インターネットで異世界無双!?

kryuaga

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#19

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 冒険者ギルドへとやって来た俺は、何故か冒険者についての説明を受ける事とになった。



「コウヤ様。私は冒険者ギルド、アルストロメリア支部所属のサリナと申します。どうぞお見知りおきを」



 受付嬢のサリナがそう言って自己紹介をする。

 落ち着いて彼女を観察すれば、非常に整った容姿をしている。

 そしてサラサラの長い金髪の隙間からは、長い耳が覗いている。

 もしかして彼女は……。



「ああ、この耳を見れば分かるかと思いますが、私はエルフですよ」



 俺の視線から察したのか、サリナが髪をめくり上げて晒した長い耳を撫でながら、そう言う。



「エルフですか。初めてみましたよ」



「エルフはこの辺りでは少ないですからね」



 この大陸に住んでいる人種は、大きく分けると4人種といるそうだ。

 ヒューマン、エルフ、ドワーフ、そして魔族。

 人口別に並べると、ヒューマン、魔族、ドワーフ、エルフの順らしい。



 そう言う意味では、エルフを初めて見かけた事には納得がいくのだが、一方で俺はこの街でまだ魔族を見かけたことは一度も無い。

 どうも魔族は大陸の東側の地域に多く住んでいるらしいが、詳しい事は良く知らない。



「ではコウヤ様、冒険者について説明をさせて頂きますね。冒険者とは――」



 そうしてサリナが語ってくれたことをざっくばらんに纏めると、以下のような感じだ。



 冒険者とは要はなんでも屋の総称であり、魔物の討伐や商人の護衛などから、大工仕事の応援作業やら使い走りの仕事まで、実に幅広い分野の仕事をこなす職業らしい。

 なんだかそう聞くと、少々夢の無い仕事のようにも思える。だが高位の冒険者にもなると、様々な優遇措置があるそうで、それを目当てに冒険者となる人間は後を絶たないそうだ。

 まあその分、高位冒険者ほど命の危険も大きいらしいのだが。



「登録料として1万G必要となりますが、引き換えに貰える冒険者カードは、お金の預け入れなども出来て何かと便利ですよ」



 商業ギルドに登録している店舗などでは、現金を持たずともカードでそのまま買い物も出来るらしい。

 預けた金は、冒険者ギルドが保証してくれるらしいし、正直そろそろお金の管理にも困っていた所だったのだ。

 そんな便利なモノがあるなら是非欲しい。

 カードを手に入れる為、とりあえず登録だけしておくのも有りかもしれない。



「ただし、カードを紛失された場合、再発行に5万G必要となりますので、取り扱いにはご注意を」



 これは俺の想像に過ぎないが、恐らく冒険者カードは、冒険者を集める為の餌の一つとして扱われているのだろう。

 まあ、こんな便利な代物が1万Gで貰えるっていうのは、かなりお得なように思えるしな。



 その後もいくつか冒険者についての説明が続いた。

 

 一番俺の興味を引いたのは、冒険者のランクについてだ。

 冒険者のランクは5つに分かれているらしい。

 下から順に、ノービス、ポーン、ナイト、ビショップ、ルークの順だ。

 登録したての冒険者は、誰でもノービスランクからスタートする。

 上のランクに上がるには、厳しい昇格試験をクリアする必要がある。

 また各ランクにも、★1(シングル)★2(ダブル)★3(トリプル)の3段階に細かく区分されているらしい。

 こちらは、冒険者ギルドからの依頼をこなし、実績を積むことで自動的に上昇していくらしい。

 

 デポトワール商会のソンブルは確か、ビショップランクと言っていたはず。

 あの程度の実力でビショップランクまで上がれるのなら、戦闘面では然程苦労は無さそうだ。



 それ以外の説明は、割と常識的な事項が多く、少々退屈な時間だった。



「では、引き続き冒険者登録の手続きに移りますね。こちらの紙に必要事項の記入をお願いします」



 そう言ってサリナさんが記入用紙を渡してくる。

 あまり見慣れない文字が並んでいるが、〈全言語翻訳〉のギフトのおかげで特に苦も無く読むことが出来た。

 俺はペンを受け取り、必要事項を記入すべくインクを付ける。

 そこではたと気付く。



「って、いやいや。説明を聞くだけだって、言ったでしょう!」



 危ない。

 余りに自然な流れに、すっかり乗せられそうになる所だった。



「ちっ、そのまま記入すればいいものを……」



 サリナが横を向きながら、舌打ちするのが見えた。

 この人、綺麗な見た目の割に結構腹黒いぞ。



「ごほんっ。コウヤ様、冒険者カードは欲しくありませんか? これ1枚あれば、何かと便利ですよ?」



 身分証明証にもなるし、高位ランクになれば他ギルドからの優遇措置もあるなど、冒険者カードの利便性を説いてくるサリナ。



「うーん、そうですね。とりあえず登録だけしておきましょうか」



 サリナの熱意に負けたというのもあるが、確かにサリナの言う通りに冒険者カードを持っておくと何かと便利なようだ。

 実際に冒険者として活動するかは置いておくとして、登録だけしてカードを貰うのは有りだろう。

 登録料の1万Gも今の俺の懐事情からすれば、そう大した額じゃないしな。



「そうですかっ! 良かったです。では記入をお願いしますね」



 こうして俺はなんやかんやで結局、冒険者登録をする事になった。



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