インターネットで異世界無双!?

kryuaga

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#62

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 俺が王城からの特攻部隊へと直接応対し、時間を稼いでいる内に、トラバント達は無事、王都内の調査を終えたようだ。



「コウヤ、君に貰った魔法具で調査した所、どうもあちらの内部はかなり揉めているようだよ」



 それはそうだろう。

 サトルは良く分からんが、ツバキがあんな外道な真似を許すはずが無い。



「勇者ナギサと勇者ツバキの対立によって、もはやあちらは、内部分裂一歩手前の様相だ。皇女、もとい皇帝リーゼが必死になって仲裁しているようだけど、多分崩壊は時間の問題だよ」



 そのせいかナギサも余裕が無くなっているらしく、特攻部隊が派遣される間隔が、徐々に大きくなっている気がする。



「だったら放っておいてもいいのか。……いや、ナギサは追い詰められると、何を仕出かすか分からないタイプだ。やっぱりこの手で確実に仕留めるとしよう。トラバント、奴らの居場所を教えてくれ」



 俺はトラバントから、勇者3人の居所を聞き出す。



「なるべく静かにやるつもりだが、もし騒ぎになったらすまん」



「はは。……なるべく王都に被害を出さないように、気を配ってくれると嬉しいな」



 引き攣った表情で、トラバントがそう頼んでくる。



「ああ、分かっている」



「コウヤ、私も行くわよ」



 いつの間にか近くに来ていたエイミーがそう言う。

 彼女の隠形魔法は頼りになるし、こちらとしても助かる申し出だ。



「ああ、じゃあ行くとするか」



 そうして俺はエイミーと共に、王都へと再び向かうことになった。







「それで、コウヤ。今どこに向かっているの?」



「ツバキの所だ」



 本当は一直線にナギサをぶっ殺しに行きたい所なのだが、その前にツバキにその旨を伝える事にする。

 幸い、2人は現在離れた位置にいるようなので、それが可能だ。



 ツバキは現在、王城手前の貴族街にある帝国側が接収した屋敷の一つに滞在しているようだ。

 エイミーの隠形魔法で、姿を隠しつつ、急いでそちらへと向かう。



「開けるわよ」



 警備の兵をエイミーがサクッと眠らせ、その隙に屋敷の扉の鍵を同じくエイミーが魔法で解除し、俺達は中へと入る。

 

