持つなんて俺には無理です」
「女作って産ませろなんて言ってねえだろ。お前ツラも頭も良いのに暴力沙汰起こし過ぎて店の女どもにすら引かれてるからな」
兼城が顎をしゃくると、座り込んでいたガキの腕を組員が掴んで立たせた。ずっとここにいるこいつは何なんだよという目を向けた初瀬に、ガキの三白眼が応えた。こちらを睨んでくる。
「こいつを育てろ。子分ってことで死なねえように教育すること」
「は?いや、待ってください。このガキ、何なんですか」
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