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冒険者登録を終えた俺は、肝心のフィナ達の護衛依頼を忘れていた事に気付き、すぐさま受付へと引き返す。
「すいません。色々とあったもので、すっかりと忘れておりました」
そう言ってペロっと舌を出すサリナに、俺はハァと溜息をつく。
怒っても仕方ない事だ、そう割り切って俺は彼女に依頼内容について説明する。
「……こんな感じなのですが、そちらで引き受けて貰うことは可能でしょうか」
「そうですね。拘束時間が長めなので、多少割高になりますが、特に問題ないと思いますよ。依頼する冒険者のランクについてご希望は御座いますか?」
そう言われても、まだ俺には冒険者のランクがどの程度でどのくらいの強さがあるのか、イマイチ分からない。
「普通はどんな感じなんでしょうか?」
「そうですね。街中での護衛ですし、そう高いランクは必要ないかと思います。ポーンランクか、余裕を見てナイトランクの方ならば問題ないのではないでしょうか? ちなみにノービスランクの方は規定によって護衛依頼は受けれませんので、そこはご理解下さい」
「ではナイトランクの方でお願いします」
それから、護衛期間や金額などについての詳細な条件をサリナと話し合う。
俺がこの世界の冒険者の常識に疎いせいか、話し合いは少々難航したものの最終的には無事に纏まり、正式な依頼として冒険者ギルドに受理された。
「……ではこちらをお持ち下さい」
そう言ってサリナが赤い紙片を渡してくる。
「依頼を受ける方が現れましたら、その紙片が燃え崩れます。それを確認したら、こちらへおいで下さい」
燃えるなんて危険だと思ったが、どうやら本当に火が出る訳ではないので安全とのことだ。
「依頼を出すのも結構ですが、出来れば受ける方もご考慮下さいね」
「はは、まあ暇が出来ましたら考えますよ」
サリナはどうやら俺に冒険者として働いて欲しいようだが、今は抱えている案件が多い。
まずはそれらを片付けないと、話にならないのだ。
◆
冒険者ギルドに護衛依頼出した次の日、早くも赤い紙片が青い炎に包まれて崩れた。
サリナの言った通り、炎といっても熱を持っておらず、触っても特に熱さは感じなかった。
「紙片が燃えてのを確認したので来たのですが……」
「ああ、お待ちしておりました、コウヤ様」
昨日と同じく、受付にはサリナが立っていた。
こちらの姿に気付くと、彼女は笑顔で出迎えてくれる。
「早速ですが、ご紹介しますね。こちらが依頼を引き受けて下さった冒険者チーム"ブルーローズ"の方々です」
サリナが手ぶりで示す先には、4人の女性が立っていた。
子供たちを相手にするので、あまり厳つい連中は避けて欲しいとお願いしていたが、まさか全員が女性とは。
「若手ばかりのチームですが、既に全員がナイトランクという将来有望な方々ですよ」
まだノービスランクの俺より2つも上の階級だ。
そう考えると、将来有望というのも嘘ではないのだろう。
まあ俺としてはちゃんと護衛の任務をこなしてくれるなら、特に文句はない。
「私がリーダーのシアンよ。よろしくお願いしますね」
先頭にいた女性が、そう言って握手を求めてくる。
海のように透き通るような蒼の髪が特徴的な、温和な見た目の女性だ。
「コウヤです。皆さんには暫くの間、うちの子達がお世話になります」
シアンの手を取りながら、そう挨拶する。
「ふふっ、無理にそんな丁寧な口調で喋らなくても大丈夫ですよ?」
クスッ、と笑みを浮かべながらシアンがそう言うので、お言葉に甘えることにする。
「じゃあ子供たちとの顔合わせもしたいし、一度我が家へ移動するとしようか」
ブルーローズのメンバーと共に、街の外れにある孤児院へと向かうことになった。
「すいません。色々とあったもので、すっかりと忘れておりました」
そう言ってペロっと舌を出すサリナに、俺はハァと溜息をつく。
怒っても仕方ない事だ、そう割り切って俺は彼女に依頼内容について説明する。
「……こんな感じなのですが、そちらで引き受けて貰うことは可能でしょうか」
「そうですね。拘束時間が長めなので、多少割高になりますが、特に問題ないと思いますよ。依頼する冒険者のランクについてご希望は御座いますか?」
そう言われても、まだ俺には冒険者のランクがどの程度でどのくらいの強さがあるのか、イマイチ分からない。
「普通はどんな感じなんでしょうか?」
「そうですね。街中での護衛ですし、そう高いランクは必要ないかと思います。ポーンランクか、余裕を見てナイトランクの方ならば問題ないのではないでしょうか? ちなみにノービスランクの方は規定によって護衛依頼は受けれませんので、そこはご理解下さい」
「ではナイトランクの方でお願いします」
それから、護衛期間や金額などについての詳細な条件をサリナと話し合う。
俺がこの世界の冒険者の常識に疎いせいか、話し合いは少々難航したものの最終的には無事に纏まり、正式な依頼として冒険者ギルドに受理された。
「……ではこちらをお持ち下さい」
そう言ってサリナが赤い紙片を渡してくる。
「依頼を受ける方が現れましたら、その紙片が燃え崩れます。それを確認したら、こちらへおいで下さい」
燃えるなんて危険だと思ったが、どうやら本当に火が出る訳ではないので安全とのことだ。
「依頼を出すのも結構ですが、出来れば受ける方もご考慮下さいね」
「はは、まあ暇が出来ましたら考えますよ」
サリナはどうやら俺に冒険者として働いて欲しいようだが、今は抱えている案件が多い。
まずはそれらを片付けないと、話にならないのだ。
◆
冒険者ギルドに護衛依頼出した次の日、早くも赤い紙片が青い炎に包まれて崩れた。
サリナの言った通り、炎といっても熱を持っておらず、触っても特に熱さは感じなかった。
「紙片が燃えてのを確認したので来たのですが……」
「ああ、お待ちしておりました、コウヤ様」
昨日と同じく、受付にはサリナが立っていた。
こちらの姿に気付くと、彼女は笑顔で出迎えてくれる。
「早速ですが、ご紹介しますね。こちらが依頼を引き受けて下さった冒険者チーム"ブルーローズ"の方々です」
サリナが手ぶりで示す先には、4人の女性が立っていた。
子供たちを相手にするので、あまり厳つい連中は避けて欲しいとお願いしていたが、まさか全員が女性とは。
「若手ばかりのチームですが、既に全員がナイトランクという将来有望な方々ですよ」
まだノービスランクの俺より2つも上の階級だ。
そう考えると、将来有望というのも嘘ではないのだろう。
まあ俺としてはちゃんと護衛の任務をこなしてくれるなら、特に文句はない。
「私がリーダーのシアンよ。よろしくお願いしますね」
先頭にいた女性が、そう言って握手を求めてくる。
海のように透き通るような蒼の髪が特徴的な、温和な見た目の女性だ。
「コウヤです。皆さんには暫くの間、うちの子達がお世話になります」
シアンの手を取りながら、そう挨拶する。
「ふふっ、無理にそんな丁寧な口調で喋らなくても大丈夫ですよ?」
クスッ、と笑みを浮かべながらシアンがそう言うので、お言葉に甘えることにする。
「じゃあ子供たちとの顔合わせもしたいし、一度我が家へ移動するとしようか」
ブルーローズのメンバーと共に、街の外れにある孤児院へと向かうことになった。
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