 ……こいつ色々出来て便利な奴だなぁ。



 俺はエイミーの万能さに感心しつつ、屋敷の奥へと進む。

 ここまで来れば、俺にも気配で、大体の人の配置が分かる。



「この部屋だな」



 部屋の前の警備もエイミーが眠らせて、俺達は悠々とその扉を開く。



「誰!」



 部屋の奥には、剣を構えた皇帝リーゼと、それを守るように一歩前で大剣を構えたツバキが立っていた。

 一見、ただのお姫様にしか見えないリーゼの立ち姿が、妙に様になっている事に対し、俺は意外感を覚える。



「よう。ツバキ、俺だ」



 俺は友人を訪ねるような気軽さで、手をあげながらゆっくりと部屋の中へと入っていく。



「……こんなところまで、何の用よ、コウヤ」



 警戒心も露わにそう尋ねてくるツバキ。



「ちょっと前から、送られてくる特攻兵。あれ、ナギサの仕業だろ?」



「……ええ、そうよ。あのバカが暴走した結果よ。いくら止めても目を離した隙にやるのよ。まったく……」



 そう言うツバキの表情には、怒りが浮かんでいる。



 ……どうやらあっちもかなり苦労しているようだ。



「そっちも大変だな。そんなお前に朗報だ。今からアイツをぶっ殺して来るから、もう悩まなくていいぞ?」



「……やっぱり、目的はそれなのね。はぁ、いいわ。私も、もう止めたりはしない。いくら同じ日本人とはいっても、いい加減愛想が尽きたわ」



「理解が早くて助かるよ。……もし邪魔をするようだったら、最悪、骨の1つや2つ覚悟はして貰うつもりだったからな」



 いやー。女の子をボコる必要がなくなって、俺もホッとしたよ。



「……それで、ここに来た用件はそれだけなの?」



「ああ、それだけだが?」



 後から文句を言われても面倒だから、一応伝えに来ただけに過ぎない。



「……本当みたいね。あなたって変な所で、気が回るのね」



 大剣を撫でながら、ツバキが可笑しそうにそう呟く。



「んじゃあ、こけからナギサの奴をぶっ殺して来るわ」



 そう言って、踵を返し部屋から去ろうとする。

 そんな俺の背後から、声が掛かる。



「お待ちください! コウヤ様!」



 その声の主は、帝国の皇帝リーゼであった。



「ん? 俺に何か用なのか、皇帝様?」



「ええ。ナギサ様の始末、わたくしにお任せ頂けませんか?」



「どういう事だ? あんたは、アイツの味方じゃないのか?」



 そう言えばリーゼとマトモに会話を交わすのは、実はこれが初めてだ。

 ただこれまで見ている感じだと、ナギサ寄りの人間だと思っていたのだが……。



「皇帝として、自国の人間が行った不始末の責任は取らなければなりません」



「ふむ、言っている事はもっともらしいが、それをする事に、あんたに一体何の得があるんだ?」



 流石にその言葉を額面通りに受け取る程、俺は馬鹿じゃない。



「もしわたくしが無事にナギサ様を始末した暁には、コウヤ様のご助力を願えませんか?」



 ナギサをそっちで始末する代わりに、俺に何かを手伝えって話か。



「いやいや、それ、俺があんたに協力する理由が一つも無くないか?」



 ツバキの守りが無い以上、ナギサを殺す障害など、もはや無いに等しい。

 リーゼの提案には俺へのメリットが存在しないのだ。



「そうかもしれません。ですが、まずは話だけでも聞いて頂けませんか?」



 潤んだ瞳で、リーゼが俺を見つめてくる。



「……まあ、話を聞くだけなら、いいだろう。但し、手短にな」



 断っても意地でも食い下がって来そうな表情をリーゼはしており、面倒になりそうだったので、仕方なく話だけは聞いてやる事にした。



「わたくしの目的は、神聖教国ステラシオンの占領などではありません。真の目的は、その先。魔王国領との境に存在する迷宮都市ラビランヴィルの奪取にあります」



 迷宮都市ラビランヴィルか。

 確か大陸最大の魔物の領域"大迷宮"が存在する都市の事だったな。

 教国と魔王国の領土の間に存在し、どちらの支配も受け付けていないと聞いているが……。



「迷宮都市は、そして"大迷宮"は冒険者ギルドの管理下にあります。そしてわたくしの目的を達成するには、大迷宮の最深部に至る必要があります」



 話がどうも見えてこないな。



「大迷宮の最深部に行きたいのは分かったが、そこに一体何があるんだ?」



「……それは、助力を確約して頂かないと、お教えする事は出来ません」



 そう言って、リーゼが目を伏せる。



「それじゃ話にならないな。……もう行っていいか?」



 俺は話を打ち切り、ナギサの元へ向かおうとする。



「お待ちください! コウヤ様は、神々が憎くはありませんか? 女神たちの気紛れに、人生を左右されるのは嫌だと思ったことはありませんか?」



「……まあ、それは思わなくもないな」



 随分と身勝手な連中のようだし、現に今もそいつらが送り込んで来たナギサの所為で、苦労させられている。



「でしょう? 大迷宮の最深部へと至れば、それを解決する事が出来るのです!」



 少々、興味が引かれる話だ。

 この戦争を終わらせて、トラバントを国王に仕立て上げたとしても、それは神聖教国ステラシオン内の話だ。

 また他の国を使って、女神たちが色々と面倒事を起こす危険性は無くならない。即ち、俺の平穏は保証され無い訳だ。



 ……根本的な解決を図る手段があるのなら、それは確かに魅力的な話だ。

 

「詳しく話を聞かせろ。それが本当なら、お前に協力してやるのも吝かではない」



「分かりました。ですが、この事は、どうかここだけの話でお願いします」



「分かっている。エイミーもそれで構わないな?」



 エイミーが頷いたのを確認し、俺は続きを促す。

 そうして、リーゼの口から語られたのは、突拍子もない話だった。



 簡単に纏めると、大迷宮の最深部には"神々の住まう場所へと至る階段"が存在するらしい。

 そしてその先を進むと、神殺しとしての力を得ることが出来るらしい。

 要するに、神を殺す力を持ったまま、神たちと会うチャンスが出来るという訳だ。



「ツバキ、コイツが嘘を吐いてないか、確認してくれ」



「え、ええ。……嘘は吐いてないみたいよ」



 俺に言われて、ツバキが慌てて大剣へと視線を送るが、どうもリーゼの言葉に嘘は無いらしい。

 

 リーゼの頭がおかしい線も考えたが、受け答えに不審な点は見受けられない。

 ……となると、本当に本当の話な訳か。



「エイミー、今の話、どう思う?」



「どうって……。まあ、有り得ない話じゃないわ。先代様が大迷宮に執着している理由がそれだとしたら、納得だもの」



 突然俺に話しを振られたエイミーは、困惑気味にそう答える。

 後半の言葉の意味は良く分からないが、エイミーの判断としては、十分に有り得る話という事のようだ。



「……分かった。前向きに検討してやるから、後で詳しい話を聞かせてくれ」



「そうですか、それは良かったです。では、早速ナギサ様を殺しに参りましょうか」



 ……まったくいい笑顔をしてやがる。

 実はコイツ、単にナギサを自分の手でぶっ殺したいだけじゃないのか?

 そんな疑惑を内心に抱えつつ、俺達はナギサの元へと向かうことにした。

